2024.07.16

【パリ五輪注目選手】シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(カナダ代表)「2季連続平均30得点越えのNBA“準MVP”」

24年ぶり五輪出場のカナダ代表を率いるアレクサンダー[写真]=Getty Images
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7月27日から8月10日にかけて開催される「パリ2024オリンピック競技大会」。4年に一度の世界一決定戦を前に、バスケットボールキングでは今大会で活躍が期待される注目選手をピックアップした。

文=秋山裕之

■過去2シーズンでNBAスターに覚醒

 1998年7月12日。カナダのオンタリオ州トロントで生まれた男は、同州西部にあるハミルトンで育った。母シャーメイン・ギルジャスは、カリブ海に浮かぶ島国アンティグア・バーブーダ代表の陸上競技選手として1992年バルセロナ・オリンピックに出場した実績を持ち、父ボーン・アレクサンダーが幼い頃にギルジャス・アレクサンダーのコーチを務めた。

 高校最初の2年間はハミルトン(2校)、3、4年次にはアメリカのテネシー州チャタヌーガにあるハミルトンハイツ・クリスチャンアカデミー高へ転校してスキルアップに励んだ。その後ケンタッキー大学へ進学し、1年次の2017-18シーズンに平均14.4得点4.1リバウンド5.1アシスト1.6スティールをマークすると、2018年のNBAドラフトへアーリーエントリー。

 同年のドラフト1巡目11位でシャーロット・ホーネッツから指名されたコンボガードは、ドラフト当日のトレードでロサンゼルス・クリッパーズへ移籍してNBAデビュー。2018-19シーズンに82試合へフル出場し、平均10.8得点2.8リバウンド3.3アシスト1.2スティールを残してオールルーキーセカンドチームに選ばれた。

クリス・ポールら名PGとの共闘を経て成長[写真]=Getty Images


 2019年7月、ギルジャス・アレクサンダーはポール・ジョージ(現フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)が絡んだトレードでサンダーへ移籍。在籍1年目の2019-20シーズンから主力の一角を務め、クリス・ポール(現サンアントニオ・スパーズ)とデニス・シュルーダー(現ブルックリン・ネッツ)からリーダーシップを学びながらプレーオフ進出に貢献。

 その後サンダーでトップスコアラーとしての地位を確立し、2022-23シーズンは平均31.4得点4.8リバウンド5.5アシスト1.6スティール、翌2023-24シーズンには同30.1得点5.5リバウンド6.2アシスト2.0スティールを残し、リーグトップレベルの選手へと成長していった。

 現在は2シーズン連続でオールスターとオールNBAファーストチームに選ばれ、昨シーズンはMVP投票で2位のポイントを獲得し、チームはウェスタン・カンファレンス首位の57勝25敗で4年ぶりのプレーオフ出場を飾っている。

圧倒的得点力でチームをけん引した[写真]=Getty Images

■W杯でカナダ代表デビュー、24年ぶり五輪出場権獲得の立役者に

 198センチ81キロのガードは、スムースなボールハンドリングと緩急自在のドライブでスルスルとペイントエリアへ侵入し、鮮やかなスピンムーブや軽快なフットワークを駆使して点を重ねていく。ドライブからレッグスルーやビハインド・ザ・バックのクロスオーバードリブルで相手を交わして高精度なミッドレンジジャンパーを仕留めることも可能で、ビッグマン相手でも巧みなフェイクやタイミングをずらして翻弄してしまう。

 それは国際大会でも同様で、カナダのシニア代表デビューを飾った昨年の「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」では同国を初の銅メダルへ導き、大会平均24.5得点6.4リバウンド6.4アシスト1.6スティールを残してオールスター5(ベスト5)に名を連ねた。

 W杯で3位に入ったカナダ代表(FIBAランキング7位)は、2000年のシドニー大会以来初のオリンピック出場も決定。パリ五輪ではスペイン代表(同2位)、オーストラリア代表(同5位)、ギリシャ代表(同14位)とグループAで競い合っていく。

 7月11日(現地時間10日、日付は以下同)に行われたアメリカ代表とのエキシビジョンゲームを72-86で落としたカナダだが、20日にフランス代表戦、22日にはプエルトリコ代表戦が組まれており、残り約2週間で仕上げてくることが予想されている。

アメリカとの親善試合では約19分の出場で10得点[写真]=Getty Images


「(周囲からの)期待については気にしていない。僕らは勝つために取り組んでいかなきゃいけない。自分たちで勝ち取るためにね。僕らはそのことにフォーカスしている」とギルジャス・アレクサンダーは語る。

 カナダ代表が唯一オリンピックでメダルを獲得したのは1936年のベルリン大会の銀メダル。昨年のW杯メンバーが複数残るロスターにジャマール・マレー(デンバー・ナゲッツ)を含む現役NBA選手たちを加えたカナダは、この男を中心とした布陣で虎視眈々とメダル獲得を狙っている。

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