2022.08.14
河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)がかねてより目標に掲げていた日本代表デビューを飾った。昨シーズン途中にプロ転向を決めた若きポイントガードは「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」Window3のチャイニーズ・タイペイ代表戦で日の丸を背負ってコートに立つと、14分の出場で3リバウンド8アシスト5スティールを記録。アピールに成功し、その後行われた「FIBAアジアカップ2022」のメンバーにも選出された。約1カ月以上にわたる日本代表活動が終了後、河村へのインタビューが実現。日本代表デビュー、アジアカップでの話を聞いた。
インタビュー=入江美紀雄
――アジアカップから富樫勇樹(千葉ジェッツ)選手、渡邊雄太選手が新たに加わりました。一緒にプレーしていかがでしたか?
河村 最初に円陣を組んだ時、『自分はこんなところにいるのか』という感覚が強かったです。恐縮しすぎて、最初は話しかけるのもためらってしまうような感じで。ただ、雄太さんは本当にみんなと話して、気さくな雰囲気だったので、自分も話しかけやすかったです。本当に一流の選手だと感じました。プレー面でも一緒に練習したり、マッチアップしたりすることで、学ぶものは多くありました。
――試合では渡邊へのアシストもありましたね。
河村 あのサイズがありながらあれだけ走ってくれるので、自分のパスが少しズレても、キャッチしてくれます。アジアカップではアリウープがありませんでしたけど、リングの上をめがけてボールを投げたら、ダンクを決めてくれます。ポイントガードの僕からしたらありがたい存在ですね。
――アジアカップを終えて、国際試合を戦うことに関して感じたことはありますか?
河村 日本を代表して戦うので、負けた時はすごく悔しいです。バスケットボール日本代表選手になりたくてもなれない選手は多くいます。一戦一戦、本当に勝つためだけに戦わなければいけないといった厳しさも感じました。
――予選でイラン代表に負けたあと、ベスト8進出をかけたフィリピン代表戦に向けて気持ちをうまく切り替えることができましたか?
河村 できていましたね。雄太さんや勇樹さんが、試合後のメンタルケアというか、言葉で発信して行動で示してくれました。自分たちも切り替えて、フィリピン戦に臨むことができました。
――富永啓生(ネブラスカ大学)選手とのプレーは久々だったと思います。
河村 異次元ですよね(笑)。彼にパスを出したら、アシストが1本記録されるぐらいの感覚でした。特にアジアカップのオーストラリア戦は自分がペイントアタックしたあと、アウトサイドにいる彼にボールをさばいて、生かすことができました。これまで世代別日本代表でも一緒にプレーしてきたので、彼をコントロールするのはすごく得意です。彼からもコミュニケーションを取ってきますし、自分もその要望に応えられるようにプレーする。お互いいい関係性があって、とてもプレーしやすいと思っています。
――オーストラリア戦は終盤に猛追を見せました。どのようなメンタルだったのでしょうか?
河村 負けたら終わりの決勝トーナメントだったので、どれだけ点差が開いても、最後の最後まで諦めない気持ちを持っていました。雄太さんは欠場しましたけど、ベンチにいながら声を出してチームを鼓舞していました。それを見て自分たちも戦わなければいけないと感じました。また、自分もそういった選手になるために、コート内外での信頼関係はもちろん、日本代表、Bリーグで結果を残さなければいけません。そこは頑張っていきたいです。
――Window3とアジアカップでプレーして、ホーバスHCから褒められた部分はありますか?
河村 全然褒められないです(笑)。練習中はよく怒られましたしね。ただ、そういう環境だからこそ、自分に満足することはなかったです。具体的なことよりも「ナイスプレー」、「今日は良かったね」などと声を掛けてくれて、自分の中でモチベーションになっていました。
――自分の中で印象に残っている試合やプレーは?
河村 やはりアジアカップのオーストラリア戦です。強豪国を相手にどれだけできるのかと思っていた中、戦えることを証明できたと思います。すべてに満足していませんけど、自分の力がある程度通用できた部分もあったと思うので、すごく印象に残っている試合です。
――シュートに関して指摘やアドバイスは?
河村 練習中から「もっと点を取りにいけ」と言われるんですが、PGの自分としての役割はディフェンス、ペイントアタックで周りの選手とともにゲームを作り上げていくこと。スコアリングの役割は富樫選手が担っていると思います。自分には自分の役割があって、その良さを存分に発揮したいです。タイミングやシチュエーションがあれば、思い切って点を取りにいくスタンスを変えずにやっていきたいと思います。
――日本代表での経験をBリーグでどのように生かしていきたいですか?
河村 日本代表としてもう一度プレーしたいと思っているので、そのためにはまずBリーグで結果を残すこと。アジアカップではディフェンスの部分で戦えることを証明できたと思います。Bリーグでも自身の強みとしてプレーしていきたいです。また、一つひとつのレベルを上げていかなければいけません。目指すべき場所は今回のようなアジアではなくて、ヨーロッパやアメリカを中心とした世界。まだまだレベルアップしなければいけないと思っています。
――例えば、ウェイトトレーニングを増やしていくなど考えていることは?
河村 アジアの中では、当たり負けしなかった感覚があって、逆に自分の中で強みになっています。フィジカルの部分では全然問題なかったんですが、高さの部分でどのように対応できるかが課題。うまく駆け引きして、足や手を使って守っていきたいと思っています。
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