2018.05.18

【この一足~バッシュへのこだわり】安藤誓哉「一体感と、足首が自由になる感覚が好きです」

今シーズンからADIDASのバッシュを履いてプレーする安藤誓哉選手
シューズコーディネーター

Bリーガーにバッシュへのこだわりを聞いていく連載、第6回。今回登場するのは、安藤誓哉選手(アルバルク東京)。チャンピオンシップのセミファイナルに進出するチームの司令塔たるスピードスターは、どんなバッシュを相棒としたのか?

取材協力=アルバルク東京
文=CARTER_AF1

ソックスのような履き心地のADIDAS『DAME 4』

安藤選手が履くのはデイミアン・リラードのシグネチャーモデル、ADIDAS『DAME 4』[写真]=B.LEAGUE


――現在履かれているバッシュを教えてください。
安藤  デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)のシグネチャーモデルである、ADIDASの『DAME 4』を履いています。

――『DAME 4』は、どういったバッシュでしょうか。
安藤  これまでのバッシュではシュータンがあるのが一般的だと思いますが、この『DAME 4』では短いソックスのような作りになっています。まず靴ひも(シューレース)を結ばなくても、そもそもしっかりフィットするようになっていて、それに加えてシューレースを結ぶので、他のバッシュとは少し違う感覚ですね。

――ソックスのような一体感があり、さらにそれをシューレースで締め上げられると。
安藤  今季の初めはシリーズの前作である『LILLARD 3』も履いていたんです。『LILLARD 3』はローカットながら、少しボディに硬さもありました。それが『DAME 4』になると、ソックスのようなイメージで履けるので、そこがいいなと。

――ただこのバッシュ、シューレースを締め上げるのが難しくないですか? 私はちょっと苦労したのですが(笑)。
安藤  そうですね(笑) でもそれはもう、慣れました(笑)。

――それはそうですよね(笑) それでは、現在ADIDASの数あるバッシュの中でも、この『DAME 4』を選んだのはなぜでしょうか。 「これが良かったから、自分はこれをゲームで履こうと思った」という決め手があったなら教えてください。
安藤  まず、デザインはすごく好きだったというのが1つ。もう1つは先ほど説明した、ソックスのような一体感ですね。シューレースを結ばなくてもしっかりとフィットする、そこがすごく好きです。

――他の機能面ですと、例えばNIKEならクッショニングシステムがエアだったりルナロンだったりしますが、この『DAME 4』ですとバウンスです。そのクッションの違いというのは、安藤選手はどう感じていらっしゃいますか?
安藤  いやあの、自分はそこまで繊細ではないので(笑) ただとにかくクッション性は高いので、その部分に関しては簡単に感じとれました。

――このモデルは評判を聞くとバックコートプレーヤー、特にスピードプレーヤーに好まれているようなのですが、やはりスピードのあるプレーを重視される安藤選手としても、十分なクッションと、足へのフィット感で良かったと。
安藤  はい、そうですね。あとくるぶしのところが硬くないのでも気に入っている点です。

――カットが高くて足首をがっちり固められる作りはあまりお好みではない? 足首はある程度自由な方がよいと?
安藤  はい、そうしたことも履いてみて気づきました。柔らかくてすごいいいな、と。

――続いて安藤選手のこれまでのキャリアについておうかがいします。バスケを始めたのはいつですか?
安藤  小学1年生からです。

――それから今日まで、どういったバッシュを履いてきたかを教えてください。
安藤  小学生の頃はASICSでした。ミニバスではずっとASICSのジュニアモデルを履いていました。中学生になってからはGEL系を履きました、BURSTシリーズとかHOOPシリーズとかを。それから、中学の途中からNIKEにしました。

