2026.05.15
ゴールデンステイト・ウォリアーズと2年の契約延長に合意したスティーブ・カーヘッドコーチ(HC)が、仕事場で誰も想像しないような驚きの“言葉遊び”を楽しんでいたようだ。
現地メディア『ESPN』によると、カーHCは2022-23シーズンの記者会見で、テイラー・スウィフトの楽曲「All Too Well」の歌詞を密かに織り込んでいたという。一見すると耳を疑うような小ネタだが、勝負師であるカーHCが、記者たちの前で音楽界のトップスターの一節を忍ばせていたのであれば、実にウィットに富んだ遊びだ。
そのさりげなさは、実に巧妙だった。最初の事例は、2023年3月のヒューストン・ロケッツ戦後の会見だった。カーHCは何気ない試合総括のなかで、「I walked through the door of the locker room at halftime(=ハーフタイムにロッカールームのドアをくぐった)」と口にした。これは、「All Too Well」の冒頭に重なる一節である。

昨年11月に記者会見へ出席したカーHC[写真]=Getty Images
やがて、息子のマシュー・カーが父の会見映像をつなぎ合わせ、まるでカーHCが1曲を丸ごと朗読しているかのような編集動画を作成した。その動画は家族内で共有され、最終的にはスウィフト本人のもとにも届いたという。カーHCによれば、スウィフトは「待って、これって本当なの?」と驚きつつ、この試みを「創造的で、面白い」と受け止めたそうだ。さらに、SNSに投稿してよいかと尋ねたものの、カーHCは公開を控えてもらうよう頼んだという。
スウィフトは言うまでもなく、現代ポップミュージックを象徴するアーティストだ。“All Too Well”は、2012年リリースのアルバム『Red』の代表曲であり、映画『スパイダーマン』シリーズのミステリオ役で知られる当時の交際相手、ジェイク・ジレンホールとの関係性を歌ったものだとされている。2021年には、再録音版が発表。10分版の“All Too Well (Taylor’s Version)”はストリーミングサービスのグローバルチャートでも1位に輝いた。

2015年、テイラーのLA公演にコービーが来場[写真]=Getty Images
カーHCが、なぜスウィフトの歌詞を引用したのか。それは単に、彼女が世界的なポップスターだからではないのかもしれない。
この試みが始まる前の2022年5月、ウォリアーズ指揮官はダラス・マーベリックスとのカンファレンス・ファイナルの試合前会見で、テキサス州ユバルディのロブ小学校で起きた銃乱射事件に対して、怒りを顕にした。「バスケットボールの話をするつもりはない」と切り出し、机を叩きながら「もううんざりだ。いつになったら何か行動を起こすんだ」と訴えたあの会見は、アメリカの根深い銃社会問題に対しての力強いメッセージとなり、全米に大きな反響を呼んだ。

現地時間2022年5月24日、銃乱射事件の犠牲者に黙祷を捧げるウォリアーズ[写真]=Getty Images
時系列から考えるなら、カーHCの“スウィフト・チャレンジ”は、自身の思いに共感し、声を重ねてくれたスウィフトへの、ささやかな感謝の表れだったのかもしれない。
ポップスターの楽曲が、王朝を築いた名将の会見にひっそり紛れ込み、数年後に本人へ届く。カーHCのキャリアの余白に残された粋な逸話は、コート外の名場面として語り継がれていきそうだ。
文=Meiji
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