2023.02.15

日本代表候補に初選出された細川一輝「両親のためにもメンバーに残りたい」

トム・ホーバスヘッドコーチHCが率いる日本代表に初招集された細川 [写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 成長著しい三遠ネオフェニックス細川一輝が「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」Window6に向けた男子日本代表の直前合宿参加メンバーに初招集された。

「予選最終ラウンドというなかで呼ばれたことに正直驚いたと同時に、うれしさもあるし、非常に光栄な気持ちです。日本代表入りはBリーグに入った時からの目標。今はとてもワクワクしていますし、チャンスだと感じています」

 笑顔を見せた細川は、日本代表候補に選ばれた気持ちを率直に述べた。

 入り出したら止まらない3ポイントシュートと、ディフェンスでも持ち前のフィジカルを活かしてハードワークできるのが細川の特徴。過去2シーズン在籍した京都ハンナリーズで主力選手としてプレーしていたが、「自分自身がより成長できる」と感じて、三遠への移籍を決断した。今シーズンは2月5日の滋賀レイクス戦で3ポイントシュート8本を含むキャリアハイの29得点を記録。新天地で得点力に磨きがかかり、B1リーグ第22節終了時点で1試合平均10.4得点の活躍を見せている。

1試合平均10.4得点に加え、3ポイントシュート成功率は40.7パーセントを誇る [写真]=B.LEAGUE

 三遠の大野篤史ヘッドコーチは「今シーズン、現状で最も成長している選手」と、取材を通じて何度も細川のことを評価。そこにはメンタル面での成長が隠されていた。

「本当にシュートが上手なのに、シューターとしてのマインドが当初はあまりなかった。けど、そのマインドを持って、空いたら打つということを自分の役割として理解できたのが大きいです。また、シュートが打てなかった際、ドライブに切り替える判断力は少し出てきたかなと感じています。ディフェンスで痛いミスをする時もあるが、『そこから学んで努力を継続しないと成長はないよ』と常に伝えています」

 細川自身も大野HCの言葉をしっかりと理解している様子。ここまでのシーズンを次のように振り返った。

「ディフェンスができないとプレータイムはもらえないと常に感じているなかで、三遠はディフェンスからオフェンスにつなげるスタイルなので、その面でいろいろなスキルを身につけてアップデートできています。持ち味でもあるシュートは空いたら打つという姿勢で躊躇なく、自信を持って自分の仕事を全うできている部分。自分自身で成長を感じています。一方でコミュニケーションや、シュートにいけない時にドライブで仕掛けるなど、オフェンスでのプレーの幅に関しては課題です。HCをはじめ、スキルコーチなど素晴らしいコーチ陣から日々自分に足りないものを教えてもらい、自分に吸収している最中です。また(金丸)晃輔さんやKO(カイル・オクイン)など素晴らしい経験を持つ選手もいます。常に何かを学びつつ、いろいろなアドバイスをもらえるので、本当に助かっています」

 成長と改善の両方を同時に繰り返しつつ、レベルアップを続けるなかでの日本代表候補への初選出。細川は持ち味を存分に発揮して、代表の切符をつかむべく、意欲を見せた。

「初めて一緒にプレーする選手も多いですし、吸収できることがたくさんあると思います。自分の武器はアウトサイドシュートなので、自分自身の力を出しきって、結果を残したい。そして、ディフェンスでもフィジカルを活かして相手を守りきるプレーを見せたいです」

 インタビュー中、細川から発せられる言葉の節々に「代表に残って、日の丸をつけてプレーしたい」という力強い気持ちを非常に感じた。代表候補が発表された際、細川はチーム練習中だったが、練習後に携帯電話を開いたら「驚くほどの通知がたくさんきていて、ビックリしました」というくらいに多方面から祝福を受けたという。言葉の強さには、知人への感謝もあるが、それ以上に両親への想いが強く存在している。

「バスケをやっていた両親から本当にうれしいと連絡がきました。それが自分にとって一番うれしかったです。コロナ禍で観戦に来ることができませんでしたけど、常に映像などで試合を観てくれていました。『代表に入ったら、車で(地元の)岩手から高崎アリーナまで仕事を休んで観に行く』と言ってくれています。大学が群馬(上武大学)で、その時から車で試合を観に来ていたから余裕みたいです(笑)。両親のためにも、頑張ってメンバーに残りたいです」

 自分自身の夢を叶えるため、そして支えてくれている両親のため。細川は憧れの「日の丸」が掲げられたユニフォームに袖を通すべく、勝負の日本代表合宿に挑んでいる。

ホーバスHCに自身の強みをアピールできるか [写真]=鳴神富一

文=鳴神富一

BASKETBALLKING VIDEO