2024.10.26
NBAは、プレシーズンゲームの日程をすべて終え、10月23日(現地時間22日)に行われる2試合(ニューヨーク・ニックス対ボストン・セルティックス、ロサンゼルス・レイカーズ対ミネソタ・ティンバーウルブズ)を皮切りに2024−25シーズンが、いよいよ開幕する。
昨シーズンに続き、先手を切ってシーズンをスタートさせるレイカーズの八村塁は、ふくらはぎに張りがあったため大事をとってプレシーズン最後の2試合を欠場したが、「良くなっています。今日(開幕2日前)も練習すべてに参加しましたし、大丈夫」と問題なさそうだ。
「プレシーズンから思い切っていけました。ゲームが始まる前から(JJ)レディックヘッドコーチ(以降HC)と、どうしてほしいのかということは話していたので、オフェンスのリバウンドだったり、もっとスリーを打ったりとか、そういうところを意識しながらプレーしていました。そこはよくできたたんじゃないかなと思います」と八村。パリオリンピックで左ふくらはぎを負傷し、8月は治療に専念、バスケットボールを再開したのは9月に入ってからというが、その影響を全く感じさせないプレーぶりで、レディックHCも「塁は、言われたことはすべてやってくれた。素晴らしかった」と満足感を示した。
レイカーズは、八村がウィザーズからトレードで移籍した2022-23シーズンのトレード期限を前に八村の他、ディアンジェロ・ラッセルと現在故障中のジャレッド・バンダービルトという、以降チームの核の一部を担う選手を獲得。レブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビス、オースティン・リーブスにこの3人が加わって3シーズン目となり、「ずっとみんなで一緒に優勝を狙ってやってきているのでやりやすいし、(絆が強まっているというのも)絶対にあります。僕らはケミストリーも築いてきましたし、レディックHCや新たなコーチらとともに次のレベルに進めると思います」。
「(2勝4敗と)結果は良くありませんでしたが、とてもいいプレシーズンだったと思います。(新たなコーチ陣と)練習してきて、僕らが必要としていた何かを得ることができたように感じますし、すごく良かった」と、ともにプレーしてきた仲間と、新たなコーチ陣とともに迎えるシーズンを楽しみにしている。
レディックHCは9人ローテーションでシーズンを戦うことを公言しているが、レイカーズはローテーション入りする選手を絞るのも大変なほど層の厚いチームであることで、「シーズンは長いので、お互い助け合いながら乗り越えていくというのが大事だと思いますし、層が厚いことによって、お互いを信用しながら、いろんなマッチアップをやりながら、いろいろ自分たちで調整していけます」と八村。「プレーオフの時でもチームによって対応ができるので、いいと思う」と自信を感じている。
層が厚いということは、チーム内の競争の激しさにもつながる。しかし、「僕はもう若手ではない。ベテランの域に入る」と話す八村にとって、それはポジティブ以外の何でもない。ルーキー時からスターターを経験し、リザーブという立場もこなしてきた。バスケから離れなければならない時期があったほど精神的に苦しんだこともあったし、長引く故障も負った。DNP(コーチの判断による不出場)という誰も味わいたくない試合もあった。連敗で苦しんだ一方で夢のNBAファイナルまであと一歩となるウエスタン・カンファレンス決勝という舞台でも戦った。昨シーズンはNBAが初めて試みた “インシーズン・トーナメント” で王者になった。
「振り返ると、クレイジーな道のりでした。DC(ワシントン・ウィザーズ)にドラフトされて、そしてトレードでここに来て、ウエスタン・カンファレンス決勝に勝ち進んで、今ここで(優勝するまで)すべての試合に勝とうとしています。ここにいることができてうれしい。昨シーズンは少し苦しみましたが、この球団で前進してきました。今シーズンは、とてもいい予感がしています」。八村は微笑んだ。
そう話した前日には、パリオリンピックで日本代表としてともにプレーした河村勇輝がグリズリーズと2way契約を結んだ。NBA下部のGリーグチームにも所属しながら、NBAのレギュラーシーズンの試合に一定数出場登録できる契約だ。本契約とは異なるものの、自らに続く後輩ができたことで、「(渡邊)雄太さん(現千葉ジェッツ)のあとに続いて、こうやってまた日本人がNBAに出てきたということは、僕としてもうれしい。ポイントガードなので、試合を支配する機会がすごくあると思う。身長(で不利な面)はあると思いますけど、彼のシュート力だったり、そういうところをしっかり生かして、恥ずかしがらないでやってほしい」と喜んだ。
文=山脇明子
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