2025.07.15

WKBL新人王の先にある夢…洪有純、韓国代表としてFIBAデビュー

韓国代表デビューを果たした洪有純(ホンユスン) [写真]=fiba.basketball
フリーライター

 7月14日、中国の深圳にて行われている「FIBA女子アジアカップ2025」は大会2日目を迎えた。

 この日の初戦は韓国対ニュージーランド。試合は序盤から競った展開となる中、韓国がわずかに先行していく。しかし、ニュージーランドを突き放すまでには至らず、試合終盤にもニュージーランドの追撃に遭い、残り12秒には同点とされた。
 
 だが残り3秒、ラストチャンスに198センチのセンター、パクジスがドライブからシュートを決めて勝負あり。韓国が辛くも78-76で勝利をもぎ取った。

「初めてこういう大会に出るので緊張するかなと思い、試合に集中して自分のできることを一生懸命やろうと思っていました」

 試合後、このように語ったのは韓国の39番、洪有純(ホン・ユスン)。20歳のセンターにとってはこの劇的な試合がFIBAの公式戦デビュー戦となった。

 大阪生まれの大阪育ちで韓国籍を持つ洪は、大阪桐蔭高校と大阪産業大学でプレー。大学2年次に中退して韓国のプロリーグであるWKBL(Women’s Korean Basketball League/女子韓国バスケットボールリーグ)の新人ドラフトにエントリーした。そのドラフトで新韓銀行S-birdsから1位指名を受けると、1年目のシーズンは試合を重ねるごとにプレータイムを伸ばし、ルーキーでは初となる4試合連続のダブルダブル(得点とリバウンド)という記録も樹立。チームの主軸として戦い抜き、見事に2024−25シーズンの新人王を獲得した。

 そんな目まぐるしい1シーズンを過ごした後、洪に届いたのは韓国女子代表チーム入りの知らせ。兼ねてから代表入りを目標として挙げていたが、1年目での実現に「めっちゃうれしかったのですが、うれしさと同時に不安などいろいろな感情がわき上がりました。でも、先輩たちがみんな、たくさん声を掛けてくれて、楽しくできています」と、代表入りと代表活動での感想を語る。

 普段はWKBLでしのぎを削る先輩たちとの代表活動は大きな刺激となっているようで、「(先輩たちは)練習中も『意識が高いな』と思うことが多く、マッチアップなどしていても『こういう特長があるんや』とか、いろいろな面で習うことが多いです」と、目を輝かせる。

 初戦の相手、ニュージーランドは韓国にとって前回大会で敗れた相手。それだけに「前回負けていたので、今年は絶対勝つとみんな言っていて、私はその(先輩たちの)気持ちについていこうと必死でした」と、言う。

 そのニュージーランド戦ではデビュー戦ながら19分16秒の出場で4得点3リバウンド1アシスト1スティールを記録。「(チームからは)走ること、スピードを生かした攻撃を求められていました」という言葉の通り、得意とするランプレーからもの得点を挙げ期待に応えた。

 しかし、洪自身は「(求められていたことを)できた部分もあるのですが、途中で動き止まってしまったところがあったので、もっと動きながらやらないと。(相手の)身長が大きい分、ボックスアウトもいつもよりやらないといけなかったのですが、最初の方はできていなくて、オフェンスリバウンドを相手にたくさん取られてしまいました。もっと試合の入りからちゃんとボックスアウトするように意識しないといけないと思います」と、課題を挙げ気を引き締め直す。

「思ったより緊張していなくて、思い切ってプレーできたかなと思います」と、デビュー戦を振り返った洪。明日(15日)は同じセンターポジションに205センチと220センチのツインタワーを擁する中国と対戦する。

「(中国戦も)プレータイムをもらえると思うので、できることをやって頑張りたいと思います」

 韓国の新星はブレることなく、自らの役割に徹する構えだ。

文=田島早苗

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