2020.05.19

「スタメン以外にも受賞のチャンスはあると示せた」…藤井祐眞が明かすトリプル受賞への想い

Bリーグ史上初となる個人賞トリプル受賞を果たした藤井[写真]=B.LEAGUE
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オンラインにて行われた「B.LEAGUE AWARD SHOW 2019-20」にて、MVPを受賞した田中大貴アルバルク東京)に匹敵する存在感を放ったのが、川崎ブレイブサンダース藤井祐眞だ。「ベスト6thマン賞」「ベストディフェンダー賞」「レギュラーシーズン ベストファイブ」にそれぞれ選出され、Bリーグ史上初となる個人賞トリプル受賞を達成。藤井自身はどの快挙をどのように受け止めているのか。アワードの翌日、改めて話を聞いた。

インタビュー・文=峯嵜俊太郎
写真=B.LEAGUE

「ベスト5は誰にでも受賞のチャンスがある」

出場39試合中20試合が途中出場[写真]=B.LEAGUE

――3部門での受賞おめでとうございます。まずは受賞を知った時の心境を教えてください。
藤井 1つでも光栄なのに3つもいただけて、素直にうれしかったです。チームメートやコーチ、ボランティアを含めたスタッフ、ファン、スポンサーの皆さん、すべての人に感謝したいと思います。

――史上初のトリプル受賞ということで、驚きはありましたか?
藤井 そうですね。特にベスト6thマンとベスト5の同時受賞については、賞の名前的にも驚いた方がいたと思います。ただ、スタメン以外はベスト5の条件に当てはまらないのかといえばそうではなくて、試合に出ているのであれば誰にでも受賞のチャンスはあると思っています。それはスタメンでも控えでも変わらない。シーズンの半分以上の試合で控えから出場していた僕が受賞できたことはうれしいですし、タイムシェアが浸透している今のバスケット界で僕が受賞できたことは、良い前例になったのではないかなと。僕以外にも、控えから20分以上出場している選手は他のチームにもたくさんいます。そういった選手もベスト5を狙えるということを示せたので、そういう意味でも今回の同時受賞は良かったんじゃないかと思います。

――ディフェンスについても詳しく聞かせてください。藤井選手はオフェンス面がフィーチャーされることも多いと思いますが、ディフェンス面には昔から自信があったのでしょうか?
藤井 高校時代はスティールばかり狙う、少しギャンブル性の強いディフェンスをしていましたが、拓殖大学に入って意識が変わりました。1つ上の先輩に鈴木達也さん(三遠ネオフェニックス)がいて、そのディフェンスを見て「すごい、こんなディフェンスされたら相手は嫌だろうな」と思ったんです。それからは自分も頑張ろうと思って、よりディフェンス練習に力を入れ始めました。

――藤井選手がディフェンスの際に意識していることは?
藤井 まずはマッチアップする相手に絶対にやられないという気持ちを持つこと。さまざまなタイプの選手がいますが、それぞれの特徴に合わせて守り方を変えています。また、今シーズンはスイッチディフェンスが多かったのですけど、スイッチした相手がどれだけ大きい選手であっても、タフに戦い続けて負けない。いい位置でボールを持たれないようにできるだけ外に追い出したり、裏は味方がカバーしてくれると信じてフロントを取ったり。仲間を信頼してプレーしていました。

タフなディフェンスでマッチアップした相手を苦しめた[写真]=B.LEAGUE

――初のベスト5受賞ですが、藤井選手自身も成長を実感できたシーズンだったのではないでしょうか?
藤井 成長できたと思います。経験豊富な勝久ジェフリーACと穂坂健祐ACが、僕のプレーの幅やアイデアを引き出してくれたのが大きかったです。また、今シーズンは佐藤(賢次)HCが練習中から競争を促していて、常にハードに試合さながらの練習をしていました。そこで(篠山)竜青さんや辻(直人)さん、(大塚)裕土さんとマッチアップして学ぶものも多かったです。

「一番変化したのはチームの雰囲気」

藤井は今季のチームを「優勝を狙えるチームだった」と振り返る[写真]=B.LEAGUE

――今シーズンは副キャプテンを務めました。どのようなことを意識しましたか?
藤井 シーズン当初にHCから「全員がリーダーシップを持て」と言われていたので、そこは意識していました。その中でも副キャプテンとして、キャプテンの竜青さんをサポートしていたのですが、竜青さんが負傷離脱してしまったので、「自分がまとめなければいけない」という意識が強くなりましたね。裕土さんもいろいろなアドバイスをくれて、それを参考にしながらチームメートと積極的にコミュニケーションを取るようにしていました。

――佐藤新HCの就任をはじめ、チームに大きな変化があったシーズンでもあったと思います。
藤井 一番変化したのはチームの雰囲気だと思います。加えて練習の雰囲気がより良くなりました。ハードに競争して、ガンガンやり合うんですけど、ネガティブな空気はなく切磋琢磨できる雰囲気で練習していました。オフコートでも、試合後にみんなでクラブハウスに集まって食事をしたり、いろいろな話をしたり。コート内外の雰囲気が変わったシーズンでした。

――今シーズンのチームの戦いぶりをどのように捉えていますか?
藤井 ケガ人が出て苦しみながらもしっかりと戦えたと思っています。1月末に横浜ビー・コルセアーズ戦、京都ハンナリーズ戦、シーホース三河戦と負けが続いた時も、直後の宇都宮ブレックスやA東京という強敵相手にも粘り強く勝ち星を挙げられました。チームを立て直して、強い相手とも互角の戦いができたことは、ケガ人が出た中でもチームがどんどん成長していった証だと思います。新型コロナウイルスの影響でシーズンが途中で終了してしまって、本当に残念ですし、不完全燃焼ですけど、個人的には優勝を狙えるチームだったと思います。だからこそ、来シーズンその想いをぶつけたいです。

――来シーズンは強豪ぞろいの東地区での戦いとなります。
藤井 シーズン中にもより成長できると思うので楽しみですね。今シーズンの勝率トップクラスのチームが東地区に固まったので、来シーズンはその激戦区でトップを取れるように頑張ります。今シーズン果たせなかった優勝を、東地区の戦いを通してレベルアップしていきながら目指したいと思います。

――それでは最後に、ファン・ブースターへのメッセージをお願いします。
藤井 今シーズン、本当にたくさんの応援をありがとうございました。無観客試合では「本当にこれはホームゲームなのか?」と感じ、いつも会場を赤く染めてくれる皆さんに支えられていることを再確認しました。これからも僕たちはバスケットボールを通して元気や勇気を皆さんに与えていきたいと思います。これからも変わらぬご声援をお願いします。

取材はオンラインにて実施

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