2022.08.31
オーストラリアの2連覇で終わった「FIBAアジアカップ2022」。日本は準々決勝敗退という結果に終わったものの、若手の活躍が光った大会だった。なかでも全5試合中3試合で先発を務めた吉井裕鷹(アルバルク東京)の活躍は目を引いた。
自身の持ち味であるフィジカルを生かし、アジアの猛者相手に引けを取ることなくぶつかりあった吉井はこの大会で何を得たのか。アジアカップ終了後話を聞いた。
インタビュー・文=岡本亮
――アジアカップは自身初となるA代表での国際大会でしたが、個人・チームとしてどんなことを求められていましたか?
吉井 個人に限らずチームとして求められていたことですが、ハードにディフェンスし続けようというのはずっと言われていました。あと、打てるシュートは打つことと、オフェンスでは自由な動きが多いので、それに合わせて全体が動き続けようということを求められていました。
――吉井選手は初戦のカザフスタン戦で先発出場しましたが、何を念頭に置いて試合へ臨みましたか?
吉井 僕自身オフェンスがまだまだなので、調子の波に左右されづらいディフェンスは意識してやっていました。オフェンスにも比重を置きたいとは思っていますが、3番(スモールフォワード)でやるとなると実力が足りないので、自然と「ディフェンスで頑張ろう」という意識でやっていたかもしれません。
――グループステージは2勝1敗の2位で突破。準々決勝のオーストラリア戦では85-99で敗れたものの善戦しました。
吉井 ワールドカップ予選でオーストラリアに負けた日からトムさんはハードに言うようになりましたし、みんなもそれに対応しようとやり続けたので。予選に比べてボールが動きましたし、ディフェンスでも要所は抑えられたと思います。
――大会を通じてかなりフィジカルでの戦いを求められたと思います。昨季終盤外国籍選手を相手に戦った経験は生きましたか?
吉井 かなり生かせたと思います。Bリーグでは外国籍のビッグマン相手にもフィジカルで戦えるというのを証明できたと思っているので、そこは自信になっていました。なので、アジアカップでも臆することなく体をぶつけられたのだと思います。
――今大会では審判の笛がなかなか鳴らなかった印象がありますが、やっていてどう感じましたか?
吉井 一貫してどちらのチームもディフェンスファウルの笛は鳴りにくかったので、トム(ホーバス)HCもタイムアウト時に言っていましたが、笛と戦うのではなく、笛に対応するプレーをすることが求められました。自分たちのオフェンスの笛はもう少し鳴らしてほしかったですけどね(笑)。
――この大会を通じてチームとしての成長はどのように感じましたか?
吉井 アジアカップでは渡邊(雄太)さんと富樫(勇樹/千葉ジェッツ)さんが合流し、お二人が先頭に立って話すことでみんなが話すようになったのは良かったと思います。そのほかにもチーム全体としてステップアップできた部分はありましたが、結果としてイランとオーストラリアには負けてしまったので、まだまだ課題はあると思います。
――大会を通じてチームの雰囲気はどうでしたか?
吉井 (張本)天傑さんがめちゃくちゃ盛り上げてくれました。ムードメーカーになって周りを鼓舞していたので、そういうところは見習わないといけないと思っています。
――吉井選手はA東京との契約発表時に「スモールフォワードに挑戦したい」とお話しされていました。日本トップクラスのSFである渡邊選手のプレーを間近で見てどんなことを感じましたか?
吉井 本当にすごいな、と。一緒にできて楽しかったですし、体感できて良かったです。渡邊さんの体のぶつけかたやエネルギーの出し方はすごかったですし、フィニッシュの持っていき方やカッティングは参考にしたいと思っています。
課題はオフェンス・ディフェンスともにあります。オフェンスではシュートセレクション、ドライブやフィニッシュの仕方、パスの出し方すべてですね。僕自身もっとやれると思っているので、これからの課題です。ディフェンスは臨機応変にカバーしたりローテーションしたりするなど、細かい部分を突き詰められると思っています。
――では、アジアカップの経験を10月から開幕するBリーグにどうつなげていきたいと考えていますか?
吉井 ヘッドコーチがルカ(パヴィチェヴィッチ)から(デイニアス)アドマイティスさんに変わったので、自分にどういうことが求められるのか現時点では分かっていません。ですが、考え方の違うルカとトムさんに指導してもらい刺激をもらったので、新しいHCにアジャストできるようにしていきたいです。
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