2022.06.27

大阪勢のチャレンジを退け、総合力で上回った洛南が危なげない戦いで近畿大会優勝

2年連続35回目の優勝を決めた洛南 [写真]=吉田孝光
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 6月24〜26日と3日間にわたって滋賀県にて「令和4年度 第69回近畿高等学校バスケットボール大会」が開催された。

 男子は、前回優勝の洛南高校(京都府)に加え、阪南大学高校、大阪桐蔭高校、関西大学北陽高校と、大阪勢3チームがベスト4入りを果たした。

 その中で決勝は、洛南と阪南大の組み合わせに。洛南は、準決勝では第1クォーターこそビハインドを負ったものの、関西大北陽を相手に第2クォーターからは星川開聖(3年)や西村渉(3年)のシュートなどで逆転。最後は84ー65で危なげなく勝利している。

準決勝の洛南戦では28得点を奪った関西大北陽の上村[写真]=吉田孝光


 また、阪南大も大阪対決となった大阪桐蔭との準決勝では、序盤から速攻など決め、主導権を握ったまま104ー76で大勝。初の決勝へと駒を進めた。

気迫あるプレーで引っ張った大阪桐蔭のヴァイクル オレザッカリー[写真]=吉田孝光


 迎えた決勝、第1クォーターから洛南が強さと上手さで阪南大を圧倒する。攻防ともに安定したプレーを見せると、第1クォーターを終えて30ー13と大きくリードした。

 しかし、阪南大もこのままでは終わらない。第2クォーターにはンワンクォ チネドゥ ゴッツウィル(1年)の奮闘で4連続得点を奪う。ここで一気に洛南を捉えたかったのだが、直後に洛南の堅いディフェンスからの速攻を連続で繰り出され、再びリードを広げられてしまった。

 第3クォーター出だしにはこの試合33得点の星川が技アリのシュートを次々と決めた洛南。個々が積極的に攻撃を仕掛けて阪南大に付け入る隙を与えず、最後は83ー65で阪南大を下した。

 洛南は近畿大会を連覇。指揮を執る河合祥樹アシスタントコーチは、「『相手のゾーンディフェンスが完成する前に攻めよう。そのためには自分たちのディフェンスで相手に簡単にシュートを打たせてはいけない』と伝えました。選手がよくディフェンスを我慢し、そこから相手のゾーンディフェンスがセットされる前に攻めることができていました」と試合を振り返った。

 ただ、「インターハイ予選、近畿大会を通して、『ディフェンスを良くやっているね』と周りからは声を掛けてもらうのですが、まだまだ足りていないと思います」と、河合ACは、全国の舞台を見据えて、さらなるディフェンスの強化にも言及していた。

オールラウンドなプレーが持ち味の洛南・三浦 [写真]=吉田孝光


 一方、敗れはしたものの初の決勝進出となった阪南大。大阪府1位としてインターハイに臨むが、今年度より学校の新たな取り組みとしてスポーツの留学生の受け入れが始まり、チームにはンワンクォ チネドゥ ゴッツウィルが加入。だがチームの一員となって2カ月で、「チームとしてもまだ発展途上という認識を持っているので、近畿大会でたくさん試合経験を積ませてもらえたことはよかったです」と森本正コーチは語る。

 その阪南大の軸はンワンクォ チネドゥ ゴッツウィルとポイントガードの和田怜旺(3年)。だが、「ディフェンスをやり切る選手、声を出す選手など、一人ひとりが自分の役割を考えてやってくれている」(森本コーチ)というように、コートに立った選手たちが持ち味を発揮するのもチームの特長だ。

 初優勝は逃したものの、「洛南はすべてのポジション、メンタルも含めて一定以上の力を持っているという印象がありました。今後は、すべてのポジションで勝負できるようなチーム作りをしていきたいです」と、森本コーチはインターハイに向けて意気込みを語っていた。

スピードあるプレーで相手ディフェンスを翻弄した阪南大の嶋本[写真]=吉田孝光


取材・文=田島早苗
写真=吉田孝光

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