2024.02.08

“現役復帰したレジェンド”から“公式戦初招集の22歳”まで…パリ五輪世界最終予選に臨む女子日本代表12名を徹底紹介!

OQTのメンバーに選ばれた12名の選手たち[写真]=伊藤大允、野口岳彦
フリーライター

 2月8日から2月11日にかけて、ハンガリーにて開催される「FIBA女子オリンピック世界最終予選(OQT)」。パリ2024オリンピック出場権を争う最終決戦に選ばれた女子日本代表はどのような選手たちなのか。7日に発表された12名の選手たちを徹底紹介する。

文=田島早苗
写真=伊藤大允、野口岳彦

※所属・年齢は2024年2月7日現在

■#3 馬瓜ステファニー

生年月日:1998年11月25日(25歳)
ポジション・身長:PF・182センチ
所属:MOVISTAR ESTUDIANTES

 名門・桜花学園高校(愛知県)では1年生からスターターとして試合に出場し、幾度となく日本一を経験。高校卒業後に入団したトヨタ自動車では6シーズンプレーし、そのうち2度のWリーグ優勝や個人としても『ベスト6thマン』のタイトルを2回獲得した。2021年には3x3女子日本代表として東京オリンピックに臨み、オールラウンドな動きでチームを引っ張った。
 今シーズンからは海を渡り、スペインリーグのモビスター・エストゥディアンテスに在籍。巧みなステップを駆使してのシュートや長い腕から繰り広げられるブロックショットなどを得意としている。スペインリーグに参戦している関係で直前のチーム合流となったが、海外挑戦の経験をOQTへとつなげたい。

■#4 川井麻衣

生年月日:1996年4月11日(27歳)
ポジション・身長:SG・171センチ
所属:トヨタ自動車アンテロープス

 トヨタ自動車では、1月5日の時点でWリーグの18試合中16試合でスターターとして出場。1試合平均で6.9得点4.3アシストという数字を残している。ポイントガードとして仲間への的確なパスなどで攻撃を司るが、チャンスがあれば自らも躊躇なくシュートを放つ。東京成徳大学高校(東京都)を卒業してからWリーグ入りし、今シーズンが9シーズン目。チームメートへの積極的な声を掛けでもチームをけん引している。
 日本代表では、昨年の9月末から10月上旬にかけて行われた「第19回アジア競技大会(2022/杭州)」に参戦し、3ポイントシュートをはじめ、攻め気のプレーで得点を奪取。特に中国との決勝では8得点8アシストと存在感を発揮した。

■#8 髙田真希

生年月日:1989年8月23日(34歳)
ポジション・身長:C・185センチ
所属:デンソーアイリス

 プレーのみならず、精神的にも女子日本代表を支える大黒柱。相手との駆け引きがうまく、インサイドプレーや3ポイントシュートと、オールラウンドな動きから得点を量産していく。もちろんリバウンドも健在だ。エントリーメンバーでは185センチの髙田がチーム最長身。ほかにも4名が180センチを超えるが、ディフェンスのうまさもある髙田が攻防においてこれまで以上にインサイドで奮闘することとなるだろう。︎
 本人も「私自身はディフェンスがポイントだと思っていて、相手にボールを簡単に持たせないようにして、リバウンドも取り切る。そこをしっかりとやった上でのオフェンスだと思っています。試合に出ている時間は役割を果たしたいです」と、意気込む。

■#12 吉田亜沙美

生年月日:1987年10月9日(36歳)
ポジション・身長:PG・165センチ
所属:アイシンウィングス

 長きにわたり女子日本代表を引っ張ってきた司令塔で2016年のリオデジャネイロ・オリンピックではキャプテンを務めた。その後、2019-20シーズンをもって現役生活にピリオドを打ち、指導者の道を歩き始めると、東京医療保健大学のアシスタントコーチとして約1年チームに携わった。しかし、今シーズンより再び選手としてユニフォームに袖を通すことに。
 新天地のアイシンではバックアップのポイントガードとして流れを変える働きを見せている。日本代表では4年前のOQT以来の復帰。視野が広く、先の先まで読んだプレーでゲームを支配する。一瞬の隙も逃さないアシストなどキャリア豊富なベテランは「初戦のスペイン戦が大事」と大会を見据えている。

■#15 本橋菜子

生年月日:1993年10月10日(30歳)
ポジション・身長:PG・164センチ
所属:東京羽田ヴィッキーズ

 緩急をつけたドリブルでディフェンスをいなしてのシュートや勝負強い3ポイントシュートなど得点力のあるポイントガード。それだけでなく、落ち着いたプレーから味方のシュートをお膳立てするようなパスなども多く、今大会でもゲームメークに期待がかかる。
 2018年の「FIBA女子バスケットボールワールドカップ」で日本代表の国際大会デビューを果たすと、翌年の「FIBA女子アジアカップ」ではチームの優勝に大きく貢献。大会MVPにも選出された。その後も日本代表としてのキャリアを重ね、東京オリンピックでは銀メダルを獲得。自身の役割に徹する遂行力もあり、所属する東京羽田ヴィッキーズでは大黒柱として今シーズンで8シーズン目となる。

■#18 野口さくら

生年月日:2001年2月24日(22歳)
ポジション・身長:PF・182センチ
所属:アイシンウィングス

 今シーズンからアイシンに移籍し、Wリーグではここまで14試合に出場して1試合平均10.8点6.9リバウンド2.0アシストを記録。ポイントゲッターとしての役割を背負いながら戦っている。安城学園高校(愛知県)の頃からオールラウンダーとして全国でもトップクラスの活躍を見せ、現在もインサイドにアウトサイドにと攻撃の幅は広く、フィニッシュのパターンも多い。ドリブルワークなど細かいテクニックを持ち合わせているのも特長だ。また、リバウンドやルーズボールなどといったボールへの執着心を前面に出したプレーも魅力の一つといえる。
 A代表公式戦は初招集となるが、U16、17、19と、アンダーカテゴリーの日本代表をはじめ、3x3でも国際大会に出場するなど経験も豊かな選手。

