2025.06.25

ヤオ・ミンが語るアジアバスケの未来と次世代への願い

様々な質問に笑顔を見せて丁寧に答えたヤオ・ミン [写真]=バスケットボールキング
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 NBAライジングスターズ・インビテーショナルの開催に合わせ、元NBA選手であり中国バスケットボール協会の元会長でもあるヤオ・ミン氏がゲストとして来星。開会式後の会見では、地元のシンガポールだけでなく、中国系のメディアも多数詰めかけ、英語と中国語の質問が飛び交う中、「僕はどっちで答えたたらいいんだい」と、相変わらずのユーモアを振りまきながら、中国バスケの現状やアジアの競技力、そして若い選手たちへのメッセージまで、多岐にわたる質問に対して丁寧に答えた。

「若い世代には、ただバスケットボールを楽しんでほしい。僕自身も30年以上前、アジア各地でプレーしたことをよく覚えている。見知らぬ街で、初めて会う相手とプレーする。そのすべてが人生の物語になった。彼らにも同じような経験をしてほしい」

 この大会に集う若手選手たちにとっての大舞台。その存在意義について語るヤオ氏の表情には、かつて自身が歩んだ軌跡と次世代への願いが重なる。

NBAが1980年代に中国に来たとき、まだ中国からNBAに入った選手は一人もいなかった。今の時点でNBA選手がいない国であっても、それは関係ない。重要なのは“きっかけ”を与えることだ」

 さらに、アジア全体の競技力向上について問われると、「課題はシンプル。より多くの“競争”が必要だ」と即答。試合を通じて自らの弱点を知り、それを克服することでチームも個人も成長できるという。

 中国代表の今後や、若手育成における最大の課題については、「勉強と練習のバランスが最大の壁」と分析。技術面だけでなく、教育と競技の両立をどう支えるかが問われるとし、コーチ育成やインフラ整備の重要性を繰り返し強調した。

 一方で、記者から「ケビン・デュラントがヒューストン・ロケッツ入りしたことへの感想」を求められると、「彼はゲームチェンジャー。ロケッツが再びトップチームになるチャンスだ」と笑顔を見せた。

 最後に、草の根レベルでのスポーツ人気の高まりについて聞かれると、ヤオ氏は力強くこう語った。

「人々がスポーツを“好き”でいる限り、そこに色と情熱がある。シンプルなこの流れに沿って進めば、きっと素晴らしいことが起きる」

世界を知るレジェンドの言葉は、アジアの若き才能たちにとって、大きな羅針盤となるはずだ。

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