2023.09.17
2022-23シーズンも多くの学生が特別指定選手制度を活用してBリーグのコートに立った。地元の広島ドラゴンフライズでプレーした三谷桂司朗(筑波大学3年)をはじめ、群馬クレインサンダーズでのデビュー戦で12得点の活躍を見せたハーパージャンジュニア(東海大学2年)、アルバルク東京で3試合に出場した宇都宮陸(京都産業大学2年)など3年生以下の選手の大半は大学へ戻ったが、大学を卒業した選手の多くは引き続きチームでの活動を続けている。なかでも富山グラウジーズの喜志永修斗は、すでにチームの主軸として活躍する選手の1人だ。
喜志永は181センチ83キロのポイントガードで、専修大学在学中に2年連続で膝のケガに苦しんだものの、4年次の「第98回関東大学バスケットボールリーグ戦」で優秀選手賞を獲得。「第74回全日本大学バスケットボール選手権大会」をベスト8で終えたあと、1月20日に富山への加入が発表された。28日の試合でBリーグデビューを果たすと、29日は前日を大きく上回る24分11秒のプレータイムを獲得。その後も20分以上の出場時間を得て、2月11日のシーホース三河戦以降は先発として起用されるようになった。
3月22日に川崎市とどろきアリーナで行われた川崎ブレイブサンダース戦後、ここまでの出来について問われると、「最初の試合で出場時間が3分でしたけど、『その3分がとても良かった』と評価していただいた結果、今こうやってスタートでずっと20分オーバー出させてもらっています。けど、まだ勝たせきれないポイントガード。ボールをどれだけ運べても、試合に勝たなければ意味がないと思うので、そこはまだまだ改善していかなければいけない点だと思います」と振り返った。
中地区首位の川崎を相手に接戦を演じ、試合終了残り4分21秒に74-66。勝利に近づいたものの、相手の高確率な3ポイントシュートに苦しむと、不本意なミスから失点を重ね、この日最大の8点リードをひっくり返される結果となった。喜志永自身はターンオーバーを2個に抑えたが、チーム全体で23個。B1リーグ第26節終了時点でもリーグワーストの678ターンオーバーと、8勝35敗でリーグ全体16位に沈むチームの課題は明白だ。
富山はコーディ・デンプスがシーズン途中で退団し、さらに特別指定選手として加入予定だった関屋心がメディカルチェックに通らず。ロスター内でポイントガードを本職とするのが喜志永と浦野泰斗の2人のみのため、シューティングガード兼スモールフォワードの飴谷由毅が司令塔の役割を担う時間帯もある。高岡大輔ヘッドコーチ代行は喜志永を「生粋のポイントガード」と評し、「彼が来た時、ボールが落ち着く感じでした。自分たちが求めるボールを落ち着かせることに関しては頑張ってくれていて、ゲームのなかですごく成長していると思います」と話した。
19日の滋賀レイクス戦で念願の白星を手にしたものの、試合後、得失点差に関わるフリースローを2本外して涙を見せた喜志永はチームを背負う存在になりつつある。「特別指定だからといって負けが許される立場ではないと思います。試合に出ているからには自分の役割を徹しなければいけません。そこに関しては覚悟を持って、やっていかなければと思っています」と意思を示した熱い男が、富山残留に向けたキーマンになりそうだ。
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