2019.06.20
NBA史上4チーム目となる3連覇の偉業を達成すべく、トロント・ラプターズとの「NBAファイナル2019」に挑んだゴールデンステイト・ウォリアーズ。
だがチームはシリーズを通してケガに苦しめられた。ケビン・デュラントが右ふくらはぎの肉離れから第5戦に復帰後、アキレス腱を断裂してしまい戦線離脱。第2戦で左ハムストリング軽度の肉離れを起こしたクレイ・トンプソンは、第3戦を欠場後、翌第4戦からフル稼働でプレーしてきたものの、第6戦の第3クォーターに左膝の前十字じん帯断裂で無念の途中退場。
ケボン・ルーニーは第2戦で肋軟骨を負傷し、第3戦のみ欠場。第4戦以降は苦痛に顔をゆがめながらも、懸命にプレー。アンドレ・イグダーラやステフィン・カリーといった主力も負傷箇所を抱えながらプレーしてきた。
6月14日(現地時間13日)に行われた第6戦で110-114の惜敗を喫したことで、ウォリアーズは3連覇こそ逃してしまったものの、NBA史上2チーム目となる5年連続ファイナル進出は、半世紀以上もの間、達成されていなかった快挙と言っていいはずだ。
カリーは第6戦で21得点7アシスト2スティールを残したものの、ラプターズの激しいマークを受け、3ポイントは11投中8本が空を切ってしまった。それでも、カリーはシリーズ終了後にここ5年間を振り返りつつ、今後に向けてこんな言葉を残している。
「僕らはこのこと(ファイナル)について考えることになるだろう。とてもタフなことさ。僕らのDNAとこのチームが抱えている現状を思うと、僕らが来年このステージに戻ってくるか自分たちに賭けることはできないかもしれない。だからこそ、最後までこのメンバーで戦い抜いたこと、この5年間で成し遂げてきたことを本当に誇りに思ってる。でも、決して終わりじゃない」。
今夏、ウォリアーズはデュラントがプレーヤーオプションを破棄して制限なしフリーエージェント(FA)になることができる権利を持ち、トンプソンは制限なしFAとなる。もし仮に、両者と再契約を結ぶことができたとしても、来季開幕時点で両者がコートに立つことは不可能と言っていい状況にある。
だが、この試合で今年のプレーオフ6度目のトリプルダブル(11得点19リバウンド13アシスト)に3スティール2ブロックという獅子奮迅の働きを見せたドレイモンド・グリーンは、決して自信を失ってはいない。
「多分、皆は俺たちが終わったみたいに考えてると思う。でもそれは賢明とは言えないね。俺たちはまだ終わっちゃいない。俺たちが今季負けたことは確かだ。今季は俺たちの年じゃなかったが、ときにはこんなことも起こる。これが世の中というものなのさ。だが俺たちはまたここに戻ってきてみせる」。
ちなみに、これまでのNBAファイナルにおいて、第6戦でグリーンが記録した19リバウンド13アシストにマッチまたは上回る数字を残した選手は、なんと1969年までさかのぼる。『StatMuse』によると、この年の4月26日(同25日)に行われたNBAファイナル第2戦、ロサンゼルス・レイカーズ相手にボストン・セルティックスのビル・ラッセルが21リバウンド13アシストを挙げて以来、実に半世紀ぶりの快挙となった。
直近5シーズンを指揮したスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)が「彼らをコーチし、この位置にまで引き上げてくれたことに対して、私が胸に秘めている感謝の気持ちを伝えきることはできないね。ただ、コーチとして彼らと毎日過ごし、競争する姿を見ることができなければ、これほど幸運なコーチにはなっていなかっただろうね。彼らはこのシリーズ、そしてこのプレーオフを通じてすばらしいものを見せてくれた」とチームを手放しで称賛していたように、ウォリアーズは憎たらしいほどの強さでリーグを制圧し、5年連続でファイナル進出、そのうち3度もチャンピオンに輝いた功績は、今後もずっと色あせることはない。
カリー、グリーン、そしてトンプソンというウォリアーズが誇る強固な基盤は、これまで苦楽を共にし、プレーオフ圏外からチャンピオンチームへと上りつめてきた。トンプソンとデュラントの去就はともかく、申し分ないケミストリーを有するウォリアーズは、来季以降も必ずや優勝争いに絡んでくると期待したい。
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