2022.02.26

エース候補に名乗りをあげた西田優大「自分の役割をやり続けたら結果がついてきた」

「若い選手が積極的にやっていけたら」と、西田優大はチームを牽引 [写真]=伊藤 大允
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 2月26日、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」Window2、日本チャイニーズ・タイペイの一戦が沖縄アリーナ(沖縄県沖縄市)で行われ、日本は76-71で勝利した。

 苦しい試合を強いられた日本だったが、昨年11月のWindow1でも活躍したチーム最年少の西田優大シーホース三河)が両軍で最多の27得点を挙げ、再び光を放った。

 序盤から積極さが目立った西田は前半ですでに2ケタ得点に到達すると、後半にはさらにギアを上げインサイド、アウトサイド双方からのシュートで17得点をマーク。選手もボールも思うように動かなかった前半の日本に活力を与えるパフォーマンスだった。

 圧巻は第4クォーターだった。3ポイントラインから離れた位置から放たれる「ディープ3」を1本沈める一方で、前日にも試合をしている相手の疲労も考慮して果敢にリングへアタック。このクォーターだけで13得点を刻み、日本の逆転劇の演出に大きく寄与した。

「相手のプレッシャーが強いのはわかっていたし、そこを我慢すれば必ず僕たちのペースが来ると思っていたので、我慢し続けてやっていた結果、第4クォーターに良い流れが持ってこられました」

 リリー・フランキー氏原作の絵本「おでんくん」の主人公・おでんくんに似ているということでも人気上昇中の22歳は試合後、静かにそう話した。

 若さからか言葉はさほど多くはなく、はしゃぐようなタイプでもない。西田はしかし、コート上での躍動こそが自身の最大の表現方法だと言わんばかりのプレーぶりを見せた。

 Window1の中国戦では2試合とも2ケタ得点を記録しホーバスHCの評価を上げたが、レイアップを外すなどフィニッシュの精度が課題とされてきた。しかしこの日はビハインド・ザ・バックなど多彩なドリブルの技量や、売りの一つであるフィジカリティを生かした力強いリムアタックで、レイアップを面白いように決めた。

 絶対数が圧倒的に少なく守りにくいとされる左利きの選手ではあるが、この日の目立った活躍は、Window2前の合宿からアソシエイトHCとして日本代表スタッフに加わったコーリー・ゲインズ氏の指導の賜物と言えるかもしれない。現役時代はガードとしてプレーし、NBAワシントン・ウィザーズコーチ時代は八村塁らに技術指導を施していたゲインズ氏。西田は同氏からフィニッシュについての助言を受けたとWindow直前のメディアとの取材対応時に述べていた。

「僕は左利きなので左は割と安定して身体もぶれることなくできるんですけど、右からのフィニッシュは右手があまりうまく使えないので、少しかいくぐるというかそういう技術も指導してもらいました」

 取材対応の際にはこう話した西田。チャイニーズ・タイペイ戦でも実際に右手でのレイアップも決めている。

 得点以外のところでも、アシストを3つ、ブロックショットを2つマークし、万能さでアピールした。事前取材の際にホーバスHCは今村佳太琉球ゴールデンキングス、この試合では先発SFとして出場)が「すごくいい仕事をしている」と高い評価を与えた。そのことが彼の尻に火をつけたかどうかはわからないものの、この日のパフォーマンスはSG陣の争いの中で西田を一歩リードさせたと言えるかもしれない。

「自分の役割をやり続けたら結果がついてきたので、そこは自信にしていいと思いますし、今回、自分を含め若いメンバーが入っているので、チームの底上げじゃないですけど、若い選手が積極的にやっていけたら」

 どこか朴訥とした話し方ではあったが、行間に自身に対する確信が芽生え始めていることが感じられた。

文=永塚和志

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