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“日本バスケ界の至宝”から“20歳の超新星”まで…“史上最強”の呼び声高いパリ五輪男子日本代表12名を徹底紹介!

パリ五輪男子日本代表に内定した12選手 [写真]=伊藤大允
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 7月27日から8月10日にかけて、フランスにて開催される「パリ2024オリンピック競技大会」に出場する男子日本代表はどのような選手たちなのか。7月8日に発表された12名の内定選手たちを徹底紹介する。

文=永塚和志
写真=伊藤大允

※プロフィール情報は7月19日時点

▼#2 富樫勇樹

生年月日:1993年7月30日(30歳)
ポジション/身長・体重:PG/167センチ・69キロ
所属:千葉ジェッツ

 俊敏性を生かしたドリブルからのドライブインや3ポイントを得意とし、抜群の勝負強さで相手に数字以上のダメージを与えるベテラン司令塔。ケガに強くBリーグではほぼ欠場をしたことがない。21年東京オリンピック、2023年ワールドカップのメンバーで、トム・ホーバスHC体制下では常にキャプテンを担い、自身のリーダーシップを磨いてきた。
 ポイントガードの序列は河村勇輝が上となってしまったものの、6月下旬に北海道で行われたオリンピックへ向けての強化試合では思い切りの良い3ポイントが目立った。八村塁渡邊雄太と仲が良く、パリでは彼らと若手の間の橋渡し役も担う。国際舞台での自身の小柄さがいかに不利かを認識しており、常に代表にいつまでもいられるわけではないという発言をしている。

▼#4 ジェイコブス晶

生年月日:2004年4月13日(20歳)
ポジション/身長・体重:SF/203センチ・101キロ
所属: ハワイ大学

 今回の五輪メンバーで最年少の超新星。長身ながら若い頃からガードとしてプレーし、ドリブル、3ポイントシュート、ディフェンス、リバウンドとオールラウンドな技術に優れる。新型コロナウイルスの蔓延をきっかけにアメリカから帰国し、横浜ビー・コルセアーズのユースチームに加入。トップチームでもプレーをした。
 その後、NBAグローバルアカデミー(オーストラリア)でプレーをし、2023-24シーズンからハワイ大学に進学。ウェイトトレーニングにも励みフィジカルを得た。昨年のワールドカップ前にも代表活動に召集されるも、落選。しかし今年は、有明の2つの強化試合で計5本の3ポイントを沈めるなど活躍し、12名に選出。23年のU19ワールドカップでは日本のトップスコアラーだった。

▼#5 河村勇輝

生年月日:2001年5月2日(22歳)
ポジション/身長・体重:PG/172センチ・75キロ
所属:横浜ビー・コルセアーズ

 今や日本代表の正ポイントガードに。23年ワールドカップのフィンランド戦では後半だけで21得点。最終クォーターには4本の3ポイントを決め、日本の18点差からの逆転勝利に寄与した。以降、同チームの先発司令塔へと昇格。パリオリンピック前の国内での4つの強化試合では終盤の場面でシュートを決めるなど勝負良さを見せ、平均19.3得点をマーク。アシストの能力は旧来から折り紙付きだったものの、ホーバスHCの叱咤で「キラー」ぶりに磨きをかけてきた。
 試合の流れを読みながら得点、パスの判断の精度を高めて勝利を呼び込む「支配的な」ポイントガードになることを目指しており、どれだけ活躍しても口をつくのは反省の言葉が多い。7月上旬にはNBAメンフィス・グリズリーズと「エグジビット10」契約を結んだ。

▼#6 比江島慎

生年月日:1990年8月11日(33歳)
ポジション/身長・体重:SG/191センチ・88キロ
所属:宇都宮ブレックス

 Bリーグが誇る天才的な選手。独特なステップでリングへ向かってドリブルで侵入する「比江島ステップ」が代名詞で、ボールハンドラーとしても機能する。もっとも、2023-24シーズンでB1トップとなる3ポイント成功率(44%)を記録したように長距離シュートにも長け、ホーバスHCからは「もっと打ってほしい」と常々、要求されている。23年ワールドカップのベネズエラ戦では第4クオーターだけで4本の3ポイントをヒットし、逆転勝利の主役となった。
 大学生の頃からA代表に召集され、2016年リオオリンピック世界最終予選、2019年ワールドカップ、2021東京オリンピックで1勝もできない辛酸を嘗め続けてきた。東京大会後にホーバスHCの召集に応じたのは「世界で1勝したい」の思いがあったからだった。

