2022.08.04
FIBAアジアカップ2022に挑んだ日本男子代表チームが、7月21日に行われた準々決勝でオーストラリアに99-85で敗れ、ベスト8の成績で開催地・インドネシアのジャカルタを去ることとなった。
しかし日本のトム・ホーバスヘッドコーチは、敗れはしたものの若手の活躍と成長が際立った5試合を振り返って「成功した大会だった」と力強い言葉を残した。
若手のなかでも光を放ったのが、河村勇樹(横浜ビー・コルセアーズ)と富永啓生(NCAA1部・ネブラスカ大学)の“21歳コンビ”だった。
ともに7月上旬開催のFIBAワールドカップ・アジア予選Window3でA代表デビューを果たし、それぞれ力量を示してはいた。
だが、若い彼らはいわば水をよく吸う「スポンジ」のようなもの。合宿も含めてそのあとも経験を増した彼らは、今回のアジアカップでは全5試合に出場し、より実力を披露した形となった。
対して富永は最後のオーストラリア戦で33得点を挙げ、眩いほどに輝いた。この試合、サウスポーは得意の3ポイントを8本沈めたが、うち3本は3ポイントラインからさらに遠くから打つ、いわゆる「ディープスリー」。第4クォーターにはセンターサークル付近からの“ロゴスリー”をねじ込み、公式英語実況に「冗談はやめてくれ!」と絶叫させた。
5試合を通して、河村は平均11.7分の出場で同4.4得点、4.4アシスト、2.2スティールを、富永は同17.5分、15.2得点、3ポイント成功率41.3パーセントをマークした。両者とも “合格ライン”を超えるパフォーマンスだった。
河村と富永は5試合ともベンチからの出場となった。2人はU16 、18代表でもともに日の丸を背負った経験があるということもあってか、今大会でも2人が揃ってセカンドユニットとして出てくる場面は多く、河村によるドライブインからキックアウトパスから富永が3ポイントを決めるなど、コンビネーションも良かった。
「もうU16、18と下のカテゴリーからずっと一緒に戦ってきた仲間なので、やっぱりバスケットのタイミングだったり、感覚っていうのはすごく合っているところがあると思っています。またこの上のカテゴリーで一緒にやって試合に出場できることはすごくうれしいことですし、彼の良さを少しでも引き出せるような、ポイントガードでありたいなと思っています」
対して富永は、河村のパスが「予想できないところから急に来たりする」と“相棒”の類まれなアシストセンスについて前置きしつつ、勝手知る仲だけにそういったパスが飛んできても「ここでパスが来るだろうなっていうのがわかるのでやりやすいです」と、2人の間のケミストリーについて話している。
そのなかでホーバスHCは、富永には「波を小さくすること」、そして河村には「もっと得点に絡むこと」を課題として挙げた。2023年のワールドカップやその翌年のパリオリンピックを見据えた時、河村と富永という特別な才能にはさらに高く、安定したプレーぶりが求められる。
世界ランク3位のオーストラリアに善戦はしたものの、負けは負けだ。また、ホーバス氏が指揮官となってからの日本の戦績は5勝6敗とまだ負け越している。
まだまだ日本と世界の強豪との差はあるが、今後、差を積めていく上で河村、富永の成長は必須である。
文=永塚和志
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