2022.12.25

痛恨の敗戦から1年…ウインターカップに戻ってきた轟琉維「絶対にあんな思いはしたくない」

約14分のプレータイムで12得点を挙げた轟 [写真]=バスケットボールキング
フリーライター

 12月25日の東京体育館。この日の第3試合には今夏のインターハイ覇者であり、秋の「U18日清食品トップリーグ2022」でも優勝を飾った福岡第一高校(福岡県)が登場。同校は「SoftBank ウインターカップ2022 令和4年度 第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の男子2回戦で船橋市立船橋高校(千葉県)と対戦し、99−62で勝利を収めた。

 第1クォーターは初戦の硬さ、さらには果敢に立ち向かってくる市立船橋の勢いもあり14−14の同点で終えた。ポイントガードを務める轟琉維(3年)は「やっぱり少し緊張してしまい、全員が硬くなっていたと思います。自分も最初のシュートが入らなくてちょっと崩れてしまいました」と反省したが、福岡第一は第2クォーター開始からセカンドユニットを送り出し、徐々にリードを拡大。同クォーターで30−13、第3クォーターでは33−13とし、最後はエントリーメンバー全員が出場を果たして快勝した。

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「30点くらいです」。記者からこの試合の自己評価を問われた轟はそう答えたが、この日は点差がついたことでプレータイムが約14分に留まった。それでも、「後半は次の試合につなげられるように、しっかりディフェンスからやっていこうと意識してコートに立ちました」と轟。限られた時間でも14得点をマークし、随所に持ち前のスピードやテクニックを見せた背番号8は、「明日はしっかり自分たちから気持ちを上げてやっていきたい」とすでに気持ちを切り替えていた。

昨年は準決勝で敗れ、悔し涙を流した[写真]=伊藤大允


 昨年、福岡第一はウインターカップ準決勝で涙をのんだ。冬の王者には過去2年届いていない。前回大会もチームの司令塔かつ得点源を担っていた轟は、準決勝(vs帝京長岡高校/新潟県)の最終盤に同点を狙ったシュートを外しているだけに、人一倍雪辱に燃えている。この日の取材後も「去年はとても悔しい終わり方をしたので、今年は悔いのない終わり方をして優勝したいと思います」と意気込みを述べたが、その思いは福岡から東京、宿舎から東京体育館に近づくに連れ、どんどん強くなっていった。

 初戦を迎える3日前の12月22日、公式練習でコートの感触を確かめた際にも、轟の胸の内からはふつふつと湧いてきたものがあったという。

「公式練習でも去年の悔しい思いが蘇ってきて、絶対にあんな思いはしたくないなって気持ちになりました」

 12月26日の3回戦は美濃加茂高校(岐阜県)との対戦に決定した。福岡第一が誇る魅惑の司令塔が、明日はどんなプレーを見せてくれるか楽しみだ。

文=小沼克年