2026.04.22
日本時間4月19日に開幕する「NBAプレーオフ2026」を前に、現役プロバスケットボール選手の辻直人に特別インタビューを実施した。幼少期からNBAに親しみ、シューターとして第一線で活躍してきた辻が、今シーズンの注目チームや選手、そしてプレーオフの見どころを独自の視点で語る。Bリーグの選手との比較も交えながら、“世界最高峰”の戦いの魅力に迫った。
インタビュー=藤田皓己(バスケットボールキング編集部)
※2026年4月2日に取材
――辻選手が初めてNBAをご覧になったのはいつ頃でしょうか。
辻 小学生だったと思いますね。当時はなかなかテレビでバスケットボールを見ることができなくて。衛星放送でたまにやっているNBA中継を見ていくうちに、のめり込んでいきましたね。今でも覚えていますけど、部屋の壁にポスターを貼ったりしていました。
当時はサクラメント・キングスが強くて、プレドラグ・ストヤコビッチとか、クリス・ウェバーがいた時代でした。レイ・アレン、レジー・ミラーとかシューター系の選手が好きでしたね。レイカーズでコービーとシャックが一緒にプレーしている試合を見ていた記憶もあります。
――そんなNBA好きの辻選手が、今シーズンのプレーオフで注目しているチームを教えてください。
辻 今シーズン開幕前からヒューストン・ロケッツが強いんじゃないかなと思っていたんですけど、やっぱり最近のサンアントニオ・スパーズの強さは結構ヤバいのかなと思います。このまま上までいっちゃうんじゃないかなと思っていますね。
――スパーズの強さの要因は何でしょうか。
辻 もちろんビクター・ウェンバンヤマの存在ですよね。昨シーズンはあまり試合に出られなかったということもありましたけど、今シーズンにかけての成長具合はすごいですから。本当にフィジカルも強くなってきて、なかなか止められない存在になってきました。彼だけじゃなく周りの若手も自信を持ってプレーしているというのも、スパーズの最近の強さの要因じゃないかなと思います。試合に出ている5人の役割がはっきりしてきていて、強いチームになってきたのかなと思いますね。
――日本時間4月19日からプレーオフが始まります。スパーズ以外にも注目しているチームはありますか。
辻 イースタン・カンファレンスならボストン・セルティックスじゃないですか。アキレス腱断裂で離脱していたジェイソン・テイタムが帰ってきて、一気に順位を上げていますし、やっぱりテイタムの存在感が際立ってきているなと。彼がいることでジェイレン・ブラウンも1対1を仕掛けやすくなっていると思いますし、今すごく勢いもあると思うので、結構勝ち上がっていきそうだなと思っています。
ウェスタン・カンファレンスはロサンゼルス・レイカーズですね。シーズンを通して波があったとは思うんですけど、最近はレブロン・ジェームズがルカ・ドンチッチやオースティン・リーブスに役割を譲っている感じがしていて、それでチームとしてのまとまりが出てきたのかなと。プレーオフで「俺がやる!」ってなりすぎなければかなり強いと思いますし、レイカーズには頑張ってほしいなと思っています。
――では、辻選手が個人的に気になっている選手も教えてください。難しいとは思いますが、その選手をBリーグに所属する選手で例えていただきたいです。
辻 最近気になっているのはシャーロット・ホーネッツのルーキー、コン・カニップルですね。彼は結構“辻直人”なんじゃないかなと。自分で言うのもあれなんですけど、プレースタイルがめっちゃ似ているなと思います。スタッツを見ても、3ポイントシュート成功率42.5パーセントで、しかも600本以上打っていてこの確率。まだNBA1年目ですけど、すごい活躍ですよね。
でもシュートだけじゃなくて、ドライブに行くところとか、パスを出すところとか、そのパスの出し先も含めたバスケットIQが高い。ただのスコアラーとか“ザ・シューター“じゃなくて、ちゃんとチャンスメイクできている。僕が理想としているプレースタイルに近いのかなと思いますね。

1年目から活躍するカニップル…ホーネッツは第9シードでプレーインから登場[写真]=Getty Images
――レイカーズで言うと、今シーズンはドンチッチがMVP級の活躍を見せています。彼のプレーをBリーグのファンに伝えるとしたら、どんな選手のかけ合わせになりますか。
辻 ドンチッチって不思議なんですよね。なんであんなにゆっくり動いているのに点を取れるのかっていう…。そういう部分は宇都宮ブレックスの比江島慎選手っぽいなと思います。スピードというよりは駆け引きで相手を出し抜く感じというか、相手のディフェンスと対峙したときに“後出しじゃんけん”ができるんですよね。それにスコアリングという部分を足すなら、レバンガ北海道の富永啓生選手かな。もうワケがわからないシュートがあるので。ドンチッチは「比江島×富永」という感じですかね。
――先ほど名前が上がったレブロン・ジェームズはどうでしょうか。もはや説明不要のレジェンドではありますが。
辻 41歳ですけど、まだまだリーグトップクラスですからね。そうですね…難しいな。強いて言うなら、ヤンテ・メイテン(三遠ネオフェニックス)のフィジカルと、スタンリー・ジョンソン(長崎ヴェルカ)のスコアリング能力を掛け合わせた感じですかね。でも、レブロンは唯一無二ですからね。今ぱっと思いついたのは、この組み合わせです。この企画難しいな(笑)。
――では最後にもう一人だけ、八村塁選手はいかがでしょうか。

NBAキャリア7年目の八村…4年連続でプレーオフに挑む[写真]=Getty Images
辻 チーム内での役割的には仕事人、いぶし銀な活躍ですよね。20点取る日もあれば、3点とかで終わる試合もありますけど、スタッツに残らないところで貢献できる選手ですから。難しいですね…。
ただ、フィジカルが強くて、アスレチック能力も凄い。日本人選手で言うと馬場雄大選手(長崎ヴェルカ)の要素は入ってくるのかな。でも、デイビッド・ダジンスキー(佐賀バルーナーズ)+ニック・ケイ(島根スサノオマジック)にします。ダジンスキー+ケイで8割、あとの2割は阿蓮(神戸ストークス/八村塁の弟)ですね。やっぱりあの2人は似ているんですよ。話していると感じるんですよね。どこか抜けているところもあって、物怖じしないところがあるというか(笑)。
――まだNBAに詳しくないBリーグファンへ向けて、辻選手からオススメの見方や視点があったら教えてください。
辻 河村勇輝選手は日本だと誰も止められない選手だったんですよ。どう足掻いても止められなかったんです。そんな彼がNBAでプレーすると、スピードについてこれる選手がたくさんいる。しかも彼より30センチ、40センチ大きい選手が普通にいて、河村選手がマッチアップしたときに攻めあぐねている場面もあります。河村選手は皆さんご存知だと思うので、そういった目線で見てもらえると、NBAが世界最高峰の舞台だということが分かりやすいのかなと思いますね。先ほど名前を挙げたレブロンやドンチッチといったトッププレーヤーは、そんな舞台で1試合に30~40点取るんですよ。本当にNBAはとんでもない世界なんだということは伝えたいですね。
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