2023.07.16
7月9日、フェニックス・サンズとの契約が正式に発表された渡邊雄太が、日本のメディアへ向けてリモート会見を行った。
「無事契約も決まって、ワールドカップへ精神的にも万全の状態で臨めると思います」と、会見冒頭で語った渡邊は、「うれしい気持ちでいっぱいです。たくさんのチームからお話をいただき、昨シーズン途中まで一緒だったKD(ケビン・デュラント)がいるサンズは、行きたいチームの一つだったので、ありがたい気持ちでいっぱいですね」と素直な心境を明かした。
7月1日(現地時間6月30日)にフリーエージェント選手との交渉が解禁され、直後に渡邊の新規契約が発表された。NBAでの5年目を終えた日本人シューターには、これまでのオフシーズンとは違い、10チーム以上が興味を示したようで、渡邊は新天地のサンズを選んだ経緯についても語ってくれた。
「何チームかに絞ってから実際のオファーを聞いたのですが、サンズよりもお金を出してくれるチームも正直ありました。ただ、今はお金じゃなくて自分がやりたい場所でプレーをするのが大事かなと思いました。また、サンズのフロントオフィスの人がロサンゼルスまで僕に会いに来てくれて、どれだけ僕のことを欲しいかと話してくれたり、球団オーナーも連絡をくれたりしました。『自分のことをこのチームは欲しいと思ってくれてるんだ』と感じたので、そのミーティングがあってからはすぐサンズに決めました」
そして、サンズとの契約が世間に報道されると、最初に連絡をくれたのは再びチームメートとなったデュラントだったという。「『雄太と一緒にプレーできるのがすごく楽しみ』と言ってくれました。僕自身も昨シーズンにKDとプレーして、本当にすごく楽しかったんで、また同じように楽しい時間を過ごせたらなと思っています」。
昨シーズンは無保証契約からブルックリン・ネッツの一員に食い込んだが、「ブルックリンでの時間は自分のキャリアを左右した一年だった」と振り返る。3ポイントシュートの成功率は44.4パーセントを記録するなど、リーグで存在感を発揮し、今オフでは「ちゃんとした契約をもらえる自信が多少あった」という。苦しい思いをすることも多かったこれまでのオフシーズンだが、蓋を開けてみればリーグの3分の1以上のチームから声がかかり、6年目のシーズンを無事迎えることとなった。
ドラフト外からリーグ入りし、過酷な状況からステップアップを続けてきた渡邊は、「客観的に見て、なかなか人ができないことをやれているなという感覚はあります。そもそもアメリカでは通用しないと言われてから、大学で4年間しっかりやり遂げて、NBAでももう5年目を終えて、次は6年目と7年目の契約をもらえている状況で、自分自身を評価してもいいんじゃないかなという思いもあります」と、自身のこれまでの努力や結果を評価。
一方で「自分は優勝したいという気持ちもありますし、個人的にも去年の成績だとまだまだ足りない部分があります。3ポイントはもっと高い確率で決められたんじゃないかなと思っていますし、ディフェンスでは穴になってしまった場面もあったので、まだまだ成長しなければいけないです」と、さらなる飛躍へ向けて高い向上心を示した。
新天地サンズの印象については、「今シーズンはヘッドコーチや選手もガラッと変わり、また一から新しいカルチャーを作っていくことになる」と話し、「優勝できるチャンスがあるチームに入れるのはすごくありがたいことですし、自分も戦力として優勝に貢献できるようにしていきたい」と、日本人選手として初となるチャンピオンリングの獲得に向けて意気込んだ。
「昨シーズンはトレードの後にプレータイムが減ってしまい、結局プレーオフでは試合の終盤にちょっと出たぐらいでした」と語る渡邊は、「今シーズンは自分にとってベストなシーズンじゃないといけない」と力を込めた。今季は優勝を争うプレーオフでも戦力になるべく、シーズンを通しての活躍を目指す。
また、サンズは田臥勇太(宇都宮ブレックス)が日本人初のNBA選手としてプレーしたチームでもあり、その田臥からも祝福の連絡があったという。「勇太さんが歴史を作った場所でもありますし、僕自身が2人目のNBA選手して初めてコートに立ったときの対戦相手がサンズだったのもあったり、何かと縁のあるチームだと思います」と語った渡邊は、サンズの球団史上2人目の日本人プレーヤーとして活躍を誓った。
8月には「FIBAワールドカップ2023」が控えているが、「僕は仮にチームが決まらなくても、このワールドカップにはずっと出るつもりでした」と語った渡邊。「日本開催でやれるのは生涯で一度の経験だと思います。オリンピックでは残念ながら無観客という状況だったので、今回はたくさんのお客さんにも見てもらえると思いますし、全力でやるつもりです」。
開幕の8月25日に自身のコンディションのピークを持っていけるように調整すると語った渡邊は、「若い選手がたくさんいるなかで、自分はチームを引っ張っていかないといけない存在だと思っているので、メンター的な存在にもなれるようにしていきたいです。プレーでは自分の良さをこのチームでも出しつつ、成長した姿を皆さんに見せられたらなと思っています」と大舞台へ向けて意気込みを語った。
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