――中学の途中からNIKEに変えたのには、理由というか、何かきっかけがあったのですか?
安藤  いやまあ、カッコよかったので(笑)。

――カッコよさは大事ですよね(笑) ちなみに、NIKEで最初に履いたバッシュは覚えていますか?
安藤  『ZOOM FLIGHT 5』です。

――安藤選手も『ZOOM FLIGHT 5』を。これはもう、Bリーガーはみんな『ZOOM FLIGHT 5』を履いてきたんじゃないかって疑惑が持ち上がりそうです(笑) 安藤選手が『ZOOM FLIGHT 5』を履こうとしたきっかけというのは?
安藤  それはもう、同じ部活の先輩の影響です。先輩が履いていたのを見て、あの(側面に位置して色が変化する)玉がとにかくカッコよくて。

――NIKEで初めて履いた『ZOOM FLIGHT 5』、実際履いてみてどうでしたか?
安藤  いや~とても履きやすかったです。中学2、3年生の頃ですけど、よく覚えています。

――では、高校生になってからはいかがですか?
安藤  高校ではMIZUNOです。WAVE REALシリーズを履いていました。シリーズの最初の頃だったと思います。

――高校3年間は、そのままずっとMIZUNOで?
安藤  はい、そうでした。それから大学に入ってからは、またNIKEにしました。あの頃は『ZOOM FLIGHT 5』の復刻版のような、『ZOOM UPTEMPO 5』が出ていましたよね? あれを履いたのは覚えていますね。あとは、KDシリーズなども履きました。

大学時代はいろいろなモデルを履いてプレーしていたという

――KDですか! その頃だと…
安藤  『KD 5』です。大学1年の時は『ZOOM UPTEMPO 5』を結構履いていて、2年になってから以降は色々履いたんですよね。『KD 5』も履きましたし、KOBEシリーズの『KOBE 8』も履きました。

――そうなると、もしかしてLEBRONシリーズとかも?
安藤  はい、少し履きました。

――大学時代はそうして、NIKEのシグネチャー系をかなり履かれていたのですね。安藤選手はその後、カナダでプレーされていますが。その当時、安藤選手は何を履かれていましたか?
安藤  カナダでは『KOBE 9』を履いていました。

――現地では「これが流行っていた」とかありましたか。
安藤  そうですね~、チームメイトは皆AIR JORDANシリーズを好んでいましたね。『AIR JORDAN 11』を履いている選手が多かったです。試合で履くのが皆好きじゃないですか、『AIR JORDAN 11』って。

――続くフィリピンでのプロ生活では?
安藤  『KOBE 10』です。

――現地で人気があるのは、やはりNIKEやJORDANでしょうか。
安藤  はい、そうでした。

MVPを狙うならADIDASを

――フィリピンから帰国されてからは栃木ブレックスでプレーされ、その後は秋田ノーザンハピネッツと契約されました。日本に戻られてからもNIKEを履かれていたかと思いますが、どういったバッシュを履かれていたのでしょうか。
安藤  KYRIEシリーズですね。栃木の時は『KYRIE 1』だったかと。秋田では『KYIRE 2』でした。

――例えば子供の頃に憧れて履きたかったけど履けなかった、というようなバッシュは何かありましたか?
安藤  う~ん……”ペニー”のモデルですかね。アンファニー・”ペニー”・ハーダウェイ(元オーランド・マジック他)のバッシュ。『AIR FOAMPOSITE ONE』は履いてみたいと思っていましたけど、子供の頃は買えなくて。自分はアンファニー・ハーダウェイが好きだったんです。

――ペニーのファンで履いてみたかったけど、手に入れられなかったと。
安藤  はい。あとは、(REENBOKの)アレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズ他)のシリーズなどもそうです。そちらは買えなかったというわけではないですが履けなくて。アイバーソンのANSWERシリーズも履いてみたかったですね。

――やはりガードが履いているシグネチャーモデルなんですね。わかりました。それでは、今まで履かれたバッシュで最も印象深いものを、それにまつわるエピソードとともに教えてください。
安藤  そうなるとADIDASにサポートしてもらって今履いている『DAME 4』ですね。(サポートを受けて)最初のシーズンなので。

