2024.10.22

名門の主力に成長した八村塁が6回目のシーズンに期待…河村勇輝の2way契約にも言及

万全な体制で6回目の開幕を迎える八村塁 [写真]=Getty Images
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新指揮官のリクエストにも順応して迎える開幕

 NBAは、プレシーズンゲームの日程をすべて終え、10月23日(現地時間22日)に行われる2試合(ニューヨーク・ニックス対ボストン・セルティックス、ロサンゼルス・レイカーズ対ミネソタ・ティンバーウルブズ)を皮切りに2024−25シーズンが、いよいよ開幕する。

 昨シーズンに続き、先手を切ってシーズンをスタートさせるレイカーズの八村塁は、ふくらはぎに張りがあったため大事をとってプレシーズン最後の2試合を欠場したが、「良くなっています。今日(開幕2日前)も練習すべてに参加しましたし、大丈夫」と問題なさそうだ。

プレシーズンゲームでは安定したスタッツを残した [写真]=Getty Images


 八村は、プレシーズンゲーム4試合に出場。シーズン前であるため、出場時間が抑えられた中、初戦で9得点して以降の3試合で2ケタ得点。2試合目の対フェニックス・サンズでフィールドゴール8本の試投中6本を成功させるなどで13得点、8リバウンドし、次のミルウォーキー・バックス戦では、チーム最多の14得点に加え、5リバウンド、2スティール。そしてスターターが全員そろい、約27分半プレーしたゴールデンステイト・ウォリアーズ戦では、15得点9リバウンドとダブルダブル目前の活躍。プレシーズンの4試合は1試合平均で12.8得点7リバウンドをマークした。

「プレシーズンから思い切っていけました。ゲームが始まる前から(JJ)レディックヘッドコーチ(以降HC)と、どうしてほしいのかということは話していたので、オフェンスのリバウンドだったり、もっとスリーを打ったりとか、そういうところを意識しながらプレーしていました。そこはよくできたたんじゃないかなと思います」と八村。パリオリンピックで左ふくらはぎを負傷し、8月は治療に専念、バスケットボールを再開したのは9月に入ってからというが、その影響を全く感じさせないプレーぶりで、レディックHCも「塁は、言われたことはすべてやってくれた。素晴らしかった」と満足感を示した。

 レイカーズは、八村がウィザーズからトレードで移籍した2022-23シーズンのトレード期限を前に八村の他、ディアンジェロ・ラッセルと現在故障中のジャレッド・バンダービルトという、以降チームの核の一部を担う選手を獲得。レブロン・ジェームズアンソニー・デイビスオースティン・リーブスにこの3人が加わって3シーズン目となり、「ずっとみんなで一緒に優勝を狙ってやってきているのでやりやすいし、(絆が強まっているというのも)絶対にあります。僕らはケミストリーも築いてきましたし、レディックHCや新たなコーチらとともに次のレベルに進めると思います」。

「(2勝4敗と)結果は良くありませんでしたが、とてもいいプレシーズンだったと思います。(新たなコーチ陣と)練習してきて、僕らが必要としていた何かを得ることができたように感じますし、すごく良かった」と、ともにプレーしてきた仲間と、新たなコーチ陣とともに迎えるシーズンを楽しみにしている。

「僕はもう若手ではない。ベテランの域に入る」

 レディックHCは9人ローテーションでシーズンを戦うことを公言しているが、レイカーズはローテーション入りする選手を絞るのも大変なほど層の厚いチームであることで、「シーズンは長いので、お互い助け合いながら乗り越えていくというのが大事だと思いますし、層が厚いことによって、お互いを信用しながら、いろんなマッチアップをやりながら、いろいろ自分たちで調整していけます」と八村。「プレーオフの時でもチームによって対応ができるので、いいと思う」と自信を感じている。

 層が厚いということは、チーム内の競争の激しさにもつながる。しかし、「僕はもう若手ではない。ベテランの域に入る」と話す八村にとって、それはポジティブ以外の何でもない。ルーキー時からスターターを経験し、リザーブという立場もこなしてきた。バスケから離れなければならない時期があったほど精神的に苦しんだこともあったし、長引く故障も負った。DNP(コーチの判断による不出場)という誰も味わいたくない試合もあった。連敗で苦しんだ一方で夢のNBAファイナルまであと一歩となるウエスタン・カンファレンス決勝という舞台でも戦った。昨シーズンはNBAが初めて試みた “インシーズン・トーナメント” で王者になった。

「振り返ると、クレイジーな道のりでした。DC(ワシントン・ウィザーズ)にドラフトされて、そしてトレードでここに来て、ウエスタン・カンファレンス決勝に勝ち進んで、今ここで(優勝するまで)すべての試合に勝とうとしています。ここにいることができてうれしい。昨シーズンは少し苦しみましたが、この球団で前進してきました。今シーズンは、とてもいい予感がしています」。八村は微笑んだ。

 そう話した前日には、パリオリンピックで日本代表としてともにプレーした河村勇輝がグリズリーズと2way契約を結んだ。NBA下部のGリーグチームにも所属しながら、NBAのレギュラーシーズンの試合に一定数出場登録できる契約だ。本契約とは異なるものの、自らに続く後輩ができたことで、「(渡邊)雄太さん(現千葉ジェッツ)のあとに続いて、こうやってまた日本人がNBAに出てきたということは、僕としてもうれしい。ポイントガードなので、試合を支配する機会がすごくあると思う。身長(で不利な面)はあると思いますけど、彼のシュート力だったり、そういうところをしっかり生かして、恥ずかしがらないでやってほしい」と喜んだ。

八村は河村の2way契約締結を喜んだ [写真]=Getty Images


 まもなく始まる6シーズン目のシーズン中には、苦しい時もあるだろう。だが、「若手」を脱皮した八村は、それを含めて準備ができている。

文=山脇明子

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