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昨年12月、2020年のバスケットボール殿堂入り候補者が発表された。初のノミネートとなった元選手には、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)、ティム・ダンカン(元サンアントニオ・スパーズ)、ケビン・ガーネット(元ミネソタ・ティンバーウルブズほか)にクリス・ボッシュ(元トロント・ラプターズほか)といったそうそうたるメンバーがいた。
その中には、NBAキャリア16年を誇るショーン・マリオン(元フェニックス・サンズほか)の名前もあったのだが、ボッシュとマリオンは最終選考に落選し、殿堂入りは来年以降となった。
201センチ99キロのマリオンは、奇想天外の動きから“ザ・マトリックス”という異名を持ったフォワード。驚異的なスタミナと身体能力を兼備し、コート狭しと暴れ回ったマリオンは、2011年にダラス・マーベリックスの一員としてNBAチャンピオンとなったほか、4度のオールスター、2度のオールNBAチーム入りを果たしたものの、スタッツリーダーに輝くことはなく、アワードも手にすることなく、無冠のままキャリアを終えたと言っていいだろう。
5月12日(現地時間11日)に『The Athletic』へ掲載された記事の中で、マリオンは自身が見せてきたディフェンス面の働きを主張していた。
「考えてみてくれよ。俺はオールディフェンシブチーム入りしたことがないんだ。最優秀守備選手賞(DPOY)も選ばれることはなかった。正直、俺は選ばれるべきだった。何度もね。DPOYについても、キャリアの中で一度か二度は選ばれるべきだったんじゃないかと思う。だが手にすることはなかった。オールディフェンシブチームには、4度か5度は入ることができたはずだ」。
複数のポジションをガードできるディフェンス力を有していたマリオンは、持ち前の身体能力と鋭い洞察力を活かしてスティールやブロックを決め、リバウンド面でもチームに大きく貢献してきたことは間違いない。
だがオールディフェンシブチーム入りすることは一度もなく、DPOYを獲得することもなかった。1シーズンごとのディフェンシブ・レーティング(100回のポゼッションにおける失点)では6度もリーグトップ20にランクインしていただけに、マリオン本人も不思議に思っていたのだろう。
「俺は批判しているわけじゃない。だがどうやってドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ/2017年に受賞)へ正当な理由づけをするんだ? 俺は彼がやっていたことよりも多くのやり方でガードしてきたんだ。今となってはスモールボールをするのは簡単だ。(俺がやっていた頃と比べれば)今は難しいことじゃないのさ」。
もともとDPOYはビッグマンが受賞するケースが多い。1996年にポイントガードのゲイリー・ペイトン(元シアトル・スーパーソニックスほか)が受賞してからというもの、ビッグマン以外の選手で同賞を獲得したのはメッタ・ワールドピース(元インディアナ・ペイサーズほか/04年)とカワイ・レナード(現ロサンゼルス・クリッパーズ/15、16年)しかいない。
13年にマルク・ガソル(現ラプターズ)が選ばれた際には、次点に終わったレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)が不満を口にしていたことも印象的だった。
その点、198センチ104キロのグリーンは身長だけならフォワードの部類に入るものの、スモールラインナップではセンターに入り、ビッグマン相手にも力負けせずに守り抜くことができる。リーグ屈指の万能型ディフェンダーとして日々豪語していたことも、投票に影響を与えたのかもしれない。
「ティム・ダンカンとケビン・ガーネット。彼らは殿堂入りすることが決まった。俺は彼らを毎晩のようにガードしていたんだ。今のNBAで、どれだけの選手がディフェンスをしているんだ?」。
マリオンはダンカンやガーネットだけでなく、シャックことシャキール・オニール(元レイカーズほか)やヤオ・ミン(元ヒューストン・ロケッツ)といった巨漢たちともマッチアップしてきた。チームから与えられた役割だったとはいえ、自らの任務を遂行してきたことは事実。
昨季クレイ・トンプソン(ウォリアーズ)が「目標はオールディフェンシブチーム入りすること」とアピールして初選出されたように、マリオンもメディアを通じてアピールしていれば、少なくとも一度は選ばれていたのかもしれない。
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