フランス代表を背負う“怪物”ウェンバンヤマ…デュラントも活躍を期待「新たな足がかりになる」

　ついに開催日を迎えた「パリ2024オリンピック競技大会」。男子バスケットボール競技は総勢12カ国が参戦し、初日の日本時間24時15分から始まるグループBの予選2試合目では、大会ホストの男子フランス代表（FIBAランキング9位）が早速、ブラジル代表（同12位）との対戦に臨む。

　今大会、フランスはルディ・ゴベア、ニコラ・バトゥーム、エバン・フォーニエといった既存のコアに加え、昨年NBAデビューを果たした“怪物”ビクター・ウェンバンヤマもロスター入り。これまで世代別の世界大会は経験してきたウェンバンヤマだが、オリンピックは自身初の出場となる。

220センチ超の身長、そして240センチを超えるウイングスパンを誇るウェンバンヤマ（右）[写真]=Getty Images

　大会直前には複数の強化試合に臨んだフランスだったが、ドイツ代表（同3位）とのテストマッチ2戦目では65－70と、1戦目に続いての勝利はならず。その後はセルビア代表（同4位）、カナダ代表（同7位）、オーストラリア代表（同5位）とも対戦したが、黒星が続き4連敗で本戦を迎えるに至った。

　まだ20歳と代表メンバーの中では若手に分類されるものの、エースの役割を務めているウェンバンヤマ。地元メディア『L’Équipe』の取材では、連敗継続のまま五輪を迎えることに「チームに対する自信が揺らぐことはない」とコメントし、「僕たちには改善の余地がある。勝利への道に失敗は付き物だし、思い通りにはいかないものだよ」と全くの焦りを見せなかった。

　そんなフランスの新星に、アメリカ代表（同1位）のケビン・デュラントがアドバイスを送った模様。オリンピック開催前に行われたチームUSAの記者会見にステフィン・カリーと登壇したベテランフォワードは「彼にとっては大きなプレッシャーだろう」とウェンバンヤマの心境を察しつつ、「あの舞台でプレーできることは自信につながる」とエールを送った。

「彼ら（フランス）は今、試合のラインナップの中で彼（ウェンバンヤマ）に多くのことを期待している。そのすべてが選手として、そして人間としての成長につながるポジティブなことだ」

昨シーズンのリーグ戦でも交流を深めていた両名[写真]=Getty Images

　デュラント自身も、2012年に初めて参加したロンドンオリンピックは20代前半でのイベントであり、ウェンバンヤマが置かれている状況に既視感を覚えたのかもしれない。自身初めてのオリンピックでデュラントは金メダル獲得、チーム得点王と2つの功績を成し遂げ、世界大会という貴重な機会で見事に飛躍を遂げた。

「彼が成長して、リーグをどこまで連れていってくれるのかをみんな楽しみにしてるよね。彼はゲームを一歩先へ進めることができる選手の1人だろう」ともデュラントは語り、ウェンバンヤマに期待の眼差しを送っている。「彼にとっては素晴らしい経験で、また新しい足がかりになると思う」。

　地元開催ということも相まって、メダル獲得への熱がさらに高まっているフランス。ウェンバンヤマにはテストマッチでの鬱憤を晴らす、そしてデュラントの期待に応えるような活躍で、母国に栄光をもたらしてもらいたい。