2025.09.24
9月17日、白鷗大学の佐藤涼成が広島ドラゴンフライズとの契約に合意したことを受け、同大バスケットボール部の網野友雄監督が自身のXで見解を示した。佐藤は白鷗大を退学し、プロの世界に挑む。
Bリーグでは2026年秋開幕のB.PREMIERに向け、1月29日に「B.LEAGUEドラフト2026」を開催予定。16日にはドラフト志望選手リストが公示され、寺坂優羽(無所属)が第1号として名を連ねた。網野監督は佐藤とのやり取りについて、次のように明かした。
「8月上旬、本人から『自身のスキルアップのためにBリーグに挑戦したい』との意思表示がありました。この時点では、私のもとには特定のクラブからのオファーはなく、純粋に『もっと上手くなりたい』『厳しい環境に身を置きたい』という強い意志が伝わってきました。ただ、会話を重ねる中で、ドラフト制度によって自分でチームを選べないことも、多少なりとも影響しているのではないかと感じました。私からは、挑戦したいという気持ちを尊重しながらも、『4年生のキャプテンとして残りの数ヶ月をやり切り、チームを勝たせるガードになってからプロを目指す方が、長い目で見た時に彼にとって良いのではないか』と助言しました。なぜなら、私はその方がよりチャレンジングであり、価値のある成長につながると考えていたからです。私は、佐藤には『どこにいても所属チームを強くできる選手』になってほしいという思いを常に持っていました」
8月にはU23日本代表活動や「アジア大学バスケットボールリーグ(AUBL)」が重なったものの、網野監督は佐藤と何度も話し合ったという。それでも、「AUBL期間中に再度、『Bリーグに挑戦したい。可能であれば広島ドラゴンフライズでプレーしたい』との意思が示されたため、最終的にはその強い思いを尊重する決断をしました」と続けた。
網野監督のもとには特定クラブからの打診がなかったようで、指揮官から広島に駆け寄ったという。
「ドラフトを回避して移籍を実現するためには、Bリーグの開幕前(10月3日)までに25-26シーズンの契約を結ぶ必要がありました。そのため、多くのクラブと十分な交渉の時間もなく、本人の意思を第一に考え、広島ドラゴンフライズにコンタクトを取らせていただきました。突然の連絡に、朝山HCや岡崎GMも戸惑われていた様子でした。『選んでくれたのは嬉しいが、それが本当に本人にとって最善の選択なのかは分からない』という率直なご意見もいただきました。本学の経営陣とも協議を重ね、佐藤の選択を尊重できる状況を整えることが、引き継いでいただくクラブへの配慮にもなると判断しました。そのため、交渉段階に進むまでに少し時間を要することとなりました」
佐藤は8月27日に開幕した「第101回関東大学バスケットボールリーグ戦」の初戦から欠場。網野監督はファンに向けて謝罪しつつ、胸中をつづった。
「正直なところ、リーグ開幕直前にこの決断をチームに伝えるのは、指導者としても非常に心苦しいものです。しかし、本人の意思の強さと将来を考え、受け入れるべきだと判断しました。このことをチーム内で共有した際、選手たちはそれを素直に受け入れ、佐藤を応援しながら、自分たちも新たなチャレンジに向かう決意を固めてくれました。そんな彼らの姿勢を、私はとても誇らしく感じました」
「最後に、広島ドラゴンフライズの関係者の皆様へお願い申し上げます。佐藤は、本学において1年生の頃から試合に出場し、3年半の時間をかけて中心選手として育ててきた選手です。大学リーグ開幕のわずか2日前に、キャプテンであるPGがチームを離れることが、チーム作りに大きな影響を及ぼすことは、容易に想像いただけるかと思います。『ここからが、大学で最も結果を出せる時期だ』と感じていた反面、『Bリーグでも活躍できる』と自他ともに感じられる選手を育てることができたという事実に、私自身納得し、送り出したいと思っています」
「チーム関係者の皆様には、ぜひ厳しくも温かいご指導をお願い申し上げます。本人の努力次第ではありますが、きっと大きく成長してくれると信じています。そして、ファンの皆様、どうか引き続き佐藤涼成へのご声援をよろしくお願いいたします。『涼成、頑張れ!』」
最後に指揮官は「我々白鷗大学男子バスケットボール部は、どのような状況においても前を向き、コートの上で戦い続けます。必ず良いチームをつくりますので、引き続きご声援をよろしくお願いいたします」との言葉で締めくくった。
なお、2025-26シーズン開幕を控え、渡邉伶音(アルティーリ千葉)や小澤飛悠(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)といった有望株も大学卒業を前にプロ入りを決めた。
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