2023.07.18

「優勝のためならなんだってやる」…昨季のMVPエンビードがシクサーズの将来を不安視?

シクサーズの大黒柱として君臨するエンビード[写真]=Getty Images
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「俺は王座を勝ち取りたいだけ。それがどこになるのかは俺にも分からない。フィリーになるのか、それともほかのどこかになるかね」

 フィラデルフィア・セブンティシクサーズジョエル・エンビードは、2022-23シーズンにリーグトップの平均33.1得点に加えて10.2リバウンド4.2アシスト1.0スティール1.7ブロック、フィールドゴール成功率54.8パーセントをたたき出した。

 213センチ127キロのサイズに豊富なスキルを兼備する男は、昨シーズンだけで13度の40得点超え、50得点ゲームも3度マークするなど猛威を振るい、レギュラーシーズンMVPに初選出。

 リーグ最高級のビッグマンとして今夏を迎えた29歳は、7月14日(現地時間13日、日付は以下同)に『Uninterrupted Sports Film Festival』でマーベリック・カーターとのインタビューに応じ、シクサーズにおける将来について語ったことが18日に一気に拡散されることとなった。

「俺はチャンピオンシップを勝ち取りたいだけ。そのためならなんだってやる」と口にしたエンビードは、続けてこのように話していた。

「それがどこになるのかは俺にも分からない。フィリーになるのか、それともほかのどこかになるかね。俺はただそれを成し遂げるチャンスが欲しいんだ。簡単なことじゃない。そのためには2、3人以上は必要になってくる。周囲にそういう人間がいることが必要だ。俺自身は、どんな日でもそのレベルへ達するためにハードに練習し、自分たちをそこへ引き上げるべくやっていく。そのゴールに向かって、日々努力していくこと、それが俺のマインドセットになっている。MVPというのはあくまで予想外のボーナスなのさ」

 現在リーグで最も支配的とも言われるプレーを見せるエンビードは、まぎれもなくシクサーズを象徴するスーパースター。昨シーズンにMVPを受賞したとはいえ、その前もこれから先も、この男が掲げる目標はリーグ制覇にほかならない。

 ただ、将来この男がシクサーズではなく他チームへ移籍して優勝を目指す可能性があることも示唆していたことで、注目を浴びることとなった。

 エンビードの現行契約は2026-27シーズンこそプレーヤーオプションながら、残り3シーズンはシクサーズの契約下におり、超高額な契約を結んでいるというのが現状。

 昨シーズンのシクサーズは、イースタン・カンファレンス3位の54勝28敗でレギュラーシーズンを終えた。これはリーグ全体でも3位の好成績だった。エンビードの周囲にはジェームズ・ハーデンタイリース・マクシートバイアス・ハリスPJ・タッカーといった選手たちがおり、優勝候補の一角としてプレーオフを迎えた。

 だがカンファレンス・セミファイナルでボストン・セルティックス相手に3勝2敗で王手をかけるも、第6戦から2連敗を喫して3勝4敗で姿を消した。シクサーズは3年連続、ここ6年間で5度目のカンファレンス・セミファイナル敗退と、カンファレンス・ファイナル進出を飾ることができていない。

昨シーズンのプレーオフではセルティックスに敗れた[写真]=Getty Images

 ここまでの道のりをエンビードはこう振り返る。

「チャレンジは好きだ。何度も悔しい思いをすることになる。何度も何度も、同じことが起こってしまうことがある。俺はこれまでリーグで一度も機会を手にしていないんだ。それは毎年、違うチームになって、いつも何かが変わっている気がしている。でも俺はチャレンジすることが好きなんだ。誰がチームにいようと関係なく、俺はコートに立って、自分のチームを勝利する位置へ導くべく、ベストなことをしようとしているんだ」

 今シーズンのシクサーズは、ドック・リバースに代わってニック・ナースが新たな指揮官として就任。シェイク・ミルトン(現ミネソタ・ティンバーウルブズ)、ジョージ・ニアン(現クリーブランド・キャバリアーズ)が移籍も、新たにベテランガードのパトリック・ベバリー、ビッグマンのモー・バンバと契約し、ポール・リード、モントレズ・ハレルと再契約したことで、エンビードの控えも頭数は十分そろっている。

 ただ、プレーヤーオプションを行使して残留したハーデンが出たがっており、チーム側とともにトレード先を模索している状況が続いているため、開幕前までにロスターが大きく変動する可能性がある。

 新たな指揮官の下、シクサーズはどんなチームとなるのか。その最重要選手がエンビードなのは間違いないだけに、この男がどのようにしてチームをまとめていくか、注目していきたい。

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