2026.06.05
長崎ヴェルカが琉球ゴールデンキングスとの「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2025-26」を2勝1敗で制し、記念すべきBリーグ10周年は幕を閉じた。
長崎創設メンバーの狩俣昌也と時を同じくして、2026年5月26日に横浜アリーナでキャリアを終えた人がいる。S級ライセンスの定年を迎える平出剛レフェリーだ。
平出レフェリーは宇都宮学園高校(現・文星芸術大学附属高校)出身の55歳。「高校最後の大会。勝てば全国大会出場という試合で負けてしまいました。また、その試合で判定への少しの不満があったことから興味を持ち、審判を志しました。それがきっかけでしたね」。「プレーヤーとしてはお腹いっぱい」と競技人生を全うすると、19歳のときにレフェリーを始め、30年以上にわたって笛を吹き続けた。
「長いですね……。まさかこのポジションにまでいけるとは思いませんでした。一つでも上のライセンスを取りたい、自分が見ていた試合の笛を吹きたいと思っていながらやっていましたね」
現在、日本バスケットボール協会(JBA)公認プロフェッショナルレフェリーは9名いる。平出レフェリーは、プロではなく自営業として仕事をこなしながらコートに立つ。「時間が自由に取れることもあって。少し早めに都合をつけて、チャンスをもらっている形です」。Bリーグはポストシーズンを含めB1、B2の計591試合、そのうちB1ファイナルは5回も担当した。
「ファイナルに行けないと、このホワイトジャケットを着られません。一度ファイナルを経験してしまうと、譲れない、譲りたくないというポジションになり、この舞台で笛を吹きたい気持ちになります。そのためには今シーズンも1試合、1試合をしっかりとこなしてきました。ファイナルに名前が入った時は本当にうれしかったですね」

最後の担当となったファイナルでティップオフも行った [写真]=B.LEAGUE
長崎と琉球による頂上決戦は第3戦にもつれ込む激闘。それも、2点差、6点差、8点差と、3試合とも1ケタで決着する大熱戦だった。担当した平出レフェリーは振り返る。
「失敗やミスをしないというのは大前提。それは、ファイナルだけではありません。(勇退する)僕のためではなく、チーム、ファン、ブースターなど試合に関わるすべての人のためにしっかりとゲームを終わらせようと。ファイナル3試合はしっかりとできたと思っています」
加藤誉樹レフェリーや漆間大吾レフェリーといった今シーズンのファイナルを担当したプロフェッショナルレフェリーだけではなく、仕事を持つトップリーグ担当レフェリーたちが中心となって、日本のバスケットボール界を支える。
「最初は審判の数がそろっているという感じでした。今は組織として、Bリーグだけではなく、Wリーグを含めて同じ方向性になって、整備され、審判グループとしても強くなってきたと思っています」
勝敗があるスポーツの世界。下した判定に対し、誹謗中傷に遭うこともあっただろう。それでも、平出レフェリーは「やっぱり好きじゃないとできない」ときっぱり。
「うまくいったことばかりではないです。自分だけがうまくいけばいいはずもなく、クルーは3人です。レギュラーシーズンにおいて僕はクルーチーフを任せてもらうことが多く、パートナー2人が僕のスタンスに沿って、一緒に試合を運営してくれました。そこでの評価を受け、最後は(ファイナルという)美味しいところをもらったと思います。皆さんに感謝したいです」
今後のキャリアについて聞くと、「どうですかね(笑)。指導やインストラクターの仕事もありますけど。控え室でもみんなから『どうするの?』と。終わって、これをやりたいというのはなくて。明日からは普通の人になるので」と白い歯を見せた。リーグの成長とともに、プロレフェリーを目指す人も増えてくるだろう。
「バスケットボールは、選手だけではなく、レフェリーやTO(テーブルオフィシャルズ)がいなければ試合は成り立ちません。今後はさらにプロレフェリーとして仕事にもなってきますし、レフェリーが必要になってきます。魅力あるポジションになっていくと思います。若い人が入り、バスケットボールが成長してほしいです」
「僕の判定や振る舞いを受け入れてくれながら、時には悔しい言葉や文字もありましたけど、それも受け入れてきました。今シーズンはみんなが『平出の最後』という形で、試合を進めてくれた印象があります。本当に感謝しています」。55歳の大ベテランがコートを去った。レフェリー生活お疲れさまでした。最後に労いの言葉を送りたい。

CSファイナルを最後にレフェリー生活を引退 [写真]=B.LEAGUE
文=酒井伸
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