2026.10.26
世界最高峰のバスケットボールリーグであるNBAは、スポーツエンターテインメントの完全体であると同時に、巨大なビジネスでもある。2025-26シーズンにNBA全体が生み出した収益は、推定145億ドル(約2兆2750億円)。30球団だけでも合計137億ドル(約2兆1500億円)、1球団平均は約4億5600万ドル(約715億円)に達した。
ただし、145億ドルがそのまま30球団へ分配されるわけではない。一部はリーグ本部に残され、投資や運営経費などに充てられる。そして球団が稼ぐ方法も、単純な試合のチケット販売だけではない。
NBA最大の収益源、それはリーグが一括して契約する放映権やスポンサーなどの中央収益である。『Sportico』によれば、昨シーズンは中央収益が球団収益の約41パーセントを占めたという。

放映権などで莫大な収益を挙げているNBA[写真]=Getty Images
新契約初年度となった昨シーズン、各球団が受け取る全米放映権収入は約4000万ドル上昇の1億4400万ドル(約226億円)に。今後も平均して年間約7パーセントずつ増える見込みとなっている。
契約締結時、NBAコミッショナーのアダム・シルバーは「新たなグローバルメディア契約は、世界中のファンにNBAを届ける範囲とアクセス性を最大化する」と説明。つまり、現在のNBAは観客席の数に左右されるビジネスから、世界中へ映像を販売するビジネスへ大きく軸足を移していると言える。

昨季オールスターが開催されたインテュイット・ドーム[写真]=Getty Images
チケットとラグジュアリースイート(VIP個室、特別席)による昨シーズンの収益は、約36億4000万ドル(約5717億円)。これは球団収益全体の約27パーセントに相当する。
その頂点に君臨するのが、ゴールデンステイト・ウォリアーズだ。ホームゲーム1試合あたりのチケット収入は約550万ドル(約9億円)。ロサンゼルス・レイカーズやニューヨーク・ニックスの400万ドル(約6億円)を軽々と超える。
さらに近年、重要性を増しているのが超富裕層や企業向けのプレミアム席だ。
例えば、八村塁が在籍するロサンゼルス・クリッパーズの『インテュイット・ドーム』には、NBA史上初となる超富裕層向けの「プライベート・コートサイド・カバナ」という部屋が4室用意されており、年間契約料が200万ドル(約3億円)に上る特別スイートは全て契約済みだという。また、ウォリアーズはラグジュアリースイートだけで年間約1億5000万ドル(約236億円)に迫っている。NBAにとって、アリーナは2万人を収容する箱ではなく、高価格帯の体験を販売する巨大なショールームでもあるのだ。

今季からウォリアーズのユニフォームには「IREN」のパッチが加わった[写真]=Getty Images
さらに、地域限定のテレビ放映権も依然として重要だ。昨シーズンは球団収益の約10パーセントを占め、レイカーズが「スペクトラム・スポーツネット」から受け取る放映権料は年間約2億ドル(約314億円)。全米放送とは別に、地元でレイカーズを見る権利だけでも巨額の価値がついている。
当然ながら、ニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコといったビッグシティと、小規模市場の球団では稼げる金額が異なる。

分配金にはリーグ全体の価値を守る狙いも[写真]=Getty Images
なお、これは単なる救済ではない。30球団すべてが競争力を維持できなければ、リーグ全体の商品価値も落ちてしまう。現在、NBA球団の平均評価額は66億4000万ドル(約1兆431億円)。 5年前と比較すると、約2.6倍に膨らんだ。最下位のメンフィス・グリズリーズでさえ、42億ドル(約6598億円)の価値がある。
放映権、チケット、スポンサー、アリーナ、そして世界展開。NBAが販売しているのは、球団単位の年間82試合だけではない。30球団が共有する巨大なエンターテインメント・プラットフォームおよび球団や選手のブランド価値そのものが、年間2兆円以上の大金を生み出しているのだ。
文=Meiji
2026.10.26
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