Wリーグ連覇に挑む富士通の大黒柱“町田瑠唯×宮澤夕貴”対談【後編】

昨年12月の皇后杯で17大会ぷりにチャンピオンの座についた富士通レッドウェーブ。ここではその皇后杯や「大樹生命 Wリーグ 2024−25」の後半戦に向けた思いを絶対的司令塔の町田瑠唯とポイントゲッターとしてチームを引っ張る宮澤夕貴の2人に語ってもらった。

取材・文＝田島早苗

今季から始まった2ディビジョン制は「本当に毎週がタフ」

改めて振り返ると皇后杯では富士通の強さしっかりと見せた大会だったと思います。
宮澤　でも、これからです。私たちはWリーグ開幕前から試合を多く重ねて完成形に近かったのですが、ほかのチームは若い分、伸び代もあって急成長するところもあると思います。

皇后杯は17大会ぶりの優勝 [写真]＝古川剛伊

町田　今までがタフではなかったわけではないのですが、今シーズンからはよりタフになったと感じます。

宮澤　気持ち的にだよね。

体の疲れなどは？
宮澤　私の場合は（同じポジションの）キホ（宮下希保）がいるので、昨シーズンよりは大丈夫というか。ルイさん（町田）は？

町田　私は多分プレータイム的には昨シーズンよりも長くはなっていると思うんですけど、昨シーズンよりうまくみんなにボールを散らばせることができているので、負担はそこまでないです。もちろん、大事な場面ややらないといけないときは私がやりますが、ある程度みんなもにボールを預けているところもあるので、そこでうまく休めているというか、みんなにつないでもらっている感じです。本当にみんなが良いので、みんなをうまく使うということを考えていたら、自分が自然と休むことが増えたみたいな。

この後は2月に「大樹生命 Wリーグ ユナイテッドカップ 2024−25 ファイナルステージユナイテッドカップ」、4月にはWリーグのプレーオフがあります。

宮澤　ユナイテッドカップはケガせず。チームとして成長できる大会にしたいですね。

町田　いろいろな選手が経験できる大会にしたいですね。

調子の波を減らしてディフェンスを立て直す

では、Wリーグの後半戦はどうのような戦いを？
宮澤　さっきルイさんも言っていたし、皇后杯後のインタビューでも言ったと思うのですが、本当に波が多いので、そこをなくしていくこと。それと、ターンオーバーがチームとしても課題ではあるので、そこを減らしていくことです。『波』は3ポイントシュートの確率も含めてですね。

町田　私もアース（宮澤）と同じです。それともう一度、ディフェンスのところは立て直したいですね。後半戦は私たちのディフェンスにアジャストしてくるチームも出てくると思うので、そこに対してどう守るかのもやっていかないといけない。自分たちのディフェンスというのをしっかり固めて（後半戦に）臨みたいです。

さっきも話したように、ほかは伸びしろのあるチームが多いとなると、成熟度の高い富士通がやるべきことはプレーの精度を高めるといったことですか？
宮澤　精度だと思いますね。これから何かがあるとか、とても急激に伸びるかといったらそこまではないと思います。もちろん選手一人ひとりの成長はチーム力を高めることにつながるのですが、それよりプレーの精度を高めることが大事になるのかなと感じます。1回のディフェンス、1本のリバウンドやルーズボール。あとは勝ちたいという気持ちも高めていかないといけないですね。

町田　オフェンスの遂行力もそうですね。あと今シーズンはトランジションがいつもより少ないので、そこを後半戦で増やしていければ、得点も伸びやすくなるし、流れを作りやすいのかなと思います。でも、そのためにはやっぱりディフェンスが絶対にカギになるんですけどね。

宮澤　あとはアジャスト力も。相手は私たち（町田＆宮澤）を止めに来ると思うので、そうなったときにどうアジャストしていくのか。悪い時間帯をできるだけ少なくしていきたいです。

宮澤選手は今シーズン、すごく調子いいようにも感じますし、町田選手もより積極的に点を取っている印象です。
町田　私の場合、得点はゲームによりますね。相手のディフェンスによっては自分自身の得点が増えたり、アシストが増えたりしているので。でも、良く捉えればそれはディフェンスによって変化しながら判断してプレーできているということでもあるので、そこは継続しつつ、シュートの精度を高めていきたいです。

宮澤　私は今、3ポイントシュートの成功率が40パーセント近くあるのですが（12月8時点で39.7パーセント）、前半戦の途中に入らない時期があって。もうそうはなりたくないし、そうなったらチームも終わるぐらいに思っているので、40パーセント近い確率は常にキープしたいです。

　ディフェンスとリバウンドはしっかりやりつつ、3ポイントシュートを安定して決められたら。あと、アシストは自分のところにディフェンスが寄ってきたらうまくパスをして。今シーズン、アシストが増えているのが何でなのかは自分ではよく分かんないんですけどね。

町田　でも、パスが上手になってるような気がする。

宮澤　え、それはないんじゃない。

町田　もともと悪い判断する選手じゃないからちゃんとパスは出せるけど、今シーズンはより見えているというか。今までだったら出さなかったパスを思い切り出せている印象はあるかな。バックカットとかテミへのパスもそうだけど。ミスを怖がらずに出せているのは、バリエーションが増えていいと思う。

宮澤　自分自身はなんでこんなにパスが出せるかわかんないけどね。あとブロックも。

町田　すべてにおいて反応がいいんじゃない？

それこそコンディションがいいことが影響しているのかも？
宮澤　つながっているんですかね。

では最後に、応援してくれる方たちに向けて一言お願いします。
宮澤　この前、富士通フロンティアーズの応援でアメフトの試合を見に行ったのですが（アメリカンフットボールの日本一を決めるライスボール）、負けてしまって。そのときにすごく悔しかったんです。それで、ファンの方たちはいつもこういう思いで戦っているだというのすごく実感しました。

　いつもどんな状況でもずっと声出して応援してくれて、それが私たちのパワーになっているのは事実なので、後半戦、何があるか分からないですが、精一杯プレーするので全力で私たちの背中を押してほしいです。よろしくお願いします！

町田　富士通のファンの方は本当にあったかいファンもが多いですし、熱いファンも多い。音楽の流れている会場やアウェイでも富士通のファンの方の声援は大きくて、すごく力になっています。後半戦もタフなゲームが続くと思いますが、最後まで一緒に戦ってくれたらうれしいです。もう、（語気を強めて）が・ん・ば・り・ま・す！

町田は「ファンの方の声援は大きくて、すごく力になっています」と感謝 [写真]＝古川剛伊

宮澤　何それ!?（笑）。

町田　（笑）。でもほんと、私たちはも全力で頑張るので、ついてきてほしいというか、一緒に戦ってくれたらいいなという気持ちでいます。

2人ともありがとうございました。後半戦も活躍を期待しています。