2023.06.02
NBAの2022-23シーズンで、ウェスタン・カンファレンスを制したのはデンバー・ナゲッツ。53勝29敗で第1シードとして臨んだ「NBAプレーオフ2023」で、ナゲッツはミネソタ・ティンバーウルブズとのファーストラウンドを4勝1敗、フェニックス・サンズとのカンファレンス・セミファイナルを4勝2敗で突破。
そしてカンファレンス・ファイナルではロサンゼルス・レイカーズを4戦負けなしのスウィープで撃破し、フランチャイズ史上初のNBAファイナル進出を決めた。
5月28日(現地時間27日、日付は以下同)の練習日にメディア応対をこなしたニコラ・ヨキッチは、球団史上初の快挙を成し遂げた現在の心境についてこう話していた。
「いや、特には。僕らが勝った時、勝利はいいことだった。けど30分もしたら、僕らはただ、『オーケー、勝利したんだ』ってなって、正直な話、特に(祝福してはいない)。それに僕はなにも祝福してはいない。リラックスできることを楽しんでいただけ」
チーム最古参のヨキッチは、今年のプレーオフ15試合で平均トリプルダブル(29.9得点13.3リバウンド10.3アシスト)に1.1スティールの大暴れを見せており、レイカーズのレジェンド、アービン“マジック”ジョンソンの名が冠されたウェスタン・カンファレンス・ファイナルMVPに満場一致で選出。
ウェスト決勝ではシリーズ平均得点こそ相棒のジャマール・マレー(32.5得点)がトップだったものの、ヨキッチはシリーズ平均トリプルダブル(27.8得点14.5リバウンド11.8アシスト)に1.3スティール1.3ブロックと、申し分ない活躍でナゲッツをファイナルへ導いた。
ナゲッツの主軸はこのヨキッチとガードのマレー。2020年以来のプレーオフで大暴れを見せている今年のマレーについて、セルビア出身の万能型ビッグマンは「彼は(ウェスト決勝で)平均30得点にすごい成功率を残した。あれを実際にやるのは本当に難しいことだと思う」と語り、さらにこう称えていた。
「でも彼は点を取ることだけじゃない。ファーストラウンドから、彼のエナジーも見事なんだ。このチームのベストプレーヤーになっているし、ステップアップしてくれているよ。ショットが決まらなくても、彼の持つエナジーはいつだって好影響を与えてくれるんだ。
もちろん、ご存じのように彼はショットを決めることができるし、50得点だって可能だ。でもうまくいかない時でも、彼が落ち込むことはない。プレーを続けるし、戦い続けるんだ。今の彼についてベストなのはその点だと思う」
今年のプレーオフで平均27.7得点5.5リバウンド6.1アシスト1.7スティールを記録中のマレーは、レイカーズとのシリーズで両チーム最多となる平均32.5得点に6.3リバウンド5.3アシスト2.8スティール、さらにフィールドゴール成功率52.7パーセント、3ポイントシュート成功率40.5パーセント、フリースロー成功率95.0パーセントという驚異的な成績を残した。
6月2日に幕を開ける「NBAファイナル2023」でナゲッツと対決するのは、現在イースタン・カンファレンス・ファイナルを戦っているボストン・セルティックスとマイアミ・ヒートの勝者。3勝3敗で並んでいる両チームは、30日に最終第7戦が行われるため、ようやくナゲッツの対戦相手が決まることとなる。
球団史上初のNBAファイナルへ臨むナゲッツには、アーロン・ゴードンやマイケル・ポーターJr.、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープ、ブルース・ブラウン、ジェフ・グリーンといった実力者たちがいるものの、やはりカギとなるのはヨキッチとマレー。
NBAファイナルを迎える前の時点で、プレーオフ平均トリプルダブルを達成してきたのは1967年のウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・ウォリアーズほか)、1982年のマジックと今年のヨキッチの3選手のみ。そしてマレーはこれまで、プレーオフの第4クォーターだけで20得点以上を4回も記録。ここ25年間で、プレーオフの最終クォーターに複数回の20得点超えをマークした選手はアレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか/2回)しかいない。
つまり、ナゲッツにはNBA史上屈指のオールラウンドなビッグマン(ヨキッチ)と、この四半世紀で最高級の爆発力を秘めたスコアリングガード(マレー)がそろっているということ。
この2人を中心に、ナゲッツがイーストを勝ち上がってくるチームを相手に頂上決戦でどんなシリーズを繰り広げることになるのか。その日が来るまで、今はただ、楽しみに待ちたいところだ。
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