2019.05.18

王者が誇る名脇役リビングストンが今夏引退へ「今季はここ数年で最もケガに苦しんだ」

今季終了後に引退することが確実視されるリビングストン[写真]=Getty Images
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今季はケガに悩まされ、プレーオフでも精彩を欠く長身ポイントガード

 NBA史上4チーム目となる3連覇を果たすべく、現在ゴールデンステイト・ウォリアーズはポートランド・トレイルブレイザーズとのウエスタン・カンファレンス・ファイナルを競い合っている。

 第2戦を終えて2戦無敗を記録するウォリアーズは、ブレイザーズのホーム、モーダ・センターで5月19日(現地時間18日)にシリーズ第3戦に臨む。

 2014-15シーズンからスティーブ・カーHCが率いてからというもの、ウォリアーズは昨季までの4シーズンで3度も優勝しており、4年連続でNBAファイナルまで勝ち上がってきた。

 チームの基盤はもちろん、ステフィン・カリークレイ・トンプソンドレイモンド・グリーンなのだが、ケビン・デュラントデマーカス・カズンズといったオールスター選手たちよりも長くこのチームで主軸を務めている脇役がいる。

ローポストからミドルレンジを主戦場に、打点の高いジャンパーで効果的に得点するリビングストン[写真]=Getty Images

 それがアンドレ・イグダーラショーン・リビングストンだ。イグダーラは今季でウォリアーズ在籍6シーズン目。今年のプレーオフでは14-15シーズン以来初となる平均2ケタ得点(10.6得点)をマークしており、14試合(うち先発は8試合)を終えて過去2シーズンの合計数と並ぶ14ブロックをマークするなど好調をキープ。

 一方、201センチの長身ポイントガードとしてカリーのバックアップを務めるリビングストンは、14試合に出場して平均13.2分3.4得点1.5リバウンド1.4アシスト。プレータイムや得点、リバウンドはウォリアーズ加入後では最も低く、フィールドゴール成功率も40.9パーセントと、決して高いとは言えない。

 実は、リビングストンは4月4日(同3日)に現地メディア『The Athletic』へ掲載された記事の中で、今季限りで引退することを真剣に考えていることを明かしていた。

「そう。間違いない。身体がサインを送ってるんだ。フィジカル面でね。もし僕が健康体で楽しんでいれば、プレーしたいと言うだろう。でもフィジカル面で今はそうじゃないんだ。僕はこれまで、バスケットボールの舞台で再びプレーすべく、自分の身体に過度な負担をかけてきたからね」。

今季はウォリアーズ加入後、自己ワーストの成績に終わっていた[写真]=Getty Images

リビングストンの引退はほぼ確実、チームは新人エバンスの成長に期待

 04年のドラフト1巡目4位でロサンゼルス・クリッパーズに入団したリビングストンは、07年2月27日(同26日)のシャーロット・ボブキャッツ(現ホーネッツ)戦で左膝の前十字靭帯と後十字靭帯、内側側副靱帯を断裂する重傷を負い、選手生命の危機を迎えていた。その後に大手術を受けたリビングストンは、歩行方法の再習得から始めなければならなかったほど長くつらいリハビリを経て、08-09シーズンから復帰。

 それからというもの、マイアミ・ヒート、オクラホマシティ・サンダー、ワシントン・ウィザーズ、ボブキャッツ、ミルウォーキー・バックス、クリーブランド・キャバリアーズ、ブルックリン・ネッツでプレー。ネッツ在籍時の13-14シーズンには76試合に出場し、14年夏にウォリアーズと契約した。

 キャリア14シーズン目、ウォリアーズでは5シーズン目となった今季。ケガに悩まされたリビングストンは、ここ5シーズンでは最小となる64試合の出場で平均15.1分4.0得点に終わり、1.8リバウンド1.8アシストも含めて主要成績は軒並みウォリアーズ加入後ワーストとなった。

「今年に関して、僕はウォリアーズ加入後、最もケガに苦しんだんだ」と明かしたリビングストン。来季の契約はチームオプションで、約770万ドル(約8億4,700万円)のうち、保障されているのは200万ドル(約2億2,000万円)となっている。

 ウォリアーズとしては、198センチのルーキーガード、ジェイコブ・エバンスがリビングストンの後釜としてポイントガードの役割を担う選手へと成長することを期待しており、カーHCも「この夏の間、彼(エバンス)はずっとポイントガードを務めることになるだろう」と語っている。

 ここまで計9チームでプレーしてきたリビングストン。ウォリアーズではカリーのバックアップを堅実に務めており、高さを活かしたミドルレンジジャンパーとポストプレーを武器に活躍。アウトサイドシュートは脅威ではないものの、ウォリアーズのシステムに見事フィットしており、自身3度の優勝を手にしてきた。

 もしウォリアーズが3連覇を達成できれば、リビングストンにとっても最高のエンディングになるはずだ。

ウォリアーズがリビングストンの後釜として期待するエバンス(右)[写真]=Getty Images