2022.12.23
春は出会いと別れの季節。高校3年生たちは3年間過ごした通い慣れた場所を離れ、次なるステージへと活躍の場を移す。1年次から広島皆実高校のスターターを担った三谷桂司朗は、集大成となった昨年のウインターカップでは初戦で涙をのんだ。しかし、同大会前に広島ドラゴンフライズと特別指定選手契約を結ぶと、昨年12月29日にはBリーグデビューを果たした。世代屈指のオールラウンダーへと成長し、4月からは大学生としてさらなる飛躍を目指す三谷が、3年間の思い出や今後の抱負などを語った。(※2月2日取材)
取材・文=小沼克年
写真=伊藤 大允、B.LEAGUE
――2月2日のアースフレンズ東京Z戦では3試合ぶりの出場となりました。
三谷 ここ最近、自分が試合に出る時は勝利が決まった終盤のラスト2分くらいです。シュートは入らなかったですが、これからも積極的に得点を狙おうと思います。
――Bリーグデビュー戦では初得点も記録しました。
三谷 デビュー戦の時は何も考えずにがむしゃらにやれたから、2点という結果が出たと思っています。でも、その次の試合からは「考えながらやらないと」と思いすぎてマイナスなプレーが続いてしまっている印象です。最近は同級生の河村(勇輝/三遠ネオフェニックス)がすごく活躍しているのでより悔しい思いがありますし、限られたプレータイムの中でも、出た時は積極的にプレーすることを心がけています。
――河村選手が三遠に加入する前は、今季のBリーグでプレーする唯一の高校生でした。あまり出場機会がなくても満足していましたか?
三谷 いや、満足したことは一度もなくて「もっと出たい」とは常に思っていました。河村が先発で出るようになってからはますますその思いが強くなった感じです。広島は今、西地区首位というチーム状況もありますが、練習中からどうアピールしていくかでプレータイムは伸びると思っています。
――高校生ながらBリーグに挑戦しようと思ったきっかけを教えてください。
三谷 チームの社長さんが声を掛けてくださったことがきっかけです。ドラゴンフライズは地元のチームで小学生の頃から憧れていましたし、そこのユニフォームを着てプレーできることは自分にとって夢のようなことなので迷わず決めました。
――プロ選手と一緒にプレーしている中で、高校との違いを感じている部分は何ですか?
三谷 高校まではゴール下までシュートにもってことが難しくなかったですけど、プロはゴール下に外国籍選手がいます。普通にシュートしたらブロックされてしまうので、練習中からタイミングをずらしたり、止まってミドルレンジに切り替えて決めることが大事だと感じています。
――他にはありますか?
三谷 練習や試合を通して思ったのは、“上手くサボる”こと。常に100パーセントでやるのではなく、緩急を入れながら「休むところは休んで、力を出すところで出す」という切り替えがプロは上手いと思います。
――練習中も先輩たちと上手くコミュニケーションは取れていますか?
三谷 はい、皆さん優しくしてくれます。最近は(岡本)飛竜さんがよく話しかけてくれますね。憧れの選手でもある朝山(正吾)さんは、オフボールの動きやディフェンスとの駆け引きがすごく上手いです。なので、練習中からよく観察して自分のものにしたいと思っています。
――4月から大学へ進学しますが、今後はどのような選手を目指したいですか?
三谷 ボール運びからインサイドプレーまでオールラウンドに仕事ができる選手になりたいです。あと、高校では得点力が強みだったので、大学に入ってもそこは誰にも負けたくないですね。
――大学生になったとしても、今回の特別指定選手制度などでまたBリーグでプレーできるチャンスはあります。
三谷 そうですね。またBリーグでプレーしたいという思いはすごくあります。オフシーズンに声がかかればぜひ挑戦したいですし、高校生でも機会があるなら絶対挑戦した方がいいと思います。バスケ部を引退して大学に行くまでの期間をどう過ごすかが大事だと思いますし、素晴らしい環境で練習できることは特別なことなので。
――――振り返ってみて、どんな高校3年間でしたか?
三谷 すごく成長したなと感じています。たまに1年生の頃の映像を見直したりするんですけど、「こんなプレーしてたんだ(笑)」って感じることが多いですし、当時インサイドでプレーしていた自分が2、3年後は外でプレーしているなんて全く想像していなかったので、成長を感じられた3年間だったと思います。自分は人見知りなんですけど、(アンダーカテゴリーの)日本代表に選んでもらったことで、バスケットを通して色んな方とコミュニケーションを取れるようにもなりました。
――後輩たちへメッセージをお願いします。
三谷 自分の代で結果を残せたわけではないので、今でも悔しさがあります。新チームも苦しい時期が続くと思いますが、逃げずにきつい練習に耐えてほしいです。そうすれはいつか結果につながるので、みんなで支え合いながら頑張ってほしいなと思います。
――特に注目している後輩はいますか?
三谷 大福谷和馬(2年)です。188センチですがチーム一番身長が高いですし、彼が成長しないとチームも安定しないと思うので期待しています。
――最後に、2020年の抱負をお願いします。
三谷 「自立」することを目標にします。親元を離れるのでご飯も自分で作らなきゃいけないですし、何でも自分で解決できるよう、色んなことに挑戦していきたいと思います。
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