2020.12.20
ゴールデンステイト・ウォリアーズでステフィン・カリー、クレイ・トンプソンと共に強固な基盤を形成しているドレイモンド・グリーンは、これまでのNBAキャリアで優勝3度に加え、3度のオールスター、5度のオールディフェンシブチーム、2度のオールNBAチーム選出歴を誇る万能型フォワード。
198センチ104キロという屈強な肉体を武器に、スモールラインナップではセンターを務め、10センチ以上も高い相手ビッグマンに力負けしないほどのパワーを誇り、複数のポジションをガード可能なディフェンスが評価され、2017年には最優秀守備選手賞(DPOY)にも輝いた実績を持つ。
グリーンはキャリア平均28.1分9.0得点6.9リバウンド5.0アシスト1.4スティール1.1ブロックとオールラウンドな成績を残す30歳だが、ドラフトは2巡目全体35位で、どっちつかずの“トゥイナー”と評されてもおかしくないプレースタイルだった。
そんなグリーンにチャンスを与え、自信を植え付けたのが当時ウォリアーズで指揮官を務めていたマーク・ジャクソンHC(ヘッドコーチ)だった。2012年のドラフト下位でウォリアーズ入りしたグリーンは、10月15日(現地時間14日)に公開されたポッドキャスト番組「The Brownprint」へ出演した際にこう振り返っている。
「NBAチームという組織に入ったら、彼らは自分たちの求める選手になってほしいと言ってくるものさ。でも俺は周囲が求めるような選手にはなりたくなかった」。
パワーフォワードとしては小柄で、スモールフォワードとしてはスローだったグリーンだが、ミシガン・ステイト大学4年次に平均16.2得点10.6リバウンド3.8アシストとオールラウンドな成績を残しており、多彩なプレーができる選手として同大で活躍していた。
そんなルーキーに対して、ジャクソン前HCはこんな言葉を投げかけたとグリーンは言う。
「このチームに入団して最初の頃、マーク・ジャクソンは俺にこう言ってくれたんだ。『いいか、君には私がこれまでテレビで観ていた時と同じドレイモンドであってほしいんだ。君にはアニマル、どう猛な犬、そしてリーダーになってほしい。君に対して誰が何と言おうと関係ない。君よりも地位の高い人が言おうとね。君がこれまでの人生でやってきたのと同じリーダーとして振る舞ってほしいんだ』とね」。
ジャクソンHCがかけた言葉によって、グリーンは徐々にプレータイムを伸ばし、カリー、トンプソンと並ぶ中心人物へと成長。今ではカリーと双璧を成すリーダーとしての地位を確立し、コート内外で存在感を発揮している。
「マーク・ジャクソンにはこれからもずっと感謝していくさ。2巡目指名選手がヘッドコーチからそんなことを言われたんだからな。まるでお墨付きをもらうようなものさ。彼からキャリア初期にあんなことを言われたんだから、俺はすごく幸運だったのさ」。
グリーンはスティーブ・カーHCが就任した14-15シーズンからウォリアーズ不動の先発パワーフォワードに定着。ディフェンスだけでなく、オフェンスではカリー、トンプソンというリーグ最高級のシューター陣を活かすべく、トップ・オブ・ザ・キーでボールを持ち、キャッチ&シュートを演出したり、ピック&ロールのパートナーとなって得点機会を演出する傍ら、自らドライブしてリング下で得点し、3ポイントを決めることでフロアにスペースも作り出している。
ウォリアーズのヴォーカルリーダーとしても活躍するグリーンの成長の陰には、ジャクソン前HCによる言葉があったことは間違いない。
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