2020.06.30

4年目で昨季覇者のエースに就任し、大暴れを見せたシアカム/2019-20NBA通信簿選手編②

ラプターズの主砲となった今季、シアカムは自己最高の成績でチームの期待に応えた[写真]=Getty Images
NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに。現在はNBAやBリーグのライターとして活動中。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。6月に入り、7月31日からフロリダ州オーランドで22チームが参戦し、シーズンを再開することが決まった中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階

2019-20シーズンNBA通信簿選手編②パスカル・シアカム

所属:トロント・ラプターズ(イースタン・カンファレンス2位)
総合評価:A

■プロフィール
生年月日(年齢):1994年4月2日生まれ(26歳)
ポジション:フォワード
身長/体重:206センチ/104キロ
NBAキャリア:4年目
  
<今季ここまでの功績>
オールスター選出(初)
週間最優秀選手:2度

<2019-20シーズン 個人成績>
平均出場時間:35.5分(リーグ10位)
平均得点:23.6得点(リーグ15位)
平均リバウンド:7.5本
平均アシスト:3.6本
平均スティール:1.0本
平均ブロック:0.9本
フィールドゴール成功率:45.9%
3ポイント成功率:35.9%
フリースロー成功率:80.0%

■主要項目におけるシーズンハイ(相手チーム名は略称)
出場時間:43分35秒(2019年11月12日/対クリッパーズ)
得点:44得点(2019年11月9日/対ペリカンズ)★(キャリアハイタイ)
リバウンド:18本(2019年10月23日/対ペリカンズ)
アシスト: 8本(2020年3月10日/対ジャズ)★
スティール:5本(2020年1月31日/対キャバリアーズ)★
ブロック:4本(2度)★(キャリアハイタイ)
フィ―ルドゴール成功数:17本(2019年11月9日/対ペリカンズ)★
3ポイント成功数:6本(2度)★(キャリアハイタイ)
フリースロー成功数:10本(2度)★(キャリアハイタイ)
★=キャリアハイ

今季自己最高の8アシストを記録したように、パサーとしても進歩を続けている[写真]=Getty Images

開幕直前にマックス額で契約延長し、エースとして昨季覇者をけん引

 昨年10月。ディフェンディングチャンピオンとしてヒューストン・ロケッツとのジャパンゲームズで来日したシアカムは、第2戦(10日)を翌日に控えた9日の囲み取材で日本について聞かれると、こう切り返していた。

「僕は今回の旅ではほとんど寝てるね。午後8時に疲れて寝て、朝の3時には起きて、ちょっとしたらまた寝て、7時にはここにいるんだ。寝る以外、まだ何もするチャンスがなくて(笑)、それが今回の旅のこれまでの経験かな」。

 チーム練習やシュートアラウンドの時に白い歯を見せて楽しんでいたシアカムだが、ラプターズはカナダのトロントから13時間のフライトの末に来日。13時間という時差もあり、バスケットだけに集中していたのだろう。

 昨季MIPに輝いたカメルーン出身のフォワードは、カワイ・レナードがロサンゼルス・クリッパーズへ移籍したことで、今季はエースへと昇格。ジャパンゲームズ初戦で24得点11リバウンド4アシスト、第2戦では16得点7リバウンド4アシストと、いずれも30分未満のプレータイムながらエースとしての存在感を随所に垣間見せた。

ジャパンゲームズで来日したシアカム[写真]=伊藤 大允

 開幕直前にラプターズと4年1億3,000万ドル(当時のレートで約140億4,000万円)のマックス額で契約延長した“スパイシーP”は、開幕から毎試合20得点前後をたたき出して王者をけん引。12月に股関節を負傷し、11試合を欠場したものの、復帰後は再びチームのエースとして主にオフェンス面をリードし、出場した53試合すべてで2ケタ得点をマーク。

 王者ラプターズはシアカムをはじめ、カイル・ラウリーやフレッド・バンブリート、サージ・イバカマルク・ガソル、ノーマン・パウエルといった主力がいずれも10試合以上を欠場した中で、イースト2位の46勝18敗という好成績を残してきた。

 ニック・ナースHC(ヘッドコーチ)をはじめとする優秀なコーチングスタッフの働きは絶賛されるべきだろう。そして主力が複数欠場しようと戦い抜き、勝利を収めることができる強靭なメンタリティーは、シーズン再開後の“シーディングゲーム”(順位決定戦)や2連覇をかけて挑むプレーオフでも大きな武器となるだろう。

 エースとして臨むプレーオフで、シアカムがどのようなパフォーマンスを見せてくれるかは非常に楽しみだ。

成長著しいフォワードのさらなる活躍に期待したい[写真]=Getty Images

「このチームのリーダーとして、もっとうまくならないといけない」

 シアカムは昨年11月12日に行われたクリッパーズとの今季初戦を前に、昨季共にプレーしたレナードについて、『NBA.com』へこう話している。

「すごく多くのことを学んだ。特に、彼が持つどんな時でも焦らない冷静さは、自分のゲームにも加えようとしている。ショットを何本外そうが、自信を持ち続ける。彼にはそのタフさが備わっていた」。

「プロとしての在り方を学んだと思う。カワイはものすごい努力家で、オフの日であろうと練習していたよ。カワイはパスカルが自分に似ていると感じていたんだと思う。今年の夏、あの2人は一緒に練習していたようだしね。フロアでは多彩なムーブをはじめ、ピック&ロールやボールプッシュ、ポストプレーに3ポイントとか。パスカルはコート内外で多くのことを学んだと思う」とナースHCは言う。

今季の第二幕ではリング下のショットをより確実に沈めていきたい[写真]=Getty Images

 3月2日のデンバー・ナゲッツ戦で、シアカムはフィールドゴール21投中6本(成功率28.6%)しか決められずに16得点と沈黙。ラプターズが一度もリードを奪えずに15点差で大敗を喫すると、シアカムは地元メディア『THE STAR』へ「いつもなら決まるショットを何本も落としてしまった。特にリムの前のショットをミスしてしまった。ああいうショットをフィニッシュできるようにならないと。もっといいプレーをしなきゃいけない」と反省。

 そして「このチームのリーダーとして、もっとうまくならないといけない。日曜(ナゲッツ戦)のようなゲームはやっちゃいけない。イライラしてしまうけど、自分がやっていることについては信じてる。これからも向上し続けていくことを自分に課し、ハードにプレーし続けていく」と宣言し、こう続けた。

「それは僕自身にかかってる。こればかりは誰かに助けてもらうわけにはいかないんだ。自分が変わらないと、何も起こらないからね」と前を向いた。

 今季オールスターに初選出されたシアカムはまだ26歳。昨季のファイナルで初優勝を飾った後に「僕はこのレベルでプレーするのにふさわしい選手だと思っていた。僕の物語はまだ始まったばかりだ」と話していたように、今後も選手として成長していくに違いない。

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