2022.08.26
プレー機会の少ない若手やトップチームとの契約を目指すGリーグプレーヤーがしのぎを削る夏の風物詩、サマーリーグが開幕した。
無論、ここではNBAの流れと厳しさに適応するべく、今年のルーキーたちも参戦し自身の真価と現在地を確かめている。球団関係者やファンたちは1年目の選手たちのクオリティーが即戦力として換算できるものなのか、そして指名順位に見合うものなのか、プレー一つひとつに熱視線を送っていることだろう。
ルーキーにとって最大の栄光は、ルーキー・オブ・ザ・イヤーの獲得だ。プロ初年度しか受賞の可能性のない個人タイトルともあって、リーグのフレッシュマンたちはこぞって新人賞の戴冠を夢見ている。
ラスベガスを拠点とするスポーツベッティングサイト『BettingPros』は、ドラフト上位指名陣のサマーリーグデビューにともない、ルーキー・オブ・ザ・イヤーのオッズを公開。本稿執筆時のオッズ上位トップ10は、以下の並びとなった。
パオロ・バンケロ(オーランド・マジック):+350
チェット・ホルムグレン(オクラホマシティ・サンダー):+400
ジャバリ・スミスJr.(ヒューストン・ロケッツ):+400
ジェイデン・アイビー(デトロイト・ピストンズ):+600
キーガン・マレー(サクラメント・キングス):+1000
ベネディクト・マサリン(インディアナ・ペイサーズ):+1200
ダイソン・ダニエルズ(ニューオーリンズ・ペリカンズ):+1800
シェイドン・シャープ(ポートランド・トレイルブレイザーズ):+1800
ジョニー・デイビス(ワシントン・ウィザーズ):+2500
オチャイ・アバジ(クリーブランド・キャバリアーズ):+3000
※表記はアメリカンオッズ。「+」以下の数字は100ドルのベットにあたり獲得できる金額を示す。
オッズは、マジックのヤングコアに加入したバンケロがトップに君臨。同選手の1位指名には一部から「意外」との声も挙がったが、デューク大学出身のパワーフォワードはこれまで2試合を消化し、平均20.0得点5.0リバウンド6.0アシスト2.5スティール1.0ブロックをマーク。
総合力の高さは今年のルーキーでも頭ひとつ抜けた存在で、名称“コーチK”ことマイク・シャシェフスキーがNBAへ送った最後の逸材は、すでにNBAを長年戦い抜く土台が完成しているように思える。
2位には八村塁(ワシントン・ウィザーズ)と同じゴンザガ大学出身のホルムグレンが続く。出場した3試合では下馬評に恥じない活躍を披露し、平均15.3得点9.0リバウンド1.0スティール4.0ブロックと上々の出来だ。
メンフィス・グリズリーズとの一戦では、2022年のオールカンファレンスUSAファーストチームに選出されたケネス・ロフトンJr.に容易に押し込まれるシーンもあり、懸念されていたフィジカルの弱さが早速顕著化した。だが、ステフィン・カリーを抜き去ったこともあるハンドリング技術の高さなど、弱点を補完するスキルセットはリーグのビッグマンと比較しても一級品だろう。
ジャ・モラントと比較されるピストンズのアイビーも期待値は高いが、大穴はブレイザーズに加入したシャープと見る。シャープが突如として頭角を現したのは、2021年の「ナイキEYBL」でのこと。高校の有力選手たちが集まるなか、シャープは22.6得点5.8リバウンド2.7アシストをマークして大会得点王に輝くと、高校終了時は三大格付けサイトの『Rivals』、『247Sports』、『ESPN』のすべてで1位を獲得し、誰もが将来の成功を確信した。
しかし、その期待とは裏腹に進学先のケンタッキー大学では2月の段階でヘッドコーチのジョン・カリパリがシーズン全休を発表したため、NCAAでの出場経験はなし。だが、確率の高いアウトサイドと豊富なシュートバリエーション、そして空中戦でのスキルセットなどオフェンス面の非凡な才能はお墨付きで、ある種の“賭け”に出たブレイザーズがシーズン終了後に笑みを浮かべている可能性は0ではない。
文=Meiji
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