▼#7 テーブス海

生年月日:1998年9月17日(25歳)
ポジション/身長・体重:PG/188センチ・85キロ
所属:アルバルク東京

 2023年ワールドカップの直前合宿メンバーに選ばれながら大会前に落選も、今回は生き残りに成功した。強みは大柄さを生かしたドライブインとディフェンスで、2023-24シーズンのBリーグでは自身がコートに立っている時間での得失点差でB1 8位の8.5を記録。シーズン後にはB1の「セカンドチーム」に選出された。
 昨季移籍したアルバルク東京を好成績に導いた一方で、ハーフコート中心でスローテンポなスタイルを採用する同チームとホーバスHCの速いスタイルではかなり乖離があり、苦戦してきた部分もあるだろう。3番目のポイントガードではあるが、試合の状況によっては富樫勇樹らと同時にコートに立つこともあり、2月のアジアカップ予選では良さを発揮している。

▼#8 八村塁

生年月日:1998年2月8日(26歳)
ポジション/身長・体重:PF/203センチ・102キロ
所属:ロサンゼルス・レイカーズ

 日本バスケットボール界史上最高の至宝。NBAで5シーズンプレーをし、紆余曲折もありながら成長。体がより大きくなったことで攻守でできることが広がり、3ポイントの精度も上がっている。昨年のワールドカップは辞退も、パリ五輪には出場を決断。ホーバスHC体制下では初めてのプレーとなるが、同氏の敷く速いテンポのスタイルは自らボールプッシュもできる八村にもよく合っているとされる。
 2019年ワールドカップ、2021年東京オリンピックと、チームは八村に頼りすぎた面があったがパリでは彼への負担軽減とチーム全体の貢献が鍵となる。東京オリンピックでの全敗について八村は「やりきった感がなかった」と話し、大会後には富樫らと再び戦おうと誓ったという。

▼#12 渡邊雄太

生年月日:1994年10月13日(29歳)
ポジション/身長・体重:SF/206センチ・97キロ
所属:千葉ジェッツ

 2016年リオオリンピック・世界最終予選、2019年ワールドカップ、2021年東京オリンピックと世界大会出場も全敗を喫し、「このチームで勝てなければ代表から退く」と悲壮な覚悟で昨年のワールドカップに臨み、プレーだけでなく精神的な柱として日本代表のパリオリンピック切符獲得に寄与した。
 昨年のワールドカップ前には足首を捻挫、今年は左ふくらはぎの肉離れを負うなど、なかなか万全で大会に臨めていないが、今回は八村が入ることでスモールフォワードのポジションでプレーすることも多くなりそう。昨シーズンまで6年間プレーしてきたNBAから、2024-25シーズンはBリーグ・千葉ジェッツに移籍し、これからは日本のバスケットボール界のさらなる盛り上げのために一肌脱ぐ覚悟だ。

▼#18 馬場雄大

生年月日:1995年11月7日(28歳)
ポジション/身長・体重:SF/195センチ・90キロ
所属:-

 傑出した身体能力を生かした日本屈指のオールラウンダーとして長らく日本代表で活躍してきた。大学在学中からプロの世界に飛び込み、後にNBAへの挑戦のためにGリーグやオーストラリアのNBLなどで揉まれてきた。相手の逆サイドへのパスをスティールする能力は天才的で、またオンボールディフェンスにも強い。
 日本代表ではホーバスHCから3ポイントを多く打つように言われており技術的な指導も受けてきたが、ドライブインの技量もあるためになかなかシューターのマインドになりきれていないところがある。それでもトランジションからの得点を多くしたい日本としては欠かせない選手だ。2023-24シーズンはB1長崎ヴェルカでプレーも、NBA入りは諦めておらずそのためにもパリ大会でのパフォーマンスは重要だ。

