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『B MY HERO!』
台湾の学校は9月始まりため夏休みに入っており、この時期は秋からのリーグ戦に向けて、各地で強化大会が盛んに行われている。その中でもこの松山カップは、全国上位の高校や、チャイニーズ・タイペイU18代表やU20代表など8チームが参戦するレベルの高さを誇る。さながら台湾版『能代カップ』といえる大会だろう。2回目の今年は、U20代表が全勝優勝。以下、福岡第一、U18代表、明成の順位となり、日本から参戦した両校の奮闘が光った。
また、両校は遠征中の7月2日に台北市にて開催された「FIBAワールドカップ1次予選」の日本対チャイニーズ・タイペイ戦を観戦。日本代表の活躍に刺激を受け、とくに明成のOBである八村塁の奮闘にはひときわ大きな声援を送っていた。
※高級中学(日本における高校に相当、以下、高中と略)
今年のインターハイはU18アジア選手権と日程が重なるために、代表選手はインターハイに出場することができない。エースである松崎裕樹と河村勇輝の代表選出が有力視されているために、今回は彼ら2名を外し、さらに負傷中のディアラ・イソフと古橋正義を治療に専念させ、選手層を厚くするために松山カップに挑んでいた。ライバルである明成には大黒柱のクベマジョセフ・スティーブが終盤に負傷したことで失速したのは反省点だが、ガードの小川麻斗を軸にU18代表に競り勝ち、2位の成績を収めたことは収穫だ。
「この大会では、チャイニーズ・タイペイのアグレッシブなバスケに触れ、インターハイで戦うメンバーを鍛えられたことが良かった。海外の大会に出ると、ご飯をしっかり食べたり、体調管理をしたり、挨拶ができるかといった人としてのファンダメンタルや、パスやドリブルが弱いといった不足する基本技術が目につきます。明成に負けたのはそういう部分。九州にいると、うちや大濠(福岡大附属大濠)が抜けているから見過ごしてしまうことばかりで、この大会で原点に戻ることができました」(井手口コーチ)
この遠征中に「日韓中ジュニア交流競技大会」の代表選考を兼ねた強化合宿があったため、候補選手の田中裕也は松山カップを欠場。今年の明成は下級生が多く試合に出場するため、この遠征ではエースを欠く中での鍛錬の場となり、チーム全体の底上げを図っていた。
「チャイニーズ・タイペイはコンビネーションプレーに課題はあるけれど、1対1のアグレッシブさがあり、ボディコンタクトが強い。それに比べると日本は競り合った時にプレーをやめてしまう傾向がある。バスケの質が違う国と対戦することで、自分たちの足りないものを見つけ、新しいことを注入するいい機会になった。ただ、そうした中で戻るところはやっぱり基本プレーだと再確認。ボディコンタクトの中でいい状況判断ができるようにこれからも練習したい」(佐藤久夫コーチ)
なお、チャイニーズ・タイペイU18代表は、この他に強豪の南山高中の選手を加えて最終的な12名を選出するという。サイズでは2メートル台が2人いて、パワフルな布陣であることにも注目したい。
【順位】
1位 チャイニーズ・タイペイU20代表(7勝)
2位 福岡第一高校(5勝2敗)
3位 チャイニーズ・タイペイU18代表(5勝2敗)
4位 明成高校(4勝3敗)
5位 能仁家商(3勝4敗)
6位 三民家商(2勝5敗)
7位 松山高中(1勝6敗)
8位 高苑工商(1勝6敗)
【個人賞】
◆ベスト5
クベマジョセフ・スティーブ(福岡第一) 木村拓郎(明成) 高國豪(U20) 林彦廷(U18)李毓辰(松山)
◆ハッスル選手賞
小川麻斗(福岡第一) 越田大翔(明成)ほか各校一人ずつ選出
【試合結果】
福岡第一(5勝2敗)
〇70-59 vs U18代表
〇85-54 vs三民家商
●66-73 vs U20代表
〇72-52 vs能仁家商
〇74-53 vs高苑工商
●60-74 vs明成
〇63-61 vs松山高中
明成(4勝3敗)
〇79-68 vs三民家商
〇78-46 vs高苑工商
〇71-67 vs松山高中
●76-85 vs能仁家商
●52-83 vs U20代表
〇74-60 vs福岡第一
●37-98 vs U18代表
文・写真=小永吉陽子