2021.08.08

「僕らはこの瞬間を長い間待ちわびていた」。4度目の挑戦でメダルをつかんだミルズ

オーストラリアを銅メダルへと導いたミルズ(右)とイングルズ(左)[写真]=Getty Images
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 8月7日に行なわれた東京オリンピック 5人制男子バスケットボールの3位決定戦は、オーストラリアとスロベニアによる一戦となった。

 準決勝でオーストラリアはアメリカに、スロベニアはフランスに敗れたものの、3位決定戦は、勝利して大会を終えることができ、銅メダルも手にすることができるという大一番。そしてこの試合(107-93)を制したのはオーストラリアだった。

 オリンピック初出場のスロベニアに対して、現在オーストラリアで主軸を務めるパティ・ミルズ(ブルックリン・ネッツと契約合意と報道)とジョー・イングルズ(ユタ・ジャズ)は、2008年の北京オリンピックから4大会連続で出場してきたベテラン。

「この試合に臨むにあたって、ここまで来たらあの2人が最も私のそばでやってきてくれた選手たちなんだ。12年間も努力を続けて、我々はこれまでこの国が成し遂げたことがないことをやろうとしてきたんだ」。

「ゲームプランは、ハーフコートオフェンスではあの2人の手にボールを預けて決断してもらおうというもの。そしてあの2人がボールを運ぶことだった」。

「我々はきわめてシンプルにやっていったんだ。それは彼ら自身も望んでいたことであり、彼らはコントロールしたがっていた。それによって、このチームはオフェンシブに行くことができたんだ」。

 オーストラリア代表のブライアン・グージアンHC(ヘッドコーチ)が試合後に話していたように、オーストラリアはミルズとイングルズへボールを集めてスロベニアを攻め立てていき、ミルズはいずれもゲームハイとなる42得点9アシスト、イングルズが16得点9リバウンド4アシストと殊勲の働きで勝利に大きく貢献。

 この勝利により、オーストラリアの男子バスケットボールは初のメダル獲得。「北京では僕が20歳で、パティは19歳だった。僕らはそこからこのチームを構築し続けて、お互いを高め合ってきたんだ」というイングルズの言葉には重みが感じられた。

 NBAでは別々のチームでプレーするイングルズとミルズだが、前者はジャズ、後者はサンアントニオ・スパーズでローテーション入りし、主力として活躍を続けてきた。だが母国へ初のメダルをもたらしたことは格別だったようだ。

「常にフォーカスしてきた……。だから達成できたことはスペシャルであり、彼が今夜僕らを引っ張ってくれた。僕の中では、彼ならきっとホームへメダルをもたらしてくれるだろうと思っていたよ。この国全体が、このチームは彼にかかっていると分かっている。そして得点が必要な場面では彼の力が必要になると知っているのさ」とイングルズ。

 攻防両面でアグレッシブなプレーを貫き、オーストラリアをけん引したミルズは「僕らはこの瞬間を長い間待ちわびていた。今は笑っていいのか、それとも泣くときなのか、いろんな感情がこみあげてきて僕にはどうすればいいのか分からないよ」と口にし、こうも話していた。

「(銅メダルが)ゴールドのように感じる。ローズ・ゴールドだ。オージー魂ここにありということ。オーストラリア人ならば、皆がこのことを理解している。特にチームスポーツならなおさらさ」と語り、オリンピック4大会目でようやくつかみ取ったメダルを誇らしげに見つめていた。

 もちろん、オーストラリア代表はこの2人だけでなく、マシュー・デラベドーバやジョック・ランデールニック・ケイ、クリス・ゴールディング、マティス・サイブル、ダンテ・エクサムといった有能な選手たちがおり、チーム一丸となって勝ち取った銅メダルである。

 今はただ、バスケットボール界に足跡を残し、オーストラリアを初のメダル獲得へと引き上げた両選手のこれまでの努力と今大会で見せた気迫のプレーの数々に、大きな拍手を送りたい。

スロベニア戦後、互いの健闘を称え合ったミルズ(右)とイングルズ(左)[写真]=Getty Images

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