2018.09.19

「シュートレンジを広げているね」と指揮官が期待を寄せる今季のシモンズとフルツ

ブレット・ブラウンHCが成長を期待しているシモンズ(右)とフルツ(左)[写真]=Getty Images
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シクサーズ躍進のカギはシモンズとフルツのアウトサイドシュート?

 フィラデルフィア・セブンティシクサーズは、昨季イースタン・カンファレンス3位の52勝30敗を残し、6年ぶりにプレーオフ出場を果たすと、イースト準決勝まで勝ち進んだ。

 このチームにはオールスターセンターのジョエル・エンビードを筆頭に、昨季の新人王ベン・シモンズや先発パワーフォワードを務めるダリオ・シャリッチ、2017年のドラフト全体1位指名のマーケル・フルツというリーグ屈指のヤングコアが在籍している。

 そのヤングコアの周囲には、ベテランシューターのJJ・レディック、昨季オールディフェンシブファーストチームに初選出されたロバート・コビントン、両フォワードをこなすウィルソン・チャンドラーといった有能な選手がおり、選手層も厚い。

 今季もイースト上位を狙える戦力を有するシクサーズだが、そのポイントとなりそうなのは、チームケミストリーの醸成と若手の成長と言っていいだろう。

 昨季終盤から加入し、プレーオフで貴重な働きを見せたアーサン・イリヤソバ(現ミルウォーキー・バックス)とマルコ・ベリネリ(現サンアントニオ・スパーズ)が移籍したことで、今夏のシクサーズはチャンドラーとマイク・マスカーラ、新人ザイア・スミスらをロースターに加えた。

 とはいえ、スターターを構成するシモンズ、レディック、コビントン、シャリッチ、エンビードは今季も健在であり、核となる選手(エンビードとシモンズ)も不動。シーズン序盤は新加入選手との連係でミスを重ねるかもしれないが、大きな心配は不要だろう。

 おそらくシクサーズがイースト、そしてリーグ全体の覇権争いに加わるうえで、カギを握ってきそうなのは“シュートレンジ”と言っても過言ではない。

 具体的にはシモンズとフルツのアウトサイドシュート向上となる。共にルーキーシーズンとなった昨季、シモンズは81試合に出場し、3ポイントシュート試投数はわずか11本で成功数はゼロ、14試合に出場したフルツは1本しか放っておらず、こちらも成功数はゼロ。プレーオフでもシモンズは10試合に出場するも、3ポイントシュートは1本しか放っておらず、決めることができなかった。フルツは3試合の出場で3ポイントシュートは1本も放っていない。

昨季平均15.8得点を記録したシモンズは、ドライブからペイントエリアを中心に得点を挙げてきた[写真]=Getty Images

シクサーズのブラウンHCがヤングコアを形成する2人について言及

 そんな中、9月19日(現地時間18日)にシクサーズのブレット・ブラウンHCは現地メディア『AP』に対して、両選手がシュートレンジを広げていると明かした。

 ブラウンHCによると、シモンズはカレッジバスケットボールでアシスタントコーチを務めていた兄リアムとワークアウトを行い、ジャンパーを磨いてきたという。フルツはこの夏、トレーナーのドリュー・ハンレンの下、約15万本のショットを放ってきたようだ。ブラウンHCは言う。

 「彼(シモンズ)がジャンプショットを磨くことは、彼自身のプレーをより簡単にする手助けとなるはずだ。ただ個人的に、彼にはオールディフェンシブファーストチーム入りしてほしいと思ってる。それに彼にはもっとポストで構えてプレーしてほしいね。彼をスクリナーとして起用し、フルツにもっとボールを預ける。そこからブレイク・グリフィン(デトロイト・ピストンズ)のようにダンクを狙ってほしいと思ってるよ」。

アウトサイドシュートとフリースローの精度が増せば、シモンズは平均20得点を軽々と突破できるはず[写真]=Getty Images

 208センチ104キロという恵まれた体格を持つシモンズは、ポストから的確なパスをチームメートに配球することができ、リング下における決定力(昨季は成功率73.3パーセント)もあることから、高確率で得点できるに違いない。

 ただ、そのためにはフリースローの向上が求められる。昨季は1試合平均4.2本を放つも、成功率はわずか56.0パーセントに終わっていたからだ。これではシモンズが構えるポストにボールを集めても、相手チームはファウルを駆使してフリースローを打たせる作戦を取る可能性が高い。ブラウンは昨季を振り返り、こう語っていた。

 「もし彼が(毎試合で)あと1点取っていたら、我々はあと3~5勝上積みしていたかもしれない。彼にはもっとフリースローを獲得してほしいと私は思っている。ぜひともフリースローの精度を高めてほしいね」。

 フルツについては、ブラウンHCはジムでシューティングをチェックし、好感触を得ているようだ。「序盤あるいは終盤かはわからないが、私はゲームのどこかでこの2人を同時起用するつもりだ」とブラウンHCは語っており、彼らのアウトサイドシュート向上で、シクサーズは豊富なバリエーションで選手起用することが可能になると言っていいだろう。

 シクサーズを優勝候補へと引き上げるカギを握るシモンズとフルツ。今季は両選手のアウトサイドシュートにも注目してみたい。

フルツは昨季、FG成功率40.5%と低迷。コンスタントに得点するためにはアウトサイドシュートの精度アップがマスト。夏の特訓の成果が問われる[写真]=Getty Images

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