2020.06.29

セルティックスで共闘したアイザイア・トーマスとマーカス・スマートが健闘を称え合う

約3シーズンを共にプレーしたトーマス(左)とスマート(右)[写真]=Getty Images
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ドラフト最下位指名からはい上がり、セルティックスのエースを務めた小兵

 74シーズンという長い歴史を誇るNBAにおいて、最も身長が低かった選手はタイロン“マグジー”ボーグズ(元シャーロット・ホーネッツほか)。バスケットボールは身長が高い選手が有利とされる中、ボーグズは160センチ61キロというサイズながらキャリア14シーズンをプレーし、889試合(うち先発は556試合)に出場してキャリア平均28.6分7.7得点2.6リバウンド7.6アシスト1.5スティールというすばらしい成績を残してきた。

 6フィート(183センチ)もあれば、日常生活では十分大きな部類に入るのだが、NBAでは最も低い部類となる。NBA選手の平均身長は、毎シーズン198センチから201センチを推移しており、なかには220センチを超える選手もいる。

 そんな中、6月28日(現地時間27日、日付は以下同)に『CBS Sports HQ』が2016-17シーズンにアイザイア・トーマス(現無所属)がボストン・セルティックスで残した功績をツイッターへ掲載。

 175センチ83キロのトーマスは、セルティックスのエースとしてリーグ3位の平均28.9得点に2.7リバウンド5.9アシストを記録。フィールドゴール成功率46.3パーセント、3ポイント成功率37.9パーセントとショット全般においても平均以上の数字を残し、オールスター、オールNBAセカンドチームに選出され、シーズンMVPの投票では5位に入った。

 するとトーマスは「6フィート未満の選手でこの時の俺に近いことをやってのけたやつはいない」とツイート。2011年のドラフトで2巡目全体60位という最下位指名ながら、オールスターへとはい上がった苦労人は、今季ワシントン・ウィザーズで40試合(うち先発は37試合)に出場して平均23.1分12.2得点3.7アシストを残すも、トレードでロサンゼルス・クリッパーズへ移籍後に解雇されてしまい、フリーエージェント(FA)となっている。

 NBA史上で見ても、最も低い部類に入るトーマスだが、得点力は折り紙付き。キャリア平均28.9分18.1得点2.5リバウンド5.0アシストを残しており、ディフェンス面では限界があるものの、オフェンス面では上々の数字を残してきた。

名門セルティックスでエースを務めたトーマス[写真]=Getty Images

「6フィート未満の選手で、あなたはベストなことをしている」(スマート)
「大好きなチームメートの1人。本物のベストディフェンダー」(トーマス)

 そんなトーマスに対して、セルティックス時代のチームメート、マーカス・スマートが元同僚へ「6フィート未満の選手で、あなたはこれまででベストなことをしている」と賛辞を送った。トーマスと共にプレーした約3シーズンというもの、スマートはエースを務めるトーマスを支えるべく、献身的な働きをしてきた。

 190センチ102キロのパワーガードは、ディフェンス面で毎試合スイッチディフェンダーを務め、ポイントガード(1番)からパワーフォワード(4番)、時にはセンター(5番)もガード。筋骨隆々の肉体と強靭なフットワーク、恐れ知らずのメンタリティを持ち合わせたスマートは、ディフェンス時にミスマッチとなりやすいトーマスをもカバーする貴重な役割をこなしてきたと言っていい。

スコアラーのトーマス(左)とディフェンダーのスマート(右)は、互いの弱点を補完し合う関係だった[写真]=Getty Images

 そんなスマートに対し、トーマスも「『もし勝利したいなら、マーカス・スマートをコートに出すこと』。これまでで大好きなチームメートの1人。どんな夜であろうと1番から5番までガードしてしまう、本物のベストディフェンダーだ」とレスポンスしていた。

 NBA史上において、公称6フィート未満の選手として挙がるのは、カルビン・マーフィー(元ヒューストン・ロケッツ/175センチ)、マイケル・アダムズ(元デンバー・ナゲッツほか/178センチ)、アール・ボイキンズ(元ナゲッツほか/165センチ)、デーモン・スタッダマイヤー(元ポートランド・トレイルブレイザーズほか/178センチ)、エイブリー・ジョンソン(元サンアントニオ・スパーズほか/178センチ)あたりか。だが得点力に限って見れば、トーマスがベストと言っていいだろう。

 トーマスは17年夏にトレードでセルティックスを退団したものの、これまで何度もボストンへの愛と感謝を口にしてきた。7月31日から始まる今季の第二幕へ向けて、トーマスのようなFA選手がNBAチームと契約できるのは7月1日まで。

スマート(右)はキャリアを重ねるごとにスイッチディフェンダーとしての存在感を増している[写真]=Getty Images

 セルティックスで再びプレーできれば、トーマスにとって最高のシナリオとなるものの、ロースターにはスマートのほか、ケンバ・ウォーカージェイレン・ブラウンブラッド・ワナメイカー、カーセン・エドワーズに今季Gリーグで新人王に輝いたトレモント・ウォーターズもいるため、頭数は十二分にそろっている。

 はたして、NBA史上最高級の小兵はNBAのコートへ戻ってくることができるのか。今後の展開が気になるところだ。

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