2025.03.13

サラリーキャップ導入の真意…Bリーグ・島田チェアマン「もっともっと夢のある状況にしたいからこそ」

『島田のマイク』第227回が配信
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 3月13日、Bリーグ島田慎二チェアマンのポッドキャスト番組『島田のマイク』第227回が配信。2026年秋から始まる『B.革新』における競技強化に関する5つのレギュレーション決定の経緯と背景にある考え方について語った。

 2025年2月に発表されたレギュレーションは、【サラリーキャップ制度違反による制裁】【B.LEAGUE ONE(Bワン)/B.LEAGUE NEXT(Bネクスト)における新人選手の年俸とインセンティブ給の上限】【サラリーキャップへの計上順】【選手報酬等の支払い時期の制限】【B.革新以降のドクター配置】の5つ。これらを定める上で島田チェアマンは「絶対に外さないぞっていうふうに決めてるのは、日本代表の強化に資するかどうかと社会的大義があるのかどうか。大きな2つですね。あと最後に、その地域を活性化するためのハードはアリーナですけども、やはりそこでソフトとしてのクラブが健全な成長と発展を遂げることができるのかということ。この3つを総合的に勘案しながら、今何をなすべきかってことを、この5年間ぐらいずっと議論してきた」と、長期にわたる検討過程を明かした。

 特にSNSなどで議論を呼んでいるサラリーキャップ制度について、島田チェアマンは「地域のクラブもファンもみんな諦めずに、頑張れるモチベーションに繋がるのは『常にある一定の経営努力をすれば、チャンスがある』ということなんですよね」と、首都圏に企業や人口が集中する日本社会の構造的問題に対し、地方クラブでも競争力を持てる環境を作ることが重要だと伝えた。

 サラリーキャップ制度では、新B1のB.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)では最高値8億円・最低値5億円、新B2のBワンは最高値4億円・最低値1.5億円とされているが、守れなかったクラブについては降格や勝ち数の減少、制裁金などの厳しい制裁を与えることとなっている。この価格設定について「(サラリーキャップ制度で最高値と最低値が)いくらぐらいの差だったら人やチーム作りの妙、GMの力、クラブの努力、練習環境を整えることができるかなというギリギリのラインが3億ぐらいの差だろうと考えました」と説明。

 現在すでに、コーチやトレーナーなどのスタッフも含めたチーム人件費で8億を超えているBプレミア参入クラブは複数あるものの、大半のクラブが5億円未満と最低値を下回っており、2026年シーズン開幕までに引き上げる必要がある。結果として、各クラブの予算上限を設定することで、高年俸の選手たちが複数のクラブに分散して移籍することになり、現在一部チームに集中しているスター選手がリーグ全体に広がることになる。これにより各クラブの戦力差が縮まり、「どこが勝つか分からない」という予測不能な面白い試合が増え、リーグ全体の競争バランスが向上すると島田チェアマンは語った。また高額な報酬を受ける選手を1.5億円で計上できる『スター選手条項』を導入していることで、トップ選手の待遇を守りつつ全体のバランスを取る仕組みになっていると解説した。

 最後にB.改革ではビジネス一辺倒ではなく、選手自身のことも考えて、様々な決断がされている。「選手たちの給料も、もっともっと夢のある状況にしたいからこそ、一旦このルールでやりますけど、ちゃんと実体経済が伴ってくれば、サラリーキャップの上限も下限も引き上げていきます」と将来の成長に合わせた調整の可能性を示唆した。これらのルール作りにあたっては「選手会ともしっかりコミュニケーションは取ってます。リーグとクラブってのは一緒になって力を合わせていかなきゃいけない仲間なんで」と、選手との対話も重視していると強調した。

 今回のエピソードでは、新B3のBネクスト参入チーム数をどのようにして増やしていく予定であるかや、3月12日に発表されたドラフト制度についての詳しい解説を次回予定していることなどについて語られた。

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