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【パリ五輪注目選手】ビクター・ウェンバンヤマ(フランス代表)「規格外の体躯とスキル…“時代を代表するタレント”」

地元開催の五輪での活躍が期待されるウェンバンヤマ[写真]=Getty Images
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7月27日から8月10日にかけて開催される「パリ2024オリンピック競技大会」。4年に一度の世界一決定戦を前に、バスケットボールキングでは今大会で活躍が期待される注目選手をピックアップした。

文=牧野豊

■ウイングスパン240cmのNBA新人王

コート上で圧倒的存在感を放った18歳のウェンバンヤマ[写真]=Getty Images


 これは、本当に現存する選手なのか? NBAのゲームソフトでカスタマイズしたキャラクターではないのか? ビクター・ウェンバンヤマのプレーを初めて映像で見た時、思わず目を疑ったことを覚えている。

 2022年10月、フランスのコスモポリタン92の選手として世界中で注目度が上昇していた当時18歳のウェンバンヤマは、アメリカでNBA・Gリーグチームとのエキジビションマッチに臨んだ。その模様がテレビ中継はじめ、ウェブサイト等で配信されたことで、瞬く間に彼の存在が世界中のファンに知れ渡ることになった。レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)はその時のウェンバンヤマを、敬意を込めて「ユニコーンと言われる選手はここ数年、何人かいたけど、彼は(それよりも希少な)異星人。時代を代表するタレントだ」と評した。

 それから2年、ウェンバンヤマは期待に違わぬ、いや期待以上の活躍で、インパクトを残している。

 2004年1月、フランス・パリにほど近いル・シェネで生まれたウェンバンヤマは、身長224センチ体重95キロの体躯、バスケットボールのさまざまな技術を有し、そして磨きをかけている。ボールハンドリング、1on1での駆け引き、速いトランジションに対応できる体力にプルアップもスポットアップでも打てる3ポイント。極めつきは240センチを誇るウイングスパン(両手を広げた時の指先から指先までの長さ)で、相手に接触なしでもリバウンド、ルーズボールを上空で支配し、綺麗なブロックショットも決めてみせる。

 2023年NBAドラフト1巡目1位指名でサンアントニオ・スパーズに入団して迎えた今季は、71試合に出場。1試合平均29.7分プレーして21.4得点10.4リバウンド3.9アシスト1.2スティール3.6ブロックをマーク。プレーオフ進出こそならなかったが、問答無用の個人成績で、史上6人目となる満票での新人王に輝いた。

NBAのスーパースターたちもウェンバンヤマのブロックの餌食となった[写真]=Getty Images

■過去2シーズンでNBAスターに覚醒

 そのウェンバンヤマが「ル・ブルー」の愛称で親しまれるフランス代表として、初めて世界大会に臨む。しかも舞台は、故郷で100年ぶりに行なわれるオリンピックだ。

 フランスは昨年のFIBAバスケットボールワールドカップ2023では18位に終わったが、3年前の東京五輪の銀メダルチーム。これまでNBAの年間最優秀守備選手賞に4度選出経験のある31歳のルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)をはじめ、NBA経験者が主力に顔をそろえている。何より、ホスト国として多くの期待を背負う状況でプレーすることは、大きなモチベーションとなる。

 6月末、パリで行われた代表チームのメディアデーでウェンバンヤマは、「アスリートにとっては最高の競争の場だと信じている」とオリンピックへの思いをコメント。そして、「バスケットボール選手として、レジェンドたちがそろったチームUSAと対戦するのは夢でもあるんだ」とアメリカとの対戦を熱望していることを語った。

 オリンピック本戦のグループフェース(予選ラウンド)では初戦でブラジル(同12位)、2戦目に日本(同26位)、3戦目にドイツ(同3位)と戦うことになる。

 果たして、世界ナンバーワンのプロスペクト(若手の有望株)はどのようなプレーを見せるのか。また、今後何年も世界のバスケットボールをリードするであろうウェンバンヤマに、日本はどのように対峙するのか。そうした視点も含めて、楽しみだ。

体格からは想像できないほどのハンドリング能力の持ち主[写真]=Getty Images

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