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昨年成し遂げたチーム史上初の3位は超えられなかった。でも、後悔はない。
12月26日に「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」準々決勝にて、桜花学園高校(愛知)に55‐97で敗れた京都精華学園高校(京都)。結果的に完敗となってしまったが、試合終了直後の荻田美(3年)の表情は、どこかスッキリしているように見えた。
「決して満足したわけではないですけど、個人的には桜花さん相手にここまでできたという点に関して悔しさはないです」
京都精華のキャプテンを務める荻田は、試合では内外問わずオールラウンドなプレーで得点を引っ張る存在だ。前日の開志国際高校(新潟)戦では6得点に留まったものの8リバウンドと11アシストを記録している。この日は、立ち上がりで12点のランを許してしまう展開。これには荻田も「『桜花』という名前だけで緊張してしまって……、そこでみんなの緊張をほぐせなかったのは反省点です」と試合後に肩を落としたが、「1本シュート入ってからは、自分たちのプレーができたと思います」と続けた。
荻田はこの試合、第1クォーターから10得点を挙げ、試合を通して計26得点をマーク。「今日は自分が中まで攻めても相手に止められると思ったので」と、試合前のウォーミングアップからジャンプシュートを多く練習し、実際の試合でもアウトサイド中心に得点を伸ばした。
昨年のチームには「何かあったら全部シュートを決めてくれる頼れるキャプテン」と、荻田も絶大な信頼を寄せていた高橋未来(現デンソーアイリス)がいた。荻田は今年、その高橋からキャプテンを引き継いで日本一を目指したが、世の中の状況が一変し、思うように公式戦ができなかった。自粛期間中はチームメート同士で連絡を取り合っていというが、「やっぱり実際に会わないとチームの団結力が上がらない」と実感した。
それでも、この大会を通して「一つひとつ勝ち上がっていくにつれて、チームの団結力がどんどん深まった大会だったと思います」と、荻田は手応えを口にする。昨年は高橋という大エースがいたゆえに脇役に専念することもあった。だが今年はキャプテン、そしてエースとしての役目を全うした。
高校生活最後のバスケットを終え、荻田美は次のステージへと向かう。
「先生に求められることをやるのも大事ですけど、それだけじゃなく、もっともっと自分から動いて強くなることも大事だと思っています。これからのチームでも頼られる存在になりたいです」
文=小沼克年