2019.06.05
4月11日(現地時間10日)、NBAは全30チームが2018-19レギュラーシーズンを終えた。今季限りで現役引退となったマイアミ・ヒートのドウェイン・ウェイド、ダラス・マーベリックスのダーク・ノビツキーという歴代有数のレジェンドたちには、心から最大限の拍手を送りたい。
もっとも、NBAはこれからが本番だ。14日(同13日)から約2か月間におよぶ世界最高の大舞台、プレーオフが幕を開けるからである。NBAでチャンピオンとなるためには、プレーオフのファーストラウンド、カンファレンス・セミファイナル、カンファレンス・ファイナル、そしてNBAファイナルを勝ち上がらなければならない。
各シリーズは4戦先勝で、1シリーズ最大で約2週間を要する。同じチームを相手に短期間で何度も戦い、4回勝利しなければならないため、選手をはじめコーチングスタッフも全神経を注いで一つひとつの試合に臨む。
レギュラーシーズンとプレーオフの違いについて、「シーズン中は相手選手から1、2週間に1回くらいヒジ打ちされるけど、プレーオフになると毎試合だね」と元NBA選手が言うように、プレーオフは激しい肉弾戦でもある。選手たちは1勝を懸けて毎試合120パーセントの力をかけて競い合うものである。
そしてファンも精いっぱいの声援を送り、コート上の選手たちが見せるプレーに一喜一憂し、会場全体で大盛り上がりを見せる。プレーオフというのは、世界最高のバスケットボールリーグの中でも、シーズン中に最も熱く盛り上がる時期なのは間違いない。
そのため、プレーオフでは相手チームどころか自チームの選手でさえ唖然としてしまうほどの驚異的なプレーがほぼ毎年生まれ、これまでに何度も名勝負が繰り広げられてきた。そのたびに世界中のファンや関係者、そして選手たちが身体中を突き抜けるほどの興奮を味わってきたのである。
約2か月間におよぶ長丁場のプレーオフは、最長で6月17日(同16日)まで繰り広げられる。はたして、今年はゴールデンステイト・ウォリアーズが史上4チーム目の3連覇を成し遂げるのか。あるいは他チームが王者を下し、新たな王者が誕生するのか。ぜひとも最後まで楽しんでいただきたい。
その一方で、プレーオフ出場を逃したチームは、来季以降に向けて重要なイベントを迎えることとなる。それがNBAドラフトだ。
今年のNCAAトーナメントで活躍した選手やカレッジですばらしい才能を見せつけたスター選手たち、さらには海外リーグで活躍してきた選手が、NBA入りを目指して本格的に動き出す。もちろん、ゴンザガ大学3年の八村塁も全米注目のスター候補の1人となっている。
今後のスケジュールとしては、まず4月22日(同21日)にアーリーエントリーが締め切りとなる。大学3年生以下の選手たちが卒業を待たずにNBA入りしたい場合は、まずはここで決断しなければならない。
その後5月15日(同14日)にシカゴでドラフト・ロッタリーが行われる。これは今年のドラフト指名順を決めるのだが、全体1位指名権を手にしたチームの関係者は、毎年高らかにガッツポーズをするほど、来季のみならず今後数年の運命を左右する重要な1日である。
15日から20日(同14日から19日)にかけては、シカゴでドラフト・コンバイン(候補選手たちの身体測定)が行われる。上位指名候補選手は参加しない傾向が強いものの、低評価あるいはほぼ無名な選手が一躍注目を集めることも。
なお、アーリーエントリーは6月11日(同10日)までに取り消すことが可能。ドラフトを希望する選手たちにとっては一生に一度のイベントだけに、指名される可能性が低いと見れば、取り消すことも十分考えられる。
そして6月21日(同20日)に、運命のドラフトが行われる。NBAのドラフトは現在、1巡目全体1位から2巡目全体60位までとなっており、世界でたったの60名しか指名されない。ドラフト指名権のトレードがあるため、全30チームが毎年2選手を指名することはないものの、指名された選手は永遠にNBAドラフトの歴史に刻まれることとなるため、きわめて狭き門だと言っていい。
注目の八村だが、『NBA Draft Net』では1巡目4位予想と最も高いものの、『NBC Sports Washington』では1巡目16位、『ESPN』では1巡目18位、『Bleacher Report』では1巡目19位と、現地メディアによる指名予想順位は大きく開きがある。
だが、日本が誇る若き至宝、八村がドラフト指名される可能性は大いにあると言っていい。八村がアーリーエントリーするかどうか、そしてドラフト当日までにどのような展開になるのか。日本だけでなく、アメリカでも注目の的となるはずだ。八村がNBAドラフトで指名される“歴史的瞬間”を、ぜひとも見届けていただきたい。
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