■#23 山本麻衣

生年月日:1999年10月23日(24歳)
ポジション・身長:PG・163センチ
所属:トヨタ自動車アンテロープス

 3ポイントシュートを強みとする得点力の高いガード。試合ではチャンスを逃すことなく、思い切り良くシュートを放っていく。巧みなドリブルワークやステップなど高いスキルの持ち主でもあり、自らの得点にアシストにと攻撃は多彩だ。ミニバス、中学、高校、そしてトヨタ自動車と、各カテゴリーで日本一に輝いていて、東京オリンピックには3x3女子日本代表として出場した。その3x3では過酷なオリンピック予選を経て東京行きの切符をつかんだ経緯があるため、その経験も今回に生かしたいところ。
 今年1月に高崎アリーナで行われた女子日本代表の紅白戦では2番ポジションを担っていて、OQTでもシュート力を買われて2番での起用が多くなりそうだ。

■#27 林咲希

生年月日:1995年3月16日(28歳)
ポジション・身長:SG・173センチ
所属:富士通レッドウェーブ

 武器とする鮮やかな3ポイントシュートは、相手に大きなダメージを与える。それだけでなく、チャンスとあらば果敢にドライブからのシュートも試み、パスで味方のシュートも演出する。また、ディフェンスでの働きも大きい選手だ。恩塚ジャパンにおいて、ケガで不出場となった一昨年のワールドカップ以外は、参加した大会すべてでキャプテンを担っていて、コート内外で積極的にコミュニケーションを取ってチームをまとめる。
 銀メダルを獲得した東京オリンピックでの活躍もまだ記憶に新しいところだが、そこから精神的にもよりたくましくなって自身2度目のOQTに挑む。Wリーグでは今シーズンより富士通に移籍し、新天地で新たに日本一を目指している。

■#30 馬瓜エブリン

生年月日:1995年6月2日(28歳)
ポジション・身長:PF・180センチ
所属:デンソーアイリス

 2014-15シーズンからアイシンで3シーズン、その後トヨタ自動車で5シーズンをプレーし、トヨタ自動車では主力として2度のWリーグ優勝を味わった。そして昨シーズンは「人生の夏休み」と公言し、1シーズンの休養を得たが、今シーズンより選手として再びコートに立つことに。デンソーの一員として、皇后杯初優勝にも貢献した。
 粘り強いリバウンドやそこからのシュート、また相手のハードなディフェンスをものともせずにバスケットカウントを奪うなどの体の強さがウリ。オフェンスだけでなくディフェンスでも体を張り、献身的なプレーも見せる。OQTでは背の大きな相手に執拗なディフェンスで対抗したいところ。妹のステファニーとともにオリンピック出場を目指す。

■#31 平下愛佳

生年月日:2002年1月14日(22歳)
ポジション・身長:SG・177センチ
所属:トヨタ自動車アンテロープス

 桜花学園高校(愛知県)時代は1年生のときから主軸を担い、3年生のときには3冠を獲得。その後入団したトヨタ自動車では今シーズンで4シーズン目となる。今シーズンはシックススマンとしての出場が多いが、大事な場面でのシュートなど要所を締める働きを見せている。日本代表は、2022年のワールドカップがデビュー戦で、その大会では思い切りの良いシュートで得点を挙げるなど世界を相手に物おじしないプレーが光った。
 OQTに臨むチームのコンセプトは『走り勝つシューター軍団』。そのため、平下の真骨頂ともいえるアウトサイドシュートは必要不可欠となるだろう。1月14日に誕生日を迎えたばかりの22歳だが、冷静沈着なプレーも特長だ。

■#32 宮崎早織

生年月日:1995年8月27日(28歳)
ポジション・身長:PG・167センチ
所属:ENEOSサンフラワーズ

 代名詞ともいえるスピードに乗った超速ドライブは、一瞬にしてディフェンスを置き去りにする。ポイントガードとして着実にキャリアを重ねており、スピードだけでなく、緩急をつけたドライブやそこからのアシストなど状況に応じたプレーでオフェンスを組み立てている。試合の大事な局面でシュートを沈める勝負強さも持ち味の一つで、女子日本代表やENEOSでも窮地を救うシュートを何度も決めてきた。
 東京オリンピック以降、女子日本代表ではプレータイムを伸ばし、アジアカップやワールドカップなどさまざまな大会で主力として出場。明るい性格で、ムードメーカーとしてもチームを盛り立てており、ENEOSでは今シーズンからキャプテンという大役も担っている。

■#88 赤穂ひまわり

生年月日:1998年8月28日(25歳)
ポジション・身長:PF・184センチ
所属:デンソーアイリス

 ダイナミックなドライブからのシュートに迫力のあるブロックショット。そして跳躍力を生かした高い位置でボールをつかむリバウンドなど、スケールの大きなプレーを披露する赤穂。堅実なディフェンスに加えて、年々、得点力も上がっているオールラウンダーだ。また、「走ることを頑張りたいです」と本人も言うように、速攻では常に先頭を走るなど、走力もピカイチ。
 25歳のパワーフォワードは、『日本の顔』として世界の強豪たちを相手に堂々と渡り歩いており、今大会でも攻防においてカギを握る存在といえる。デンソーでは昨年12月の皇后杯で自身初となる日本一を経験。OQTでも世界レベルのパフォーマンスでチームを高みへ押し上げてくれるに違いない。

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