2022.08.07
6月17日(現地時間16日、日付は以下同)に行なわれたNBAファイナル第6戦。ボストン・セルティックスはホームのTDガーデンに駆け付けた大勢のファンの前で奮戦するも、ゴールデンステイト・ウォリアーズに90-103で敗れ、2勝4敗で今季を終えた。
とはいえ、今季セルティックスが見せた戦いぶりは称賛に値するものだった。今年1月22日の時点で23勝24敗だったチームは、そこから白星を量産してイースタン・カンファレンス2位の51勝31敗でレギュラーシーズンをフィニッシュ。
プレーオフではファーストラウンドでブルックリン・ネッツを4戦負けなしのスウィープで下し、ミルウォーキー・バックスとのカンファレンス・セミファイナル、マイアミ・ヒートとのカンファレンス・ファイナルを4勝3敗で制し、2010年以来のファイナル進出を果たした。
第4戦から3連敗という悔しい形で今季を終えたセルティックス。就任1シーズン目を終えたイメ・ユドーカHC(ヘッドコーチ)には、アシスタントコーチ(AC)時代にも苦い思い出がある。
ユドーカがサンアントニオ・スパーズのACへ就任した2012-13シーズン。チームはヒートとのNBAファイナルで3勝2敗と王手をかけ、第6戦も終盤にリードを奪っていたのだが、レイ・アレン(元シアトル・スーパーソニックスほか)のミラクル同点弾で追いつかれてしまい、延長の末に惜敗。翌第7戦も落としており、あと一歩のところでチャンピオンの座をつかみ取ることができなかった。
そのため、ファイナルを終えたユドーカHCは「この負けは傷つくだろう。しばらくの間ね。たぶん、これから先も消え去ることはないだろう。私も以前、一度経験しているからね」と当時を振り返っていた。
もっとも、スパーズは翌13-14シーズンに再びファイナルへ返り咲き、ヒート相手に4勝1敗で見事リベンジを果たし、球団史上5度目の王座を獲得していたこともあり、ユドーカHCはこう話していた。
「これもメッセージのうちなんだ。この経験が、我々を前進させてくれる。我々は今シーズンに成長と前進を果たした。確かに、(ファイナルという)究極のゴールへたどり着き、数試合を落としてしまったことで傷つくことにはなるだろう。今は多くの選手たちがすごく感情的になっている」。
シリーズ第3戦を終えて、セルティックスは2勝1敗とリードしていたものの、第4戦以降はウォリアーズの強固なディフェンスの前にいずれも100得点未満に抑え込まれてしまった。
「この敗戦はつらい。ここまでたどり着いて、自分たちが望んでいたことを成し遂げられなかったんだからね。僕らはもっとうまくできたのかもしれない。僕はもっと多くの面でうまくできたのかもしれないという気がしている」(ジェイソン・テイタム)
「もちろんタフなこと。つらくなるだろう。僕はそう思っている。僕らはここまで勝ち上がって、(優勝するという)機会を手にしたんだから、乗り越えるべきだった」(マーカス・スマート)
チームを引っ張ったテイタムとスマートはそう語り、球団史上18度目の優勝を勝ち取ることができなかったことを悔しがっていた。それでも、テイタムが「僕らはやり合った。(レギュラー)シーズン、プレーオフをとおして努力し続けてきた」と語ったように、ファイナルこそ敗れたとはいえ、今季のセルティックスはイースタン・カンファレンスを制したのだから、勝者と言ってもいいはず。
テイタムと共に“ジェイズ(Jay’s)を形成し、チームを引っ張ったジェイレン・ブラウンは「どんな理由であれ、今年は僕らの時ではなかったということ。それは僕らには多くの面で学ぶべきことがあることを意味するんだ」と口にし、「未来は明るい。来年、また戻ってくることが楽しみだ」と話していた。
はたして、テイタムにスマート、ブラウンにアル・ホーフォード、ロバート・ウィリアムズ三世といった強力な布陣がそろうセルティックスは来季もプレーオフを勝ち上がり、ファイナルの舞台へ戻ってくることができるのか。
そのためにはプレーオフで3シリーズを勝ち抜かなければならないだけに、険しい道のりなのは間違いない。それでも、今年の敗戦を機に個人、そしてチームとして成長を遂げることができるのであれば、その可能性は十分あるのではないだろうか。
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