2025.09.15

存在感を放った守備職人と18歳の新星…ユーロバスケット個人賞に輝いたNBA未所属選手たち

[写真]=fiba.basketball

FIBAユーロバスケット2025』は、ドイツの優勝と『FIBAワールドカップ2023』に続くデニス・シュルーダー(サクラメント・キングス)のMVPで大団円となったが、今大会はNBA未所属選手の台頭も鮮烈だった。

 河村勇輝の道が切り開けたように、国際舞台はNBAのフロントも熱視線を送る格好のスカウティングの場。本稿では閉幕と同時にアナウンスされた個人賞リストから、存在感を放った“NBA未所属選手”をピックアップする。

文=Meiji

■最優秀守備選手賞:イザック・ボンガ(ドイツ代表)

[写真]=fiba.basketball


 新設された最優秀守備選手賞は、大会屈指のロックダウンディフェンダーだったドイツ代表フォワードに贈られた。

 FIBAは、ドイツを1993年以来のユーロバスケット制覇に導いたボンガを「ディフェンス面で圧倒的な存在感を発揮した」と賞賛。同国のアラン・イブラヒマジックヘッドコーチは、大会を通じて対戦相手のエースをボンガに託したが、背番号0を背負った25歳は見事にその期待に応えてみせた。

 グループリーグでは、本大会で平均23.1得点を叩き出し、オールスター・セカンドチームにも選出されたラウリ・マルカネン(ユタ・ジャズ)を、同選手が出場した全9試合のうち最もロースコアとなる11得点、フィールドゴール成功率26.7パーセントに抑えて完封。準決勝で再びマッチアップした際にも軍配はボンガに上がり、マルカネンをフィールドゴール17本中6本成功、計16得点に封じ込め、フィンランド代表を3位決定戦に送り込んだ。

 また、NBAでも指折りの存在であるルカ・ドンチッチ(ロサンゼルス・レイカーズ)相手にもひるむことなく、スロベニア代表と激突した準々決勝でドンチッチは39得点を挙げたものの、シュートは25本中11本成功と振るわず。さらに、決勝戦では自身が20得点、フィールドゴール成功率72.7パーセント、3ポイントは4本全て成功という高効率を発揮し、攻守の両サイドでトルコ代表の脅威となった。

 2018年に全体39位でレイカーズ入りを果たし、その後もワシントン・ウィザーズやトロント・ラプターズに在籍したボンガだが、目立った成績を残せずに2022年以降はヨーロッパに活躍の場を戻していた。しかし、NBAのエース格とも互角に渡り合うことが証明されたことで、再び最高峰の場でプレーする機会を望むかもしれない。

■ライジングスター賞:ミッカ・ムウリネン(フィンランド代表)

[写真]=fiba.basketball


 フィンランド代表の歴史的な快進撃にベンチから一役買ったムウリネンは、バネのある豪快なダンクで本大会における最も印象的なハイライトを残した。

 わずか18歳のハイフライヤーは、若さから溢れ出るエナジーでチームに勢いをもたらす存在だった。出場時間は平均11分間と決して長いプレータイムではなかったが、平均6.6得点、フィールドゴール成功率60.6パーセントを記録。2ポイント成功率は87.5パーセントという正確性で、3ポイント成功率も35.3パーセントと上々の出来だった。

 ムウリネンは、2023年に開催された『FIBA U16欧州選手権』で一躍名前を轟かせ、昨年からフィンランドのトップチームに仲間入りを果たした同国期待の若手だ。現在は、今年のドラフト7位指名でニューオーリンズ・ペリカンズに加入するジェレマイア・フィアーズの母校、AZコンパス・プレップに在籍しており、『ESPN』におけるClass of 2026の評価は全米15位、センターを主戦場とする選手に限定すれば全体1位の高評価を受けている。

 デューク、ケンタッキー、ノースカロライナ、アーカンソー、ミシガンなど、すでに名門大学からのオファーを受け取っているムウリネン。抜群のアスレチック能力と機動力、攻守でのインパクトがNCAAでも際立てば、ワン・アンド・ダンでNBA入りを果たすに違いない。

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