2022.09.12
9月11日(現地時間10日、日付は以下同)。今年のバスケットボール殿堂入り式典が、マサチューセッツ州スプリングフィールドにあるシンフォニー・ホールで開催された。
今年の殿堂入りメンバーで最も注目を浴びたのは、なんと言ってもマヌ・ジノビリだろう。アルゼンチン代表のけん引役を務め、2004年のアテネ・オリンピックでは金メダルも手にした技巧派レフティは、国際大会やユーロリーグだけでなく、NBAという世界最高のプロバスケットボールリーグでも強烈なインパクトを残してきた。
ここでは、10日に『Yahoo! Sports』へ掲載された記事の中から、ジノビリと対戦したことがあるスター選手たちのコメントを交えて見ていきたい。
ジノビリは02-03から17-18までの16シーズンをサンアントニオ・スパーズでプレーし、ローテーションプレーヤーからスターター、得点源、シックスマン、ベンチプレーヤーと役割を変えつつ、グレッグ・ポポビッチHC(ヘッドコーチ)の下、ティム・ダンカンやトニー・パーカーらと共に4度の優勝を達成。
激しい競争心の持ち主で、コート上で感情を爆発させてチームへ勢いをもたらし、リーダーシップも発揮して模範にもなっていた人物で、キャリア平均25.4分13.3得点3.5リバウンド3.8アシスト1.3スティールを残してきた。
ロサンゼルス・レイカーズの得点源としてレギュラーシーズンとプレーオフで何度も激しいマッチアップをしてきたコービー・ブライアントは「初めて対戦した時、彼にはその競争心とエナジー、そしてムーブの数々で驚かされたんだ」と明かし、「それがものすごく衝撃的でね。彼はそこからすばらしいキャリアを歩んでいったんだ」と話していた。
198センチ92キロという均整のとれた肉体と予測不可能と恐れられたムーブの数々、それを可能にする身体能力を兼備した男は、奇想天外なプレーでときにはチームメートたちさえも驚かせた。
それでも、ユーロステップをNBAへ広めた功労者は間違いなくジノビリであり、顔や肩、目線など多彩なフェイクやボールハンドリングで相手を欺いては相手守備陣をこじ開けて自ら得点あるいはチームメートたちへ得点機会を演出。
同じ左利きということもあり、ジェームズ・ハーデン(現フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)は「俺のゲームとフットワークの数々は、彼のプレーを観たことで手に入れたんだ。俺は彼のファンなのさ」と、ジノビリの影響力の大きさを明かしていた。
そして現在リーグ最高級の選手の1人としての地位を確立したギリシャ出身のヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)はこう語っていた。
「外国籍出身の選手たちにとって、(NBAという舞台で自分自身を)信じること、大きな夢をもつのは難しいこともある。(けど)彼は僕らに大きな夢をもたせてくれたし、このリーグでも偉大な存在になれることを示している」。
アルゼンチンの子どもたちだけでなく、外国籍出身選手たちにも多大な影響を与えてきたジノビリは、ユーロステップを芸術の域にまで昇華させ、華やかなパスやハンドリングでも観客を唸らせたエンターテイナーでもある。
この男がコートで見せてきた創造性あふれるパフォーマンスの数々は、今後も頻繁にSNSなどを通じて拡散され、改めてそのすばらしさを世界中へ伝えることとなるに違いない。
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