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『FIBA女子ワールドカップ2022予選』で、2月10日の初戦に対戦するのがFIBAランキング4位のカナダだ。近年の国際大会ではベスト4以上に進出したことはないが、2012年以降はオリンピックやワールドカップの世界大会において、決勝トーナメントに進出する安定した実力を見せている強豪である。
カナダは節目で対戦している相手だ。古くは1996年のアトランタ五輪。ベスト8進出をかけた大一番で対戦し、延長となる死闘を制した日本が決勝トーナメントに進出を決めている。2012年にはロンドン五輪の世界最終予選で対戦。最後の1枠をかけた決戦において老獪なゲーム運びを見せつけられ、日本は63−71で敗れて悔し涙に暮れた。カナダはこのロンドン五輪以降、世界の上位へ躍進している。また、直近では2020年2月のオリンピック世界予選で対戦。日本は髙田真希と宮澤夕貴を負傷で欠いており、68−70で惜敗。これまで、あと一歩のところで勝ち切れない相手がカナダなのである。
だが、カナダは昨年の東京五輪では決勝トーナメントに進めなかった。グループラウンドでは韓国に21点差で快勝したものの、セルビアとスペインに敗れてグループ3位。決勝トーナメント進出に向けては、3位グループの中で最後の一枠を争っていたが、オーストラリアが25点差以上でプエルトリコに勝利するという厳しい条件をクリアしたために、最後の一枠はオーストラリアの手に渡り、2大会続いていたオリンピック8強の座から脱落した。
東京五輪を終えてカナダはコーチングスタッフを一新。2002年から2021年までの長きにわたり、主要大会ではアリソン・マクニール(2002~2012)とリサ・トマイディス(2013~2021)という2人の女性指揮官が世界上位に躍進するチームを作ったが、オリンピック8強を逃したことで改革の時期を迎えている。
今年より指揮を執るのはスペイン人のビクトル・ラペーニャ。2012、2014年にはU17ワールドカップで女子スペイン代表を銀メダルへ導き、2014年ワールドカップと2016年リオ五輪では前スペイン代表のルーカス・モンデーロHC(トヨタ自動車アンテロープスHC)の下でアシスタントコーチを務め、どちらの大会も銀メダル獲得に貢献した人物である。
またアシスタントコーチは2021年よりWNBAシアトル・ストームでヘッドコーチを務めているノエル・クインが就任。現役時代、2016~17年には渡嘉敷来夢とシアトルでチームメートであり、2018年にはシアトルで優勝した経験を持つコーチだ。
カナダは今、コーチングスタッフのみならず、選手も世代交代の時期に差し掛かったといっていいだろう。東京オリンピックでカナダ選手団の旗手を務めたミランダ・アイムが東京五輪後に現役引退を表明。キム・ゴーシュやナヨ・レインコック・エクンウェらのベテラン勢も今回は名を連ねていない。また、今回はWNBA選手でエースのキア・ナース(182センチ、25歳)がヒザの負傷で欠場することも大きな痛手だ。
そんな中でチームの軸となるのはWNBAプレーヤーの2人。インサイドのナタリー・アチョンワ(191センチ、29歳)とウイングのブリジット・カールトン(185センチ、24歳)だ。センターのケイラ・アレクサンダー(193センチ、31歳)、ガードのナーラ・フィールズ(176センチ、28歳)もWNBAでプレー歴があり、豊富なキャリアを生かしたプレーをする。19名の候補の中にはルイビル大で今野紀花とチームメイトのメリッサ・ラッセル(180センチ、19歳)も含まれている。軸となる選手は健在だが、エースとベテランが抜けた穴を埋めるチームケミストリーができているかが課題となるだろう。
スタイルとしては、タフなインサイドの攻防と的確なシュートをクリエイトするチーム。3ポイントの試投数はオリンピックでは最下位(日本31.7本/カナダ16.3本)でアウトサイド中心の日本とは対照的なスタイルだが、ナタリー・アチョンワはジャンプシュートが得意で、インサイドから外にさばくパスがうまく、2020年のオリンピック世界予選では苦戦した相手だ。恩塚ヘッドコーチは「カナダは個人とチームの規律が植え付けられている堅いチーム。重たい試合にならないことが一つのポイント」と印象を語り、準備を進めている。
東京五輪後に新しいスタートを切ったカナダ代表。新生カナダがどのような戦いぶりを見せてくれるのか、日本にとって要注意であることに変わりはなさそうだ。
文=小永吉陽子
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