2024.07.20

【パリ五輪注目選手】レブロン・ジェームズ(アメリカ代表)「39歳にして未だ頂点…バスケ界の“キング”」

優勝候補筆頭・アメリカ代表をけん引するレブロン[写真]=Getty Images
フリーライター

7月27日から8月10日にかけて開催される「パリ2024オリンピック競技大会」。4年に一度の世界一決定戦を前に、バスケットボールキングでは今大会で活躍が期待される注目選手をピックアップした。

文=秋山裕之

■高校時代から現在まで、圧倒的存在感を放ち続けるレブロン

 バスケットボール界の“キング”は、1984年12月30日にオハイオ州アクロンで生まれた。3歳になる直前の1986年クリスマスに初めてバスケットボールを手にし、朝から晩まで公園や体育館でプレーし続けた。

 マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)に憧れて育ったレブロンは、今では信じられないことだが、小学生の頃はドリブルが苦手で相手チームから頻繁にボールを奪われていた。だがAAU(アマチュア・アスレティック・ユニオン)時代のコーチの助言もあって猛練習を積み、ドリブルやパスのスキルを磨いて地元アクロンでは有名な選手に。

 アクロンのセント・ビンセント・セント・メアリー高校に入学した当時、すでに188センチの高さがあったレブロンは、2年次に『Sports Illustrated』誌の表紙を飾り、『USA Today』紙のオールアメリカン、さらに同州のミスター・バスケットボール(最優秀選手賞)に選出。その後全米から注目を浴びるほどの人気選手となった男は高校時代の4年間で見事な実績を残し、2003年のドラフト全体1位でクリーブランド・キャバリアーズから指名されてNBA入りを果たした。

高校時代のレブロン[写真]=Getty Images


 公称206センチ113キロの男は、得点・リバウンド・アシストの3拍子そろったオールラウンドプレーヤーとしてNBAでも台頭し、これまでキャブズ、マイアミ・ヒート、レイカーズで計21シーズンをプレー。新人王を皮切りにシーズンMVPと優勝、ファイナルMVPにそれぞれ4度、オールスターとオールNBAチームはどちらもNBA史上最多の20度も選ばれ、前人未到の通算4万得点超え(4万474得点)を達成するなど歴代最高級の実績を積み上げている。

 NBA歴代2位タイのキャリア21年目となった昨シーズンも、レブロンは71試合の出場で平均35.3分25.7得点7.3リバウンド8.3アシスト1.3スティールにフィールドゴール成功率54.0パーセント、3ポイントシュート成功率では自己最高の41.0パーセント(平均2.1本成功)を残し、オールスターとオールNBAサードチームに選ばれた。

 今夏プレーヤーオプションを破棄し、制限なしFA(フリーエージェント)となったレブロンは、2年1億135万ドル(約159億1195万円)で再契約。2年目はプレーヤーオプションながら、今シーズンもプレーすればビンス・カーター(元トロント・ラプターズほか)と並んでNBA歴代最長タイの22シーズン目に突入する。

大ベテランとは思えないパフォーマンスを披露し続けている[写真]=Getty Images

■年末に40歳、今夏には息子がチームメートに

 今年の年末には40歳を迎えるが、強靭な肉体から繰り出されるペイントアタックは脅威そのもの。味方の得点機会を演出するパスさばきも超一流で、史上有数のバスケットボールIQの持ち主でもある。しかもX(旧Twitter)アカウントのフォロワー数は5292万人超え、インスタグラムのアカウントでは1億5000万人以上とその影響力も絶大で、“年齢とアスリートを超越した男”と言っていいだろう。

 レイカーズは今年のドラフト2巡目全体55位でブロニー・ジェームズを指名。レブロンがリーグ入りした後の2004年10月6日に生誕した長男は、今シーズンのどこかでレイカーズの一員として“NBA史上初の親子共演”を飾ることが期待されている。

今シーズンは息子のブロニーがチームメートに[写真]=Getty Images


 サマーリーグでショットを決めることに苦戦してきたブロニーは、7月18日(現地時間17日、日付は以下同)のアトランタ・ホークス戦で12得点を奪い、15本連続で落としていた3ポイントもこの日は5本放って2本成功。試合後にブロニーは「とにかくアグレッシブであり続けるんだ。自分のショットが入っていなくても、アグレッシブでいるんだ」と父親から言われたと明かしていた。

 ブロニーがラスベガスでサマーリーグに臨んでいるなか、父レブロンはアメリカ代表の一員としてパリオリンピックに向けて調整中。チームはアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビでエキシビションマッチを2試合こなしてロンドンへ移動。今後は21日に南スーダン代表、23日にドイツ代表との試合を行ない、大会本戦を迎える。

■12年ぶりの代表活動、スター軍団をけん引

2012年にアメリカ代表の一員として五輪を制したレブロン[写真]=Getty Images


 レブロンがアメリカ代表でプレーするのは、2012年のロンドン・オリンピック以来初。12年ぶりながら、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)と共に非公式のキャプテンとしてチームを束ねている。両者は同じオハイオ州北東部のアクロン・ゼネラル・メディカル・センターで生まれ、レギュラーシーズンやプレーオフで何度も激突してきた好敵手でもある。

 39歳で代表でも最年長ながら、レブロンはここまでの3試合すべてで先発を務めていて、初戦から順に7得点5リバウンド3アシスト3スティール、10得点3リバウンド3アシスト、11得点2アシストを記録。

 カリーとのアリウープでダンクを決め、オフボールスクリーンでカリーのために体を張ってオープンを作り出したり、カリーの長距離砲をアシストするなど上々の連係を見せている。

 コートで対戦する時は激しいバトルを演じるも、両者は互いにリスペクトしており、「バスケットボールのゲームは永遠に続くわけじゃない。(カリーのような)選手との関係を構築できる機会を無駄にしたくはないんだ」とレブロンは言う。

 18日のセルビア戦でも、レブロンは空中へ跳び上がってバム・アデバヨ(ヒート)のパスを右腕1本でつかんでアリウープダンクをたたき込むなど見せ場を作った。チームは105-79で快勝したとはいえ、「俺たちにはまだ向上する余地がいくつもある」と話していたように、この男に慢心はない。

「これからもチームとしてうまくなり続けていきたいし、その機会を無駄にはしない。今夜の俺たちは良くなったんだと感じることができた」とも語っていたことから、レブロンはチームメートたちとのケミストリーをさらに高めてオリンピック本戦へ登場するに違いない。

カリーとの華麗な連携に観客は大いに沸いた[写真]=Getty Images

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