――ADIDASとパートナーになった最初のシーズンに履いていることもあって、このバッシュがご自身のキャリアで一番印象に残っていると。
安藤  はい、そうです。

安藤選手がプレーを参考にしているというJ.J.・バレア(写真左)[写真]=Getty Images


――安藤選手が参考にしている、憧れているNBAプレーヤーがいたら教えてください。
安藤  J.J.・バレア(ダラス・マーベリックス)【注1】ですね。

【注1:ホセ・”JJ”・バレアは、プエルトリコ出身のポイントガード。180センチ程度というNBAでは非常に小柄ではあるが、その体格の不利を補う巧さとメンタルの強さにより、ベテランの域となった今季もダラス・マーベリックスでプレーした】

――おー、ホセ・バレアですか! 今バレアの名を聞いて思ったのですが、安藤選手のマンツーマンディフェンスのスタイルが、ちょっとバレアのイメージと重なりました。あのディフェンスの当たりのしぶとさというのは、バレアが好きだからこそなのかなと。しかし、「憧れの選手はペニー」とおっしゃるのかと思ったので、意外でした(笑)。
安藤  いえ、それこそカイリー・アービング(ボストン・セルティックス)も好きですよ。あとはデイミアン・リラードも好きです。(リラードのシグネチャーである『DAME 4』を)履いていますし。ただ(プレーで参考にするのは)バレアですね。

――バレアのどの部分を特に参考にされていますか。
安藤  ピックアンドロールの使い方がうまいというのはもちろんありますが、やはりあのサイズで、NBAで長年生き残れているという部分が(素晴らしい)。バスケットボールIQも高いですし。

――なるほど、意外な名前が挙がって私もちょっとテンション上がりました(笑)。
安藤  NBAは結構観ますから、今もライブで観たいです(笑)。【注2】

【注2:今回のインタビューはNBAのプレーオフゲームがある時間帯に行われた】

――そうですよね、今ちょうどゲーム中ですよね。申し訳ありません、インタビューに時間をとっていただいて(笑)。
安藤  (笑)。

――すみません、あともう少しだけお付き合いください(笑) 続いての質問ですが、現在バッシュを含めたスニーカー類は何足ほどお持ちですか?
安藤  たぶん40足から50足くらいだと思います。

――それらを選ぶ基準というのは? もちろんプレー用のバッシュは機能性が重要だと思いますが、他にもデザインだったり色だったり、何かありますか。
安藤  基準というよりももう、欲しいと思えば(笑)。

――なるほど、素晴らしい。スニーカー好きの鑑ですね(笑) その中でも今はADIDAS、ということでしょうか。
安藤  本当に今のADIDASは、YEEZYシリーズもそうですし、BOOST搭載のスニーカーも気に入っています。特にNMD系、僕はNMDが大好きなんです。ソックス感のあるシンプルさがいいのと、シューレースなしのモデルなども結構履いています。今はADIDASしか履いてないです(笑)。

――なんと、本当にADIDAS愛がすごいですね(笑)。
安藤  そうですね。ADIDASはNBAの若手でも着用が増えていて、グイグイ来ていますから。それに、今の最強プレーヤーは誰だい? という感じです(笑)。

――今季のNBAのMVPは、やっぱりジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)ですね?
安藤  もう、そう思います。「彼のようになりたかったらHARDENシリーズを、ADIDASを履くといいよ」と書いておいてください(笑)。

――承知しました、書いておきます(笑) 今はADIDAS中心だという安藤選手ですが、Bリーグを見てこれからバスケを始めたいと考えている子供たちやブースターの皆さんがバッシュ選びに迷っていたなら、どんなアドバイスを送りますか?
安藤  それはもう、好きな選手が履いているバッシュを買えばいいのではないでしょうか。シグネチャーモデルもたくさん出ていますし、「好きな選手のバッシュが欲しい」、そんな視点から入ってもいいと思います。それで自分の足にフィットすれば、なおいいのではないかと。

――それでは最後の質問です。安藤選手にとって、バッシュとはどんな存在ですか?
安藤  体の一部、ではないでしょうか。バスケットボールをやるうえで、体の一部になって、自分自身になる。僕にとってのバッシュは、そんなイメージになると思っています。

「ソックスのようなイメージで履けるのがいい」と安藤選手が信頼を寄せる『DAME 4』

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