2025.12.28
ケビン・デュラント(ヒューストン・ロケッツ)は、時にはコート上で悪役を担うことも厭わないスコアリングモンスターだ。しかし、コートを後にすれば、ルーツである地元と、そこで生活する少年少女たちの未来を気に掛ける優しい男性へと姿を変える。
ワシントンD.C.で生まれたデュラントは、少年時代を隣接するメリーランド州プリンスジョージズ郡で過ごした。家族は郡内で賃貸住宅の転居を繰り返し、高校時代にはナショナル・クリスチャン・アカデミー、オークヒル・アカデミー、モントローズ・クリスチャンなど複数の学校でのプレーを経験。『ワシントン・ポスト』では、廃屋、麻薬取引、酒屋の外にたむろする人々を横目にした経験を振り返り、「これが俺たちの人生だった。悪くはなかったが、それがすべてだった」と語っている。
しかし、こうした地元で培った時間が、今のデュラントを形成している。「巡り巡って戻ってくる、そんな展開を夢見るものだ」、これはデュラントが地元に大学進学支援を目的とした放課後プログラム『デュラント・センター』をオープンした時のコメントである。

テキサス大学でプレーしたデュラント [写真] = Getty Images
デュラントは2018年、自身の財団を通じて、プリンスジョージズ郡に大学進学支援NPO「College Track」のプログラムを導入するため、最初の10年間で1000万ドルを拠出する支援を発表。そして、翌2019年に自身の名を冠した『デュラント・センター』を開所した。「College Track」によれば、デュラントは2017年に団体のオークランド拠点を訪れ、それが地元に同プログラムを持ち込むためのキッカケになったといい、『デュラント・センター』は「College Track」にとって初の東海岸の拠点となった。2度のNBAチャンピオンは、この若者たちのコミュニティに還元し、学業、金銭、社会情動的スキルのリソースを提供するための長期的なサポートを続けてきたのだ。
プリンスジョージズ郡は州内で2番目に人口の多い郡であり、住民の87パーセントが高校卒業資格を取得。しかし、学士号を取得して地域の労働力に貢献するのはわずか40パーセントとなり、『デュラント・センター』は第一世代の学生および十分な支援を受けられていない学生が4年制学位を取得できるようにすることを目指している。また、リーダーシップスキルの育成、大学に関するワークショップや見学ツアー、学業アドバイジング、ネットワーキングの機会も用意され、サイト内には「才能がある人が努力を怠れば、努力が才能に勝つ」というデュラントの力強いメッセージが掲載されている。
Incredible to see this come to life and spend time with the class of 2026 today https://t.co/uKL4Clu6BT
— Kevin Durant (@KDTrey5) January 24, 2019
最近、チームメイトであるフレッド・バンブリート(ヒューストン・ロケッツ)のPodcast番組に出演した際には、『デュラント・センター』の活動について、以下のように言及している。
「うちの郡にはたくさんのリソースがある。ここ20年、俺の影響力や名前は、コミュニティイベントだったり、コミュニティへの投資を通じて、ずっと郡の中にあり続けた。だから建物を購入し、放課後プログラムを始めたんだ。うまく機能しているよ」
デュラントの地域へ対する貢献は、『デュラント・センター』に限らない。4度の得点王は文武両道の観点から、地元のバスケットボール環境整備も推進し、2017年にはデュラントがNBAでのプレーを夢見た原点である『シート・プレザント・アクティビティ・センター』の屋外コート整備に約6万ドルを寄付。このスポーツ施設も『デュラント・センター』からわずか数ブロックの距離にある。
さらに、郡内にある歴史的黒人大学のボウイ州立大にも50万ドル(約7800万円)の大口寄付をし、デュラントの会社「35V(Thirty Five Ventures)』が制作に携わったドキュメンタリー『Basketball County: In the Water』では、数々のNBA選手のゆかりの地であるプリンスジョージズ郡のバスケ文化を、地域史・社会背景と結びつけて紐解いている。
地元の若者が進学、成長できる土台づくりに積極的に関与するデュラント。いつかこの地から、デュラントの背中を見て育った次世代のビッグスターが誕生するかもしれない。
文=Meiji
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