▼#24 ジョシュ・ホーキンソン

生年月日:1995年6月23日(29歳)
ポジション/身長・体重:C・PF/208センチ・112キロ
所属:サンロッカーズ渋谷

 2023年2月に帰化を果たし同年のワールドカップでは平均21得点、10.8リバウンドを記録するなど鬼神の働きをし、日本の躍進に大きく貢献した。ビッグマンながらアウトサイドでもプレーができ、3ポイントやパスにも長ける。ただしワールドカップでの29.4%という3P成功率には本人も課題感を持っている。一方でインサイドで決める独特のフローターの精度は非常に高い。2対2の場面からボールハンドラーや相手ディフェンダーの動きを即座に判断してダイブする動きなどはパリオリンピックでも日本の武器となる。
 7月上旬の韓国との強化試合では34得点を挙げた。1つしかない帰化枠でプレーするからには高いレベルで日本に貢献しなければならないと責任感の強さを示している。

▼#30 富永啓生

生年月日:2001年2月1日(23歳)
ポジション/身長・体重:SG/188センチ・84キロ
所属:ネブラスカ大学

 日本が生み出した史上最高のシューターと言ってもいい存在で、その3ポイントは他のトップ選手らからも「異次元」などと評される。高校卒業後に渡米し、短大で2年プレー後、主要リーグ所属校のネブラスカ大に転校し、今春まで3シーズン活躍した。今春の全米選手権開催期間中に行われた3ポイントコンテストにも選抜され、優勝。全米メディアからも傑出したシュート能力と、決めた後の派手なパフォーマンスで「見ていて楽しい存在」などと紹介された。
 3ポイントばかりに目が行くが、2023年ワールドカップでは自身がコートに立っている時間でのチームの得失点差でプラス6.2点と日本でトップと、ディフェンスの向上も示した。7月上旬にはインディアナ・ペイサーズと「エグジビット10」契約。パリオリンピック後は目標としてきたNBA選手を目指す。

▼#34 渡邉飛勇

生年月日:1998年12月23日(24歳)
ポジション/身長・体重:C/207センチ・106キロ
所属:信州ブレイブウォリアーズ

 東京オリンピックのロスター入りも出場時間はゼロ。また2023年ワールドカップ直前の練習試合での肩の脱臼で本大会でプレーすることは叶わなかった。Bリーグでも度重なる故障で試合出場ができない時期も多かったが、パリオリンピック代表メンバーには晴れて名を連ねている。
 故障からの復帰のためのトレーニングで跳躍力や力強さを増し、ワールドカップで課題となったリバウンド改善の一助となることが期待される。パリ大会前の国内の強化試合では3試合に出場し計5本のオフェンスリバウンドを記録した。ホーキンソンとの相性が良く、同時に出場する際にはアウトサイドに位置取ったホーキンソンがカットインをする渡邉にパスを供給し、ダンクで得点するといった場面がこれまであった。

▼#91 吉井裕鷹

生年月日:1998年6月4日(26歳)
ポジション/身長・体重:SF/196センチ・97キロ
所属:三遠ネオフェニックス

 2022年夏の初召集から成長し続け、ホーバスHCの「チルドレン」の1人として重用されてきた。最大の売りは攻守でフィジカルにプレーができること。オフェンスでは自身よりも大きな相手に向かって体をぶつけることを厭わずに攻める。ファールが多くなってしまうのも、フィジカルさの現れ。
 ワールドカップのカーボベルデ戦の最終盤、相手に追い上げられた日本が危機に陥る中で、ドライブからコーナーへ完璧なキックアウトパスを送り、ホーキンソンが勝利を大きく手繰り寄せる3ポイントを決めたのが印象的だ。無骨さが目立ちメディアには自身の課題を述べることが多く、オリンピック出場に希望についても「目の前のことをこなすだけ」などと語るのにとどまるだけだった。

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