2025.03.12
レギュラーシーズンも残すところほぼ16試合となり、NBAも佳境に突入。これからはプレーオフ顔負けの熾烈な戦いが繰り広げられることになるが、ダラス・マーベリックスは試合に臨むことさえギリギリな状況にあり、ロスターの環境は同情するほど悲惨なものとなっている。
直近のサンアントニオ・スパーズ戦では接戦の末、マーベリックスが勝利を収め、5連敗を脱出。クレイ・トンプソンやスペンサー・ディンウィディーなど経験豊富なベテラン勢と、ロサンゼルス・レイカーズから新加入のマックス・クリスティーが存在を示すと同時に、Gリーグで経験を積んできたナジ・マーシャルやケスラー・エドワーズらもこのチャンスを逃すまいと、大きなステップアップを見せた。しかし、試合終盤には貴重なビッグマンのドワイト・パウエルが負傷退場。マーベリックスは最終的にロスターをわずか7人で乗り切り、白星をもぎ取った。
その厳しい状況は、ジェイソン・キッドヘッドコーチのコメントにも如実に表れている。
「こんな光景は初めて見ました。選手を休ませるために交代したくても、代わりに出せる選手がいませんでした。交代できる選手がいない試合なんて、今まで経験したことがありません。普通はベンチに誰かいて、出場させることができるものですから。ユニフォームを着ていない選手は、試合の裏で縫合処置を受けていたり、動くことすらできない状態でした。厳しい状況ですが、それが現実です」
ルカ・ドンチッチを手放した冬の移籍市場以来、話題の絶えないマーベリックス。現在はウェスタン・カンファレンスでプレーイン圏内の10位を死守しているが、この順位を維持できるかは不透明と言わざるをえない。
新たな大黒柱として期待されていたアンソニー・デイビスは、マーベリックスのデビュー戦で負傷。頼みの綱であったカイリー・アービングも左ひざ前十字靭帯断裂でシーズンアウトが確定している。

マーベリックスのベンチには私服の選手が多数 [写真]=Getty Images
マーベリックスは現在、サラリーキャップのファーストエプロンを5万1000ドル(約750万円)下回っている。しかし、最もコンパクトな10日間契約でも、NBAで2年以上のプレー経験がある選手は11万9972ドル(約1780万円)、1試合も出場経験のない選手でさえ6万6503 ドル(約990万円)が必要なのだ。
さらに、頼みの綱の2way契約の選手にも規定の試合数制限が急激に迫っている。エドワーズは5試合、ブランドン・ウィリアムズは8試合、カイ・ジョーンズは11試合の出場機会が許されているものの、冒頭で記したように、レギュラーシーズンはあと16試合残されている。
前代未聞の緊急事態に、キッドHCの口からは冗談を言うのが精一杯だった。
「我々は誰とも契約できません。私とダッド(ジャレッド・ダドリーAC)もコストが高すぎますからね。笑い飛ばさなければ、どうにかなってしまいそうです」
あの日以来、悪夢にうなされているマーベリックス。シーズン終了まで、試練の日々が続きそうだ。
2025.03.12
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