2021.12.24
日本体育大学でのルーキーシーズンを終え、ライジングゼファー福岡の特別指定選手としてプロの世界へ足を踏み入れた小川麻斗。シュート力、スピード、テクニックも兼ね備える攻撃型ガードは現在、地元福岡で新たな刺激を受けながら日々を過ごしている。
「まだライジングのスタイルにフィットできていない部分があるので、そこは早く慣れないといけない。オフェンスだったらもっと得点力をアピールできるように、ディフェンスでも思い切ってプレッシャーをかけられるようにならなければいけないです」
21日に行われた敵地での越谷アルファーズ戦では、加入後最長となる19分6秒のプレータイムを得た小川。これには前日の第1戦に出場した丹野合気、白戸大聖のガード陣が欠場したことも1つの要因に挙げられるが、試合中は積極的に周りと意思疎通を図る姿も見られ、加入発表から約1カ月が経ち、リーグ戦4試合を経験したことで肩の力も抜けてきた印象を受けた。指揮を執るジョゼップ・クラロス・カナルスヘッドコーチ(以下ペップHC)は、敗戦の中にもこんな収穫があったと話す。
「若い選手たちが良いプレーをしてくれたことは非常にプラス材料であり、今後の成長にも凄く期待できると思っています」
ペップHCは「大事な時間帯に起用することで気持ちの面でも成長してもらいたい」という考えのもと、1月に加入した小川、植松義也(明治大学4年)、菅野正樹の若手3人をこれまでの試合でも前半からコートへ送り出している。
その中でも「彼は怯えることがなく、本当に自信を持ってプレーしている。まずはパスではなく、シュートを打つというメンタルがあり、そういった強気な部分は非常に高く評価できる」と、小川に対する指揮官の評価は高い。内面については、「プロ選手だと高い車や大きな家を買ったり、そういうところを気にする選手が多いと思うが、彼にはそういった欲望はあまり見られない」と独自の視点で説き、「本当にシンプルな選手。性格もすごく良いですし、周りからも好かれるような人間」と話してくれた。
今シーズンのBリーグは、例年以上に特別指定選手の加入が多い。この春に卒業予定の大学4年生を除いても、B1、B2併せて20名近くの高校・大学生がプロの舞台で貴重な経験を積んでいる。
小川に「活躍が気になっている特別指定選手はいるか?」と尋ねると、「あまり気にはしてないですけど……」と前置きしつつ、「やっぱり」と言って福岡第一高校時代の仲間を挙げた。河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)と、1つ下の後輩であるハーパージャンジュニア(琉球ゴールデンキングス)だ。
「やっぱり河村とかジュニアは同じ高校だったので、B1で活躍しているところを見ると嬉しい気持ちになりました。だけど自分もB2で結果を残して、来年以降もまた特別指定選手としてプレーしたいなとも改めて思いました」
現在はB1とB2でステージは違うが、大学に戻れば日本一を争うライバルとして河村、ハーパーと対戦することになる。当然、他の選手やチームも小川、そして日体大の前に立ちはだかる存在だ。
昨年を振り返れば、日体大での小川は6番手、7番手として多くのプレータイムを獲得し、1年目から多彩なスキルを披露した。ただ、チームとしてはオータムカップ5位、インカレは2回戦敗退と思うような結果が残せず、「練習から先輩たちとバチバチやり合えたことで成長できましたけど、あまりいい1年ではなかった」と悔いを残した。
「日本一になっていた頃のように、自分が入ることでもう一度日体大を強くしたい」
そんな強い気持ちを持ったうえで、小川は日体大へと進学を決めた。
「(日体大では)自分しか経験していないので、この経験を持ち帰って自分が引っ張っていく気持ちでやっていかなきゃいけないと思っています。残り少ない期間ですけど、ライジングで成長して大学に戻りたいです」
2021年、生まれ育った福岡でプロとしての第一歩を踏み出した小川麻斗は、もうすぐスタートする大学2シーズン目へ向け、さらなる飛躍を誓う。
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