Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
3年ぶり通算8度目の開催となった「NBA Japan Games 2022 Presented by Rakuten & NISSAN」(以降、ジャパンゲームズ)は、ゴールデンステイト・ウォリアーズとワシントン・ウィザーズが2試合を戦い、昨シーズンの王者ウォリアーズが2連勝を飾った。
9月30日の第1戦で2万497人、10月2日の第2戦では2万647人と、会場となったさいたまスーパーアリーナでは2試合ともチケット完売となり、1日のサタデーナイトも含めた3日間で計6万人以上を動員。
ここでは、30日に都内で日本のメディア向けに行われたラウンドテーブルについてお届けしていこう。今回は複数の国内メディアが集まり、NBA副コミッショナー兼最高執行責任者(COO)のマーク・テイタム氏と、NBAアジア地区マネージングディレクターのラメズ・シェイク氏が質問に応じた。
まずは「日本でNBAをどのようにして主流化していくのか?」という質問に、シェイク氏がこのように答えていた。
「NBAをもっと日本へ伝えていくためには、やはり楽天グループ株式会社(以降、楽天)というメディアパートナーのストリーミングサービスが非常に有効になってきます。というのは、メディアへの接し方、メディア商品のあり方自体が、今は劇的に変わってきている中で最適な体験を、一番提供できるのではないかと思っているからです。2つ目の点としては、やはりライブ(生)で試合をご覧いただくという実体験だと思います。それがまさにこの週末、ご存じのように、日本の皆さまは、こういうイベントをつうじた体験をして、吸い込まれるように、ますますNBAを大好きになっていただけるというのが、2019年(前回のジャパンゲームズ)も見られましたし、今回もそのことに期待しています。
さらに、いろんな参加型のイベントも用意しています。触れ合える機会ですね。クリニックを用意したり、体験をしていただくというのは、今回(新型コロナウイルスの)パンデミック後の第1弾としてそれをやりましたけど、今後も継続させていただくことになると考えています」
また、テイタム氏はこのように付け加えていた。
「私たちも、もっといろんなことができるなと、改善の余地は常にあると思っています。そのうちの一つが、日本人のスター選手についてのストーリーというのを、もっと、きちんと伝えていかないといけないなと思っています。八村塁選手(ウィザーズ)が今回来日を果たすというのはもちろん大切です。ですが、渡邊雄太選手も今回ブルックリン・ネッツと契約をしましたし、ジェイコブス晶(横浜ビー・コルセアーズ)選手も、NBAグローバルアカデミー(オーストラリア国立スポーツ研究所にあるエリート育成プログラム)へ参加します。こういった選手たちがもっと活躍していける、出てくることで、もっと日本人のNBA選手のストーリーを前面に出して伝えていけたらなと思っています」
そしてシェイク氏は「まさにコンテンツの開発も重要になってきます。NBAフランチャイズを日本の視聴者の皆さまが望んでいるような形で展開していくということで、『NBA Kaiwa』、『NBA Kamiwaza』、『NBA Beat』、『NBAオンファイヤー』という番組を日本のファン向けに用意しております。そうすることによって、いろいろと違うオーディエンスの興味・関心に応えていきたいと思っています。ファンの方々は、NBAが大好きというだけでなく、ファッションやライフスタイル、音楽、スニーカーなど、いろんなものを含めてNBAとして見てくださっています。ですので、やはりそういったブランドとしての展開というのも大切にしています」と、一つ一つの言葉を大切にしながら真面目な人柄が伝わってくる表情と言葉で話していた。
2019、2022年と、ジャパンゲームズが開催されているものの、1990年から2003年までの6回はレギュラーシーズン(公式戦)だったのに対し、ここ2回はいずれもシーズン開幕前のプレシーズンゲーム。そこで「来年以降にまた日本で公式戦を開催する可能性はあるのか?」という質問に。
するとテイタム氏は「NBAと日本には長い歴史があり、北米のどの競技においても、1990年に初めて北米以外の国と地域で(公式戦を)開催しました」と切り出し、このように説明していた。
「プレシーズンとレギュラーシーズンの試合の違いは理解しています。プレシーズンが最適だと思っているのは、コミュニティと関わる機会を設けることができるというのが一番の利点だと思います。(レギュラーシーズンに向けた)準備期間中ですので、選手たちとしても、今回のスペシャルオリンピックや、女性に特化したバスケットボールクリニック『Her Time To Play』、児童養護施設を訪問するといったコミュニティと触れ合う時間をさくことができるというメリットがあります。やはりレギュラーシーズンの試合になってしまうと、そこに集中してしまうので、他の活動がしにくいという面があります」
続いて「ジュニアNBAや『Her Time To Play』など、若い世代へ向けた取り組みについて今後どうなっていくのか?」という質問になり、シェイク氏は「NBAにとってユースの育成というのはとても重要な課題でして、アジア太平洋地域全体で展開しています。今週のいろいろな体験をとおしまして、今後は日本の組織・団体と協力してやっていければと思っています」と対応。
また、今回のジャパンゲームズでは楽天に加えて日産自動車株式会社(以降、日産)のダブルネームとなり、日清食品ホールディングス株式会社(以降、日清)などほかの企業もパートナーになっている。今後の方向性について聞かれると、シェイク氏はこのように答えていた。
「パートナーに関しまして、今回のジャパンゲームズでは楽天、日産など史上最多の15社がパートナーに、そしてこのジャパンゲームズ以外でも、19社とプロモーション・パートナーシップを組んでいます。ジャパンゲームズ以外でも、今後もこういったパートナー様と共に関係を深めて、バスケ熱の勢いをさらに活性化していくことをやっていきたいと思っています」
これまで、ジャパンゲームズは1990、1992、1994、1996年と2年おきに開催され、その後も1999、2003年に開催されてきた。シェイク氏によると、2019年のドラフトで八村がウィザーズから指名されたこともあり、2020年に東京オリンピック、そして翌2021年にジャパンゲームズを開催するプランがあったものの、新型コロナウイルスの感染拡大によって2022年の開催になったという。
今シーズンのNBAは10月にアブダビ、12月にメキシコ、来年1月にパリで試合開催と、コロナ禍前に戻りつつある。そしてテイタム氏は「日本は最も重要な市場の一つで、長い歴史を私たちは誇っています。ですので、今後はもっと日本で試合ができることを私自身も期待しています」と今後も開催していく可能性を示唆していた。
日本にはBリーグというプロバスケットボールリーグがあり、今季で7シーズン目を迎える。「私たちはバスケットボールという競技をすごく大事にしておりまして、正式な関係はありませんが、Bリーグを支持しています。バスケットボールというものの人気、土台を築き上げていらっしゃるなと感じています」とシェイク氏が口にしていた。
Bリーグはすでに今シーズンが始まっており、NBAは19日(現地時間18日)にレギュラーシーズンが幕を開ける。今後もNBAがプレシーズン期間に定期的にジャパンゲームズを開催すれば、もしかすると2つのリーグが協力してNBAとNBL(オーストラリア)のように、NBAチームとBリーグのクラブによるエキシビジョンゲームが日本あるいはアメリカで実現するかもしれない。
コロナ禍から解放され、このまま両リーグが前進し続けていくことになれば、近い将来エキシビジョンゲームを開催する可能性があると期待したい。
文=秋山